「大戦」? それとも「対戦」? 1粒で2度おいしい、Xbox 360初の「スパロボ」「スーパーロボット大戦 XO」レビュー(2/3 ページ)

» 2006年12月14日 12時00分 公開
[鷲尾トモノリ,ITmedia]

狙うはV! ……じゃなくて、部位?

 このゲームの最大の特徴となっているのは、戦闘時のデモがフルポリゴンで表現されていることだろう。これは、他のシリーズ作品にはほとんどない要素で、これだけでもかなり毛色の違う印象を受ける。各メカニックのポリゴンモデリングも非常によくできているし、バトルシーンでは、カメラ位置が細かく変化するなどの、3Dならではの演出もあって、同じスパロボでありながら、かなり新鮮に感じられるのだ。当然、ゲームキューブ版よりもグラフィックの質は向上しているし、ダメージの表現や合体シーンのアニメーション化など、グレードアップしている点も多い。

画像画像画像 カメラ位置を次々変化させながらの、スピーディで迫力ある戦闘演出は、ポリゴンによる3Dグラフィックだからこそできたビジュアル。かなりいい感じです

 システム面でも他のシリーズとくらべて特徴的な点がいくつかあるが、中でも「部位システム」は重要だ。これは、ユニットのHPが、全体を表す「BODY」の他に、「HEAD」、「ARMS」、「LEGS」という各部位ごとにも設定されているというもの(艦船、航空機、車両などは、「CONTROL」、「WEAPON」、「ENGINE」となる)。それらの部位HPが0になってもユニット自体は破壊されないが、HEAD(CONTROL)が破壊されると命中や回避の能力が減少し、ARMS(WEAPON)が破壊されれば攻撃力が減少し、LEGS(ENGINE)が破壊されれば移動力が減少することになる。また、それらの破壊された部位に搭載されている武装も使用不可能になるのだ。

 もちろん、基本的には、部位を狙うよりも最初からBODYを攻撃して破壊してしまうのがセオリーなのだが、例えば、高いHPと攻撃力を持った強敵ユニットとの戦闘などでは、この部位システムが役に立ってくる。倒すまでに時間のかかるそうした敵が相手の場合、普通にやりあったのでは、味方への被害が大きくなるため、まず先に部位をつぶすことで、その後の戦いを楽にするわけだ。各部位のHPはBODYのものよりもずっと低いため、集中して狙えば、かなり早い段階で破壊することができるはず。また、BODYのHPは、場合によっては回復されてしまう可能性があるが、部位HPの場合はそういうこともあまりない。

 加えて、本作には「捕獲」というシステムもある。3つの部位HPをすべて0にした敵ユニットを、母艦を使って捕獲し、自軍の戦力にしたり換金したりできるというものだ。自分の好きなメカが登場してきた場合や、味方のキャラクターに乗機が無くてあぶれている者がいる場合などは、積極的に狙っていきたいところだろう。

 さらに、この部位への攻撃に関連して、もうひとつ本作独自のシステムが存在している。「ユニットサイズ」である。本作では、ゲームに登場するすべてのユニットに、S・M・L・LLの4つのサイズが割り当てられており、戦闘時には敵味方両者のサイズの差によって、攻撃に制限が与えられる場合があるのだ。

 まず1つが、「自分よりも大きなサイズの相手でなければ、部位攻撃を行えない」というもの。つまり、敵の部位を狙いたければ、その敵ユニットよりも小さいサイズのユニットを使う必要があるのだ。ただし、「狙い撃ち」の技能を持ったキャラクターが乗っている場合や、「狙撃」の精神コマンドを使った場合は、これに当てはまらない。

 2つめは、「2段階以上大きい相手に対しては、直接BODYを狙うことができない」というもの。この場合は逆に、必ず部位を狙わなければならないということである。3つの部位をすべて破壊してからでないとBODYにダメージを与えられないため、部位を破壊する必要がない場合は、非常に面倒なことになる。大きすぎるユニットの相手は、より大型の味方ユニットに任せるべきだろう。

 そして3つめは、「2段階以上小さいサイズの相手に対しては、使用できない武器がある」というもの。例えば、母艦の主砲などでは小型の戦闘機などを狙うことができないのだ。小型ユニットが大型の敵を攻撃する場合だけでなく、大型ユニットで小型の敵を攻撃する場合にも、ペナルティがあるということだ。ちなみに、4つのサイズに対応したユニットを大まかに挙げると、SサイズがレイズナーなどSPTや、戦闘機、戦車といった類。Mサイズがモビルスーツなどの多くのリアルロボット系。Lサイズがほとんどのスーパーロボット系。そしてLLサイズが母艦などである。

 こうした部位システムやユニットサイズの設定によって、戦闘時にプレイヤーが扱う情報が増え、より戦術的なユニットの運用ができるようになっているのが、この「スパロボXO」の特徴なのだ。それを面白いと感じるか、面倒だと感じるかはプレイヤーの好みによるところだろうが、ポリゴングラフィックや登場作品などと合わせると、本作がスパロボシリーズの中でも意外と個性的な1本であることは確かだろう。だが、このゲームをさらに個性的な存在にしている要素は、実は他にもある。というか、それこそが最大級の要素であることは間違いないだろう。それが、「スーパーロボット対戦」だ。

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