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CESA常任理事・辻本春弘氏に聞く「コンテンツ分野から見た東京ゲームショウの未来」 (1/2)

今週末に開催される「東京ゲームショウ 2008」。日本を代表するコンテンツ「ゲーム」を世界に発信するために、日本はどのような姿勢で取り組んでいくのか。CESA常任理事であり、カプコン代表取締役社長の辻本春弘氏に聞く。

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 10月9日〜12日に幕張メッセで開催される東京ゲームショウ。読者の皆さんも今か今かと開催を待ち望んでいることだろう。さて、昨年から東京ゲームショウの掲示物に「CoFesta」というロゴが入っていることに気がついた人はいるだろうか。この「CoFesta」、正式名称は「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」といい、経済産業省が2006年に行われた閣議決定をもとに映画・ゲーム・音楽・アニメ・マンガ・キャラクターなどのコンテンツ産業を推進するために2007年よりスタートした「日本総合コンテンツフェスティバル」とも言うべきもの。

wk_081008cofesta03.jpg プロフィール:辻本春弘(つじもと・はるひろ) 1964年生まれ。株式会社カプコン代表取締役社長。CESAの常任理事でもあり、イベント委員長兼東京ゲームショウ実行委員長も担当している

 2008年は、「東京ゲームショウ」をはじめ、「日本ゲーム大賞」、「東京国際映画祭」、「デジタルコンテンツEXPO」、「国際ドラマフェスティバル」、「秋葉原エンタまつり」など、9月30日から10月28日までの会期中に15のオフィシャルイベントが開催される。このほかにも、CoFestaオリジナルイベントや、パートナーイベントなど、コンテンツに関するさまざまなイベントが会期中に行われているので、興味のある方はオフィシャルサイトをご覧いただきたい。

 今回は東京ゲームショウ2008開催の直前に、社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の常任理事であり、カプコン代表取締役社長の辻本春弘氏に「CoFesta」と「東京ゲームショウ」の関係についてお話をうかがった。

日本の優良コンテンツ「ゲーム」を世界に発信していくために

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―― まず、CoFestaに東京ゲームショウが参加することになった経緯からお伺いしたいのですが。

辻本春弘氏(以下、敬称略) これは、経済産業省からのご提案になります。日本のアニメ、漫画、ゲーム、映画、そういったコンテンツを日本の産業として、全世界に発信していきたい、というお考えがあったようで、そういった業界の展示イベントを個別のスケジューリングのもとに開催していくよりも、1つのイベントとして期間をとって展開した方がより効果的ではないか、という発想がまずあって、その一環としてゲームもその枠組みに入ってもらえないでしょうかと。それが最初のきっかけになります。

 たまたま時期的にも東京ゲームショウが、今回は10月開催ですが……通年で行くと9月に開催されて、東京国際映画祭が10月と期間も他のイベントの開催日程も偶然近い時期にある、ということもありまして、期間をくくって全世界に発信できたらいいのでは、というお話ですね。

 ゲームもそういう枠組みの中に入って、日本のゲーム産業も、もちろん世界に対してアプローチしていく必要がありますから、そういった部分も考えていくと、CoFestaに参画することは非常に有効であるという判断のもとに、昨年のCoFestaスタートとともに、一緒にやらせていただいています。

―― 今までも、経済産業省は後援という形で東京ゲームショウに関わっていました。それがCoFestaというくくりが生まれて、どういった違いが出てきているのでしょうか。

辻本 CoFestaは昨年からスタートしましたが、我々CESAがCoFestaの中でイベントを運営していくことによって、東京ゲームショウやCESAのイベント等において経産省としての直接的な協力をしていただけるというところが大きな違いでしょうか。

 今までの東京ゲームショウは「ユーザーイベント」の色彩が強く、ビジネス的な展示イベントの傾向がやや薄かったというところもあります。東京ゲームショウ2007についての方向性を当協会で検討した際に、世界最大のエンターテインメントショウとして更に発展していくためには、ビジネス機能の強化と更なる国際化を促進する必要があるとの結論になり、過去においてはビジネスデー1日、一般で2日だったものを昨年からビジネスデーを2日に増やすことにしました。

 ちょうど、その時期、産官学で構成されたゲーム産業戦略研究会が発表した「ゲーム産業戦略」においても、「東京ゲームショウ」の情報発信力や機能を抜本的に強化すべきとの提言あり、CESAも経済産業省も東京ゲームショウに対する問題意識が一致していたわけですから、コフェスタというくくりの中で、経済産業省との連携を深めて、ゲーム産業や東京ゲームショウの強化を図り易くなったというのはあると思います。

―― CoFestaでは現在、CoFestaの総合パンフレット配布やWebサイトでの告知、あるいはイベント間でのプロモーション協力といった、「告知面」での協力がスタートしています。例えば「東京国際映画祭」と「東京ゲームショウ」が連動したイベント企画を行うとか、そういったもう一歩踏み込んだ展開は何かお考えでしょうか。

辻本 今の段階においては、まだ告知レベルでの協力をスタートさせているというところになります。昨年始まったばかりでまだ2回目ですから、まだその段階ではないというか……これから検討していくような状況なのではないでしょうか。

 そもそも、我々も含めて、もともとイベントをやっていた団体がCoFestaに参画している場合、それぞれ主催者さんの考え方にもとづいてイベントを開催されていたわけです。その目的が共有されない状況で、なにか一緒にやったとしても、そもそものイベントをスタートさせたときの目的がぼやけてしまっては本末転倒になってしまいます。

 それは今後、来られている方々の反応を見ながら、どのように融合をしていくかを考える必要があるでしょう。

―― CoFestaに参加したことで、東京ゲームショウは何かマイナス面の要素はあったのでしょうか。

辻本 それはないですね。ただし、今後東京ゲームショウ自身の課題として、秋の開催でいいのかというのはあります。全世界的なイベントから考えて、ユーザーイベントでなくてビジネス的な要素を考えるのであれば、年末が大きな商戦期になるわけです。

 そう考えたときに、小売店さん自身の活動関係を考えますと「秋では遅い」という話があるわけです。CoFestaの開催期間が秋に限定されてしまうと、そういった見地から再検討することがあるかもしれません。

 先ほども申し上げましたが、東京ゲームショウはユーザーイベントの色彩が強く、また日本の小売店は商談の機会がそんなに長くない。だいたい3カ月くらいで商談をまとめてくださるのですが、海外、特に北米では年度の初頭に予算を確定することが多いんです。そうすると、海外を視野に入れるとなると、春先に開催して、「年末にこういったタイトルが出るので予算枠を確保していただこう」というやり方になる。

 そう考えますと世界的なイベントであり、かつビジネスの要素を中心に考えた場合においては「秋では遅いのではないか」という意見もCESA内部では一部出ています。ただ、すぐに開催時期を変更するということではなく、今後、CESA会員や関係者の意見を聞いた上で、CESA内で検討していくべき課題の一つとして考えております。

―― 開催時期という面では、東京ゲームショウでは過去に春・秋の年2回開催から、秋に集中させた、という経緯があります。

辻本 ゲーム業界の発展にともない、ゲームソフトを開発する環境も変化し、ゲームソフトの開発のサイクルが東京ゲームショウの年2回開催とそぐわなくなったことや会員からの意見、要望を考慮して、年2回から年1回に開催にしました。

 CoFestaについては「海外に向けて日本のコンテンツを発信していこう」という趣旨についての賛同はいたしますが、業界ビジネス全体としての発展を考えると、開催期間を限定されてしまうと少し厳しいかもしれませんね。

wk_081008cofesta04.jpg TGS2007でCESAが出展したブース「テレビゲームミュージアム」。今年は残念ながら出展はないそう
wk_081008cofesta05.jpg 同じくTGS2007で出展されたCoFestaの企画ブース「CoFesta MOVIE AQUARE」。国内外の「映像化されたゲーム」を出展していた

変わりゆく東京ゲームショウ、変わらない東京ゲームショウ

―― 海外を視野にいれたショウの展開というところでは、現在世界各国でさまざまなゲーム展示会が催されています。そういったイベントとの差別化という点では東京ゲームショウはどういった姿勢で取り組んでいくのでしょうか。

辻本 東京ゲームショウは今年で12回目と、積み重ねてきた歴史、経験があることがあげられます。他のゲームイベントに比べると圧倒的に知名度も高い。世界における東京ゲームショウの立ち位置は、世界で屈指のゲームショウだと考えています、規模も違いますし、来場者の層も他国に比べて非常に厚い。イベント単体としての完成度も違います。

 他のイベントを意識してどうこう、というアプローチではなく、東京ゲームショウがこれから先に渡っても世界で一番のゲームショウであり続けることを第一義に考えていきたいと思います。

 昨年はビジネスデーを2日に増やすことによって、よりビジネスショウとしての要素が高くなりました。他のイベントはどちらかというとユーザーイベントのニュアンスが依然として高いわけですね。東京ゲームショウは昨年からビジネス目的の方達も多く来場していただけましたし、会場で行ったアンケートを見ても、かなり満足されたという結果が出ています。そういった点からも「世界におけるゲームビジネスショウ」の位置づけについては大きく前進したかと思います。

―― 東京ゲームショウの大きな変化というところでは、今年から導入される「手荷物検査」があります。(参考記事:来場者の安全確保のため――TGS2008一般公開日に来場者手荷物検査を導入)これはどういった経緯で始めることになったのでしょうか。

辻本 これは、共催社でもあり、TGSの業務全般を委託している日経BPからの提案です。こういった安全対策は、CESAとしてももっと早く取り組みを始めるべきことであって、東京ゲームショウが世界的なイベントであり、毎年多数の来場者、企業が参加している以上、安全をしっかりと確保していくべきでした。そういった点では、もっと早めにやるべきであったと反省しています。

 東京ゲームショウは、ゲーム業界にとっても非常に重要なイベントですから、そこで何かがあってからでは遅いわけですから。

―― ここ最近、またゲームのレーティングについての議論が活発になってきていますが、東京ゲームショウではどういった対応を行っているのでしょうか。

辻本 東京ゲームショウでは以前からCESA倫理規定に基づいて、出品物をチェックしてきました。CEROができてからは、CEROのレーティング制度を導入し、会場においてもレーティングに添った運営をやっていただきたいとお願いしています。特にZ区分(18歳以上のみ対象のゲーム)については18歳未満の方の目に触れたり、試遊をできないような展示をやってくださいということは以前からお願いしていて、それは既に徹底されています。また、会場内でもレーティングについては「印刷物、掲示物に必ず記載をしてください」とお願いしています。

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