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make menuconfigによる環境設定

 前述した3つの構築方法のいずれでも構わないが,ここではX Windowを利用していないユーザーのことも考えて,make menuconfigでの方法を解説していこう。

 それではlinuxディレクトリ下であることを確認して,make menuconfigと入力して進めていく。

$ make menuconfig

 すると画面は,Fig.3に示したようになるはずだ。ここでカーネルの各種設定項目を設定することになる。

 各種設定項目について説明する前に,make menuconfigの画面における操作の一般的な説明をしておく。

 キー操作は,Table 3のようになっている。

Table 3■キー操作

キー

解説

カーソルの上下キー

カーソルを移動する

[TAB]キー

別のボックスにカーソルを移動する

[ESC]キー

まえの階層のメニューに戻る。最上位の階層で[ESC]キーを押したときには終了を意味する

[Enter]キー

その項目の下の階層に移動する

[y]キー

その項目を有効にする

[n]キー

その項目を無効にする

[m]キー

その項目をモジュールとして組み込む

[スペース]キー

有効/無効/モジュールとして組み込む,を次々と切り替える

[?]キー

その項目のオンラインヘルプ(英文)を表示する

 make menuconfigは,メニュー項目が階層化されて表示される。下位階層に項目がある場合,項目名の最後が「-->」と表示され,その部分にカーソルを合わせて[Enter]キーを押すと,下の階層のメニューが表示される。たとえば,次のような項目名は,階層メニューであり設定項目ではない。

Code Maturity level options --->

 階層メニュー項目ではなく,設定項目の場合には,項目名の先頭に「< >」または「[ ]」が表示される。たとえば,次のような具合だ。

< > Parallel port support

 この「< >」の部分は,対象となる項目が,有効/無効/モジュールとして組み込むという状態によって表記が異なる。有効になっている場合には,次のように「*」印が付く。

< * > Parallel port support

 無効になっている場合には,空欄になる。

< > Parallel port support

 モジュールとして組み込まれる場合には,Mと表示される。

< M > Parallel port support

 有効/無効/モジュールとして組み込むは,それぞれキーボードから[y],[n],[m]のそれぞれのキーを入力することで切り替える。たとえば,対象項目を有効にしたければ,項目にカーソルを合わせ[y]キー,無効にしたければ[n]キーを押す。

 「< >」と「[ ]」との違いは,その設定項目がモジュールとして組み込めるかどうかの違いだ。「< >」の項目はモジュールとして組み込めるのに対し,「[ ]」の項目はモジュールとして組み込めない。つまり,「[ ]」の項目では[m]キーを入力してモジュールとして組み込むという設定はできないということを意味する。

 以上のような操作をすべての項目に施し,カーネルの環境設定をしていくのだ。

 一部の項目は,有効化するとその動作環境を設定する詳細なオプションが表示される場合もある。たとえば,パラレルポートをサポートするようにした場合,どのようなハードウェアをサポートするのかを設定する項目がさらに表示されるのだ。

 また,設定項目はカーネルのバージョンが上がるたびに増える可能性がある。ここでは,バージョン2.4.1での設定項目について説明するが,これが今後バージョン2.4.2や2.4.3といった具合に上がると共に,幾つかの設定項目が増えるだろう。旧バージョンに比べて新しく追加された設定項目については,「(NEW)」という表記がされることになっている(すでにバージョン2.4.1においても,カーネル2.2から加えられた設定項目については「(NEW)」と記載されている)。

 もしも設定項目の意味がわからない場合には,[?]キーを押してオンラインヘルプを参照するか,Documentationディレクトリ内にあるConfigure.helpファイルを参照してほしい。Configure.helpファイルは英文であるが,和訳したものはJFより入手できる(ただし2月上旬現在では,カーネル2.4に対応した和訳は用意されていない)。

 それでは,階層メニューごとの項目について説明を続けよう。

 カーネル2.4の設定項目は非常に多岐に渡るため,すべてのオプションを詳細に説明することはできない。そこで,各設定オプションについては,「重要な個所」,「標準値から変更しなければならない」場合についてのみ説明し,あまり重要でない項目についての説明は割愛させていただく。


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