レビュー
2006/01/11 14:29 更新

「FRONT MISSION 5 〜Scars of the War〜」レビュー:
兵士は任務に命を賭けて戦うのみ。戦争をリアルに描くとこうなる (1/4)

“一兵士の視点から戦争を描く”という新たな切り口と、前作をベースにいっそうの発展を遂げた戦闘システムが融合した面白さは、紛れもなくシリーズの最高峰。従来のファンはもちろん、未経験の方にもぜひプレイをお勧めしたい。

復活から安定へ。シリーズの軌跡

 「FRONT MISSION」は、21世紀末から22世紀序盤にかけての地球を舞台に展開する、戦術シミュレーションRPGシリーズだ。第1作がスーパーファミコンで発売され、その後、プレイステーションを経て、前作からはプラットフォームをプレイステーション2に移行。また、2005年からはオンライン版もスタートしている。現在のゲーム界において、もっとも著名なミリタリーゲームのひとつといっていいだろう。

 近未来のミリタリー物なので、軍事用語や特殊な固有名詞が数多く登場する。シリーズ6作目ともなると、それらの語句が解説なしで使用されるのはむしろ当たり前なのだが、軍事に余り詳しくない人、特にシリーズ未経験者には、これがちょっと厳しいかもしれない。

 ただ、FRONT MISSION 5の完成度を考えると、そんなことで忌避されるのは、あまりにもったいない。そこでシリーズ未経験の方のために、FRONT MISSIONの基礎的な世界観について解説しておく。プレイをするときの手引きになれば、幸いだ。

 本シリーズにおいては、地球はいくつかの経済圏国家に分割されている。南北アメリカ大陸を統合したニューコンチネント合衆国(U.S.N.)、東南アジア諸国に日本、オーストラリア、韓国などが加盟して誕生したオシアナ共同連合(O.C.U.)、ヨーロッパ諸国が統合されたヨーロッパ共同体(E.C.)、旧ロシア連邦諸国によって編成されるザーフトラ共和国などが有力国家だ。中でも、U.S.N.とO.C.U.が、2大強国となっている。

 戦争には目的があるが、FRONT MISSIONの場合は、経済的な利潤をめぐる戦いが圧倒的に多い。表面的にはいろいろと大義名分はあるのだが、内実は金だ。それも並の国家レベルなど軽く超える、全世界を動かせるほどの巨額の金。ほとんどの戦争は、どこかの資源を巡る争いが引き金になって起こる。そうした係争地のうち、もっとも重要なのが、太平洋に浮かぶ、資源の宝庫「ハフマン島」である。

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隆起現象によって突如誕生したハフマン島。U.S.N.とO.C.U.という2大国家の境界線上にあるため、その支配を巡って、「第一次ハフマン紛争」、「第二次ハフマン紛争」と呼ばれる大戦争が始まった。本作のオープニングでは、少年時代の主人公たちが、第一次ハフマン紛争に巻き込まれた様子が描かれている

 ハフマン紛争を境にして、U.S.N.とE.C.の間で戦争の危機が高まるなど(FRONT MISSION 4で扱われた事件がこれに当たる)、世界中で一気に軍事的緊張が高まっていく。この時代の戦争における切り札は「ヴァンツァー」と呼ばれる移動型戦車だ。

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シリーズの華、ヴァンツァー。近接戦闘用、射撃戦用、遠距離支援型など、軍事作戦上の目的に合わせた機体が開発されており、それらを数体集めて、小隊が編成される。プレーヤーは、ヴァンツァー部隊同士の戦いに勝利することで、ゲームを進めていくのである

 戦争の動向は、ヴァンツァーとそれを操るパイロットが握っている。これが、FRONT MISSIONの世界における絶対のルールだ。そして、本作の主人公であるウォルター・フェンは、U.S.N.軍が編成した最精鋭のヴァンツァー部隊、ストライク・ワイバーンズに所属する隊員である。

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ストライク・ワイバーンズは、強襲を主な任務とする部隊。つまり、敵が万全の準備をしているところへ乗り込んでいって、相手を叩きつぶすという、恐ろしく危険な仕事を担当する。指揮官はリン・ウェンライト。主人公フェンとは幼なじみの女性士官である

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[水野隆志,ITmedia]

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