Configurationファイル内のルール編集

 Configurationファイルによる環境設定を説明しよう。このファイルの設定はやや長く、モジュールを組み込んだり取り外したりする作業をしないのであれば編集する必要はない。簡単に環境設定したいのであれば、次の「configureスクリプトによる環境設定」に進んでほしい。

 Apacheのソースファイルを展開したディレクトリのsrcサブディレクトリにはConfigurationという名前のファイルがある。このファイルをテキストエディタ(viが適当)を使い編集する。

 なお、Configurationファイルに記載されている内容の中で、行頭が「#」で始まる行はコメント行であり、その行の設定は無視される。

(1)ルール

 「Rule」で始まる行は、コンパイル時の設定を意味する(List1)。書式は次の通りだ。

Rule ルール名 = 値

 Configurationファイルで定義されているルールをTable2に示す。値には、「yes」、「no」、「default」のいずれかを設定できる(Table 3)。

List1■Configurationファイルのルール設定部分

Rule SHARED_CORE=default
Rule SHARED_CHAIN=default
Rule SOCKS4=no
Rule SOCKS5=no
Rule IRIXNIS=no
Rule IRIXN32=yes
Rule PARANOID=no
Rule EXPAT=default
Rule CYGWIN_WINSOCK=no
Rule DEV_RANDOM=default
Rule WANTHSREGEX=default

Table2■Configurationファイル内の記述ルール

ルール名 標準値 意味
SHARED_CORE default DSO(Dynamic Shared Object)を有効にする。mod_soモジュールを利用するのであれば、まずはこれを有効にしなければならない
SHARED_CHAIN default DSOを有効とする場合、ライブラリのリンクのチェインを有効にする必要がある。DSOを利用した環境でリンクできないエラーが発生した際には、yesに設定する
SOCKS4 no SOCKS4ライブラリを有効にする。有効にする場合には、EXTRA_LIBSにてSocksライブラリの場所を指定しなければならない
SOCKS5 no SOCKS5ライブラリを有効にする。有効にする場合には、EXTRA_LIBSにてSocksライブラリの場所を指定しなければならない
IRIXNIS no SGIのIRIX上でNISを使用する場合、yesに設定する
IRIXN32 yes SGIのIRIX上で使用する場合、o32ではなくn32ライブラリを使うようにする。IRIX環境以外では動作に影響を与えない
PARANOID no configureスクリプトを実行中に、モジュールがシェルコマンドを実行できるようにする
EXPAT default James Clark氏のExpatパッケージ(expat-lite)というXMLパーサのツールキット(http://www.jclark.com/xml
/expat.html
)をApacheに埋め込む。yesで組み込む、noで組み込まない。defaultでは、システム上で見つかれば埋め込むことを意味する
CYGWIN_WINSOCK no Win32上で動作させる場合、CygwinのPOSIX.1のラッパーの代わりにWin32APIを用いる
DEV_RANDOM default mod_auth_digestモジュールで使われる乱数の発生元を指定する
WANTHSREGEX default 正規表現モジュールにApacheに含まれているパッケージ以外のものを利用したい場合にはnoを設定する

Table3■各ルールの設定値

設定値 意味
Yes 有効にする
No 無効にする
Default configureスクリプトを実行したとき、環境によって自動設定される。または、--enable-ruleオプションが指定された場合には有効、--disable-ruleオプションが指定された場合には無効

 Table2を見ると分かるように、ルールではコンパイル時にどのような設定で行うのかを指定するだけだ。ほとんどの場合は編集する必要はない。

 強いていえば、DSOを有効にするためにはSHARED_COREルールを「yes」に設定する必要がある。しかし、List1に示したようにSHRED_COREルールはdefaultとなっており、後述するconfigureスクリプトのオプション設定が反映されるようになっている。そのため、DSOを有効にするにはconfigureスクリプトの--enable-ruleオプションで指定すればよく、ConfigurationファイルのSHARED_COREルールの設定を変更する必要はない。

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