「テレワーク保険」は、どこまで働き方改革のリスクをカバーしてくれるのか:Microsoft Focus(1/2 ページ)
東京海上日動火災保険と協業し、「テレワーク保険」の共同展開に乗り出した日本マイクロソフト。テレワークのリスクをどこまでカバーしてくれるのだろうか。
日本マイクロソフトと東京海上日動火災保険が、「Windows 10」搭載のモバイルPCを対象にした「テレワーク保険」を共同開発し、2018年2月1日から提供を開始した。テレワーク中のリスクをカバーする世界初の保険商品となる。
東京海上日動火災保険の大塚祐介常務執行役員は、開発の背景について、「働き方改革を実施する際に課題となっているのが、会社の外に端末を持ち出して業務を遂行する際に発生する、セキュリティ面のリスク。モバイルPCの盗難や紛失による情報漏えい、マルウェア感染など、オフィス内の守られた環境以外での利用によって発生するセキュリティリスクが存在する。拡大するテレワーク環境における安心、安全を提供するために、保険の観点からも、テレワークをサポートできると考えて、日本マイクロソフトの協力を得て、テレワーク保険の提供を新たに開始した」と語る。
日本マイクロソフトでは、同保険の開発において、Windows 10のセキュリティに関する情報を提供したり、同社のパートナーチャネルを通じて保険の商品化に向けた検証を実施したりといった支援のほか、デバイスパートナーへの連携支援を実施したという。
テレワーク導入時には、労務リスクなどと並んで、セキュリティリスクが大きな課題となっている。総務省が発表した「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(平成29年)では、テレワーク未導入企業の43.2%が「セキュリティの確保」を課題に挙げている。テレワーク時のセキュリティリスクを、技術だけでなく保険でもカバーすることで、企業にとって安心、安全なテレワーク制度の導入をサポートするというわけだ。
テレワーク保険の正式名称は、「特定危険担保特約付帯サイバーリスク保険」と呼ばれ、Windows10が搭載されたモバイルPCだけが加入できる。「Windows 7」や「Windows 8」といった古いバージョンのOSを搭載したPCは対象外となり、Windows 10搭載のモバイルPCも全てが対象というわけではない。
それは、テレワーク保険が「Windows 10搭載PCに付帯する方式で販売される」ため、PCメーカーやディストリビューターなどが認定した製品だけが付帯対象となるためだ。
ただ、付帯という仕組みにしたことで、対象端末を購入すれば自動で補償が付帯し、保険会社との契約手続きが不要という手軽さもある。
保証内容は、会社から貸与されるモバイルPCの利用時に発生する各種損害に対して、損害賠償金や原因調査費用などを補償する内容となっている。
例えば、モバイルPCのウイルス感染時の調査費用や、PCの紛失、情報漏えい時の損害賠償金や各種対応費用を補償するという。
テレワーク保険は、他国にはない日本だけの取り組みとなり、すでに、日本マイクロソフトがSurfaceシリーズにおいて、同保険への対応を検討している。今後、東京海上日動火災保険と日本マイクロソフトは、PCメーカーやディストリビューター、システムインテグレーターなどと話し合いを進め、同保険を付帯するWindows 10搭載機種の拡充や、販売拡大に向けた仕組みづくりを行っていくことになる。テレワーク保険が付帯するモバイルPCが、メーカーやディストリビュータから、順次、発表されることになるだろう。
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