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2006年04月12日 15時33分 更新

先細りしていく中古ゲーム機市場を改めてPSE法が照らし出す (1/2)

中古家電業界を大混乱に陥れてた法律に、「電気用品安全法」−俗に言うPSE法−がある。連日、どこかのニュースで取り上げられるほど大騒ぎになったのだが、これはゲームユーザの観点から見た場合、どのような影響があるのだろうか。独自に調査した結果をまとめたので、ここで簡単に報告しておこう。

そもそも、PSE法とは何か? なぜ騒ぎが大きくなったのか? を考える

 このところ、報道されていたニュースの1つに、4月1日から本格的に施行された「電気用品安全法」(以下PSE法)がある。これは、電気用品について消費者の安全を確保するための法律で、安全が確認されている電気用品については、その印としてPSEマークがついている。反対に、PSEマークがついていない電気用品は、今後は販売することができなくなってしまうのだ(これについて、小寺信良氏の記事が詳しい)。電気用品の定義は広く、ここですべてを説明するわけにはいかないので、経済産業省の該当ページで確認してほしい。

 ここで大事なのは、これまでに数多く発売されてきたゲーム機も、PSE法の対象となってしまうことだろう。そこで、まずはゲーム機の“何が”PSE法に引っかかるのか、それを調べてみた。経産省の公式サイトには「平成18年3月31日で販売猶予期間が終了する電気用品の例→テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子楽器、音響機器、ゲーム機器、電気温水器等」と書かれている。しかし、それ以上の詳しいことについては言及されていない。さらに調べていくと、PSE法で網羅される“特定以外の電気用品”の項目に、「直流電源装置」があるのが分かる。これは俗に言うACアダプタのことで、つまりゲーム機のACアダプタがPSE法に引っかかるということである。さらに、電源を本体に内蔵しているハードについては、電気遊戯盤や電子応用遊戯器具などの項目に該当することになる。

 このことから、本体に電源を内蔵しているゲーム機(本体に∞の口の形をした穴が空いていて、そこに電源コードを接続してコンセントへ直接差し込むもの)は、4月1日から売買が出来なくなる。またACアダプタを利用したゲーム機は、2008年4月1日から売買不可能となってしまう。

 つまり、現時点で店頭販売されているハードは問題ない。該当するのは、過去に家庭をにぎわした名機のたぐいだ。セガサターンやドリームキャスト、PSや一部のPS2、3DO、PC-FXなどはアウトとなってしまう。その他、ACアダプタを使うゲーム機も、あと2年しか猶予はない。ほかにもβデッキやLDプレーヤー、MIDI機器などがPSE法の対象となっているため、ゲーマーにとっての影響はかなり広範囲に及ぶものと推測される。実は、今でもβデッキが現役な自分にとっても、今回のPSE法は人ごとではなかったりするのだが……。

wk_060412pse01.jpgwk_060412pse02.jpg プレイステーション 2のアダプタ表示を見てみると、PSEマークがあるものとないものが……このマークひとつで大きな隔たりが

見解が変わったことで、懸念は払拭された?

 PSE法が、2月ぐらいから消費者や中古ショップ業者に知れ渡るにつれ、各所でさまざまな反対運動などが勃発。さらに、テレビなどでも特番を組む番組が現れ、経産省の告知がうまくいっていないことが露呈する。当事者である経産省も対応策を打ち出すものの、どれも場当たり的なものに過ぎず、それにもかかわらず法律を予定どおり4月1日から施行するとの強硬的な態度を崩さなかったため、日を追うごとに事態は解決から遠ざかっていった。と、ここまでが3月23日までの状況となる。ところが翌日24日になると、事態は一変した。経産省がこれまでの方針を転換し、中古品の販売を事実上容認するとの発表を行ったと報道されたのだ。

 このことが意味するのは、中古ゲーム機も今まで通り、問題なくリサイクルショップなどで購入が可能になるということ。この一連の報道を聞き、胸をなで下ろしたユーザーや中古品を扱うショップの人間も多いだろう。実際にどうなったのかといえば、PSEマークのない商品は客に販売という形ではなく、“一時的にレンタルする”という形式を取る。そして、レンタル期間終了後、その相手に無償譲渡するというのがからくりだ。業者は、レンタル前に安全性の検査を行うことを約束し、レンタル期間中または終了後に検査をするよう“努力”することになっている。ところが、現実に検査するかどうかは、販売業者側の善意にゆだねるという方針なのだ。つまり、レンタルという形を取って商品を手放してしまえば、あとは検査しようがしまいが業者の勝手、となっている。

 とりあえず、これでしばらく騒ぎは収束するだろう。これに関して経産省に問い合わせてみたところ「所有権の移転しないレンタルという形であれば、PSEマークがついていなくても、将来的にも特に問題はない」との返答が得られた。これが、中古品の販売を事実上容認するという報道に結びついたと思われる。とはいえ、当分の間はレンタルという形で使い、一定期間が過ぎたら無償譲渡というスタイルを取るのは、いささかスマートではないような気がする。それならば、中古ゲーム機にもPSEマークを付与する方が現実的と感じるのだが……。

 その前に、実際に現場で中古ゲーム機をやりとりしているお店の人に、直接話を伺ってみた。秋葉原などに店舗を構え、中古ソフトなどの売買を行っているTRADER。そこで、家庭用ソフト&ハードの仕入を担当する小林俊一氏に聞いてみたところ、基本スタンスは「様子見」であると正直に答える。今年の1月くらいから「PSE法を知っているか?」や「この店ではどうするのか?」との声をちょくちょく聞くようになったが、「やっぱり止めるのか」とあきらめの声も多かったようだと振り返った。そのためか、PSE法が騒がれてから施行前日までは、中古ゲーム機は店頭に並べば即売れるといった感じだったという。既に施行されてから10日あまり経つが、今後は他店の動向も見据えつつ対応していくといった感じで、こちらから何かしらのアクションを起こす予定はなく「様子見」するしかないと明かす。

 実際、現状ではPSE法初期の設定に則り、もはや対象商材の販売もとより買取も行っていないと小林氏は語る。最後に、あくまでも個人的な意見と前置きしてだが「売れないので止めます」ではなく「国の指示で止めます」というのが正直悔しいと、苦しい心中を吐露した。

 ちなみに、個人がオークションやフリーマーケットなどで売買する場合には、この限りではない。業者と認定されない程度に商品をやりとりするならば、これまで通りにしても良い、ということになっている。なお、業者と認定されるかどうかのガイドラインは、こちら(PDFファイル)を参考にしてほしい。よほど派手に出品・落札をしない限り、業者とならないのがわかるだろう。

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[篠崎薫,ITmedia]

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