痛快。爽快。大爆笑。Wiiザッパー握って浮き世の憂さを吹き飛ばせ:「ゴースト・スカッド」レビュー(2/2 ページ)
笑っているだけじゃスコアは延びない
ここまで、ゴースト・スカッドがいかに楽しいか、というか“おバカ”に徹しているかをご紹介してきた。それは紛れもない事実だし、ここまで貫くとある種の魅力になるのも間違いない。ただし、もうひとつ、絶対に見逃してはならない点がある。それはおバカな要素こそあれど、いわゆるバカゲーなどでは決してない、ということだ。Wiiザッパーを構え、ただバンバン撃っているだけでも楽しい。しかし、本当の楽しさ、面白さはその先にある。それは、いかにハイスコアを挙げるかという、ガンシューティングの本質だ。
ここからはゲームシステムについてご紹介していこう。
ゴースト・スカッドはFPS(一人称視点シューティング)と呼ばれるタイプのガンシューティングだ。用意されているステージは、リゾートホテル、大統領専用機、密林地帯の3つ。各ステージのクリアまでの時間は約10分、全体でも30分もあればエンディングに辿り着ける。元アーケードゲームらしく、非常にコンパクトな作りだ。
ステージ構成の中で注意すべきは、途中で行動分岐が発生することだ。数か所の分岐があるので、どういったルート取りをするかでミッション内容がずいぶん変わってくる。
このルート取り、ハイスコアと密接な関係を持っている。各分岐には、通常の銃撃戦だけでなく、トラップの解除、狙撃、格闘などの特殊イベントが用意されており、これらをいい成績でクリアできるかが最終的にハイスコアに大きく影響するようになっているのである。
ハイスコアを挙げるには、各ルートで起こる特殊イベントを把握したうえで、分岐ごとにどのルートへ進むか考えておく必要がある。時には苦手な特殊イベントがあるルートを避けるといった策が有効なこともある。ガンシューティングといっても射撃センスだけが求められるのではなく、それに先立ってステージの全体的な構成を考え、ゲームを組み立てていく戦術性が問われるのである。
プレイスタイルへのこだわりがさらなる面白さを呼ぶ
3ステージを最後までプレイすると、スコアに応じて経験値が入り、それによりプレイヤーキャラクターはレベルアップをしていく。この時、武器やコスチュームが追加される。高得点を挙げることは、こうしたボーナスフィーチャーを獲得するという点でも意味があるのだ。
コスチュームは雰囲気の問題で、ゲームの難易度とはあまり関係ないのだが、それでも見た目が変わると気分も変わっていい。シークレットモードほどではないにしろ、なかなか楽しいセンスの服もあるので集めて損はないだろう。
一方の武器は、ゲームの難易度をかなり左右する。大別してマシンガン系、ハンドガン系、ライフル系、ショットガン系のタイプがあり、さらに各系統ごとにいくつもの種類が用意されている。
このうち、基本となるのがマシンガン系だ。速射性と攻撃力に優れ、非常にバランスがいい。一気に大量の弾を吐き出すため、短時間で弾切れになってしまう恐れもあるが、少数の味方で多数の敵に挑むのだから、弾幕が張れるマシンガンは重宝する。最初に使える武器がこのタイプになっているのもうなずける。
これに比べてハンドガン系は上級者向きのクセの強い武器だ。装填弾数がマシンガンに比べると少ない代わりに再装填のスピードが速い。一般的には威力が低く、マシンガンよりも多くの銃弾を撃ち込まないと敵を倒せないが、盾や障害物などを貫通する強力な銃弾を使える武器もあるので、扱い慣れればそれなりに使い勝手がいい。多人数でプレイする場合は、誰かこの貫通能力を持つ銃を選んでおくと、意外に楽に道が開ける。とはいえ、この手の武器は装填弾数の少ない武器が多く、1人でプレイする場合は、それなりの覚悟が必要だ。
ライフル系は基本性能として貫通能力を有している。これはなかなかの強味なのだが装填弾数がかなり少ないので、頻繁な再装填が不可欠。この手間は銃弾の威力を考えてもかなりのロスだ。装填弾数を2倍にするアイテムがあるので、これを手に入れれば強力だが、つねに手に入るわけではないし、手に入っても無限に使えるわけではない。従って、クリアには相当な慣れが求められる。
ショットガン系は攻撃範囲の広さが魅力だ。敵がまとまっているところへ撃ち込めば、一撃で複数が倒れてくれることもあり、装甲の堅さが厄介なボートやヘリなども比較的早く破壊できる。最大の弱点は装填時間の長さ。装填数も少ないので再装填中に敵の攻撃を受けるとどうにも困ってしまう。また、人質と敵が入り乱れている場所などでは、うかつに射撃もできない。強さと不便さを兼ね備えた、やり込み派向きの武器である。
どのルートを、どの武器で進んでいくか。扱いやすい武器でハイスコアを狙い、それをニンテンドーWi-Fiコネクションを通してアップロードし、世界のプレイヤーとの腕を比べるのもいいだろう。あるいはあえて扱いにくい銃を選び、どこまで行けるか、何点取れるかに挑むのもいい。すべての武器でノーコンティニュークリアを狙うなどの途方もない遊び方もあり得る。プレイヤー1人1人が自分なりの楽しみを探せるだけの深みがゴースト・スカッドにはあるのだ。
こうしたプレイスタイルへのこだわりは、一見おバカなシークレットモードですら、きちんと盛り込まれている。忍者モードの手裏剣。この武器は装填弾数という概念がない。つまり投げたい放題。何ともありがたい話だが、その代わりスピードは銃より劣る。同時に撃ち合えば、こちらよりも先に敵の弾が命中する。まあ、手投げ武器と銃器で勝負しているのだから当然だが、そのため、銃であれば反撃を受ける前に倒せる敵から容赦ない銃弾の雨を見舞われる。しかも軌道が微妙にカーブする。遠くの敵にはその分当てにくい。遊びのモードだから適当に、などということはまったくなく、むしろ難易度という点ではアーケード版よりも難しいくらいなのである。
パラダイスモードの水鉄砲となるとさらにキビシイ。撃ち出された水は放物線の軌道を描く。だからかなり近い敵でも狙った場所でも下に当たる。離れた敵になると胸を狙って足に当たるくらいのズレを生じる。しかも銃弾速度が遅い。手裏剣と違って弾切れになるので、そのたびに再装填しなければならない(この時、バケツにつける音が聞こえる。細かい)。水着のお姉ちゃんをほけーっとながめていたら、一向に進みゃしないのだ。
ステージ構成を考え、敵の配置と出現数を覚え、どの敵から倒していくかを判断し、お好みの武器の扱い方を研究していく。そうした積み重ねが約30分という短時間に凝縮している。この時間の密度は限りなく濃い。
ゴースト・スカッドは隅から隅まで、緻密に計算されたゲームだ。それでいて、初心者からベテランまで、1人から最大4人まで、幅広いユーザーが遊べるだけのバランス感覚にあふれている。ゲームオーバーになっても、あるいはクリアしても、次はもっと上手くいけそうだ、と思ってしまう。そして再びスタートボタンを押し……ゲームセンターではそのたびにコインを入れることになるが、そこはコンシューマのありがたさ。ただ、金を使わないものだから、ますますのめり込んでしまう。気づけば結構時間が経っているが、その頃には腕も上がっているからさらに続けたくなる。かくしてハマりから抜けられなくなる。本当に、実に見事にできている。
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