ペンは剣よりも強し?――すべての謎と試練にタッチペンで挑む、新たな「ゼルダの伝説」の誕生「ゼルダの伝説 夢幻の砂時計」レビュー(3/3 ページ)

» 2007年07月04日 00時00分 公開
[仗桐安,ITmedia]
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リンクになったり、ファントムになったり――フォースを巡ってアツいバトルを

 本作のファイルを作ると「冒険する」と「対戦する」を選べるようになる。「冒険する」は、前述した大海原をまたにかけた冒険をプレイできるモード。そして「対戦する」を選ぶと、本編とは全く趣きの異なる、アツい対戦が楽しめるのだ。

 対戦は大きく分けてマルチプレイ、ダウンロード、Wi-Fiの3つがプレイできる。ニンテンドーDS本体2台と本作のカートリッジが2つ、そして2人のプレーヤーがいれば、マルチプレイで遊べる。もし本作のカートリッジが1つしかないなら、いずれかが親機になりダウンロードでプレイしよう。そしてWi-Fi環境があるのなら、世界中の誰かと対戦することもできる。

 対戦内容は、本編に登場するファントムという敵キャラを起用したフォースの奪い合いだ。自分がリンクの時は相手がファントムに、相手がリンクの時は自分がファントムになる。自分がリンクの場合は、マップ上に点在するフォースを自陣に持ち帰るのが目的。フォースは大きければ大きいほどポイントが高いが、大きいフォースは重いので、運ぶときに足が遅くなるのが難点だ。自分がファントムの場合は、相手のリンクがフォースを運ぶのを徹底的に邪魔するのが目的。ペンによるマップへの線引きで3人のファントムをうまく移動させてリンクを追い込むべし。

 この単純な追いかけっこのようなプレイが、やってみると何ともシンプルかつ面白いのだ。相手のリンクに出し抜かれた時のはがゆさ、自分のリンクがうまく逃げることができた時の快感、実力が伯仲して僅差で負けてしまった時の「もう一回お願いします!」と頭を下げたくなる感覚など、2人対戦の醍醐味がたっぷり味わえる。

 もはやニンテンドーDSではなくてはならない存在になってきたニンテンドーWi-Fiコネクションに関しても、接続環境は良好で問題なし。発売されて間もないということもあるだろうが、すぐに対戦相手が見つかり、どこかの誰かとフォースの奪い合いを楽しむことができた。プレイ中にA、B、X、Yの4つのボタンを押すことで笑ったり怒ったりというリンクのアイコンを表示させられるので、チャットとまではいかないが、コミュニケーションをとることができる。ちょっとしたことではあるが、うれしさや悔しさを相手に伝えることでプレイのモチベーションはかなり上がる。お手軽で楽しいオンライン対戦が実現しているのだ。

画像画像画像 リンクとファントムの熱い駆け引き! 何度やってもこれは燃えます

ペンアクションで新境地を切り拓いた快作。この路線で続編を期待しちゃいます

 今まで挙げたペンアクションや、謎解きの妙や、対戦の面白さもそうだが、その他にも本作の魅力はたくさんある。たとえば船のカスタマイズ。行く先々で船のパーツを見つけることがあるのだが、これを自由に組み合わせてオリジナルの船を作ることができるのだ。パーツは海の底からサルベージ(このサルベージという要素もミニゲーム的で非常に面白い)して手に入れたり、誰かからもらったり、入手経路はさまざま。ただ、それらはランダムに手に入るので、必然的に手元にあるパーツに偏りが出る。

 そこで活躍するのがアイテム交換の機能だ。物語が進むとマジカルボックスという箱が登場する。ここに余った船のパーツやお宝のアイテム(物によっては高値で売ることができるアイテム)を入れておけば、すれちがい通信か対戦プレイをすることによって相手と交換できる。誰かが持っているアイテムは自分が持っていないアイテムかもしれないのだから、アイテムが余っているなら積極的に交換した方がいいだろう。

画像 サルベージは細やかなペンさばきが必要なミニゲーム。うまく最深部までたどりつけばお宝ゲット。しかし上まで引き上げなければならないので、行きも恐いが帰りも恐いのだ
画像 船のカスタマイズのバリエーションはかなり豊富。筆者もまだまだ全然パーツが集まっていない……。誰か交換しましょ
画像 各キャラのセリフの漢字の部分をタッチすると必ず送り仮名が表示されるなど、若年層に対するバッチリなフォローもあり。その徹底ぶりには頭が下がります

 本編の面白さに加えて、寄り道の要素、遊びの要素もどっさりぎっしり詰まっている本作。いずれクリアがありエンディングが訪れるわけで、そこまでのプレイ時間を考えればボリュームが多いとは言えないが、やり応えは十分にある。何か残念な点や改善してほしい点があれば書きたいのだが、残念なことに(いや全く残念ではないな……)特に思い浮かばない。強いて言えば「ハートのかけら探しがなくなったのが寂しい」とか、そういう些細なことくらいだ。すべてのゲーム好きに遊んでほしいと思うくらいに、非常に面白い快作だと個人的には評価している。

 この路線でさらにペンアクションを突き詰めたニンテンドーDSの「ゼルダの伝説」続編が出ることを願ってやまない。ゲームボーイでもゲームボーイアドバンスでも複数タイトルが出ているシリーズなので、ニンテンドーDSでも続編出ますよね? 任天堂さん。と、期待を込めてここに記しておこう。

ゼルダの伝説 夢幻の砂時計
発売日 発売中
価格(税込) 4800円
ジャンル ペンアクションアドベンチャー
プレーヤー人数 1〜2人
その他 ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
(C) 2007 Nintendo


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