Mobile:NEWS 2002年12月3日 08:51 PM 更新

「キラー」無きまま、J-フォンの3Gがスタート

延期を繰り返したJ-フォンの3Gが、12月20日、ついにサービスインする。W-CDMA方式の3Gに加え、GSMとのデュアルモード機も2機種準備。「Vodafone」の名を冠したブランド名も採用し、グローバルスタンダードをうたう。しかし“3Gならでは”のアプリケーションは結局用意されず、順風満帆のスタートとはいえない

 J-フォンが12月20日から、第3世代携帯電話サービス「Vodafone Global Standard」を開始する(12月3日の記事参照)。会見に臨んだJ-フォンのDarryl E. Green社長は、「われわれが出す3Gは、3GPP標準に則っており、どこに行っても使えるから」だとブランド命名の理由を説明した。


 3機種用意される3G端末のうち、NEC製とNokia製の2機種はGSMとのデュアル端末(12月3日の記事参照)。そのまま海外に持っていっても、同じ電話番号で電話が受けられる。もちろん端末内のUSIMカードを外して、GSM端末に差し込むプラスティックローミングも可能だ。

 ローミング時の通話料金も抑えられ、「海外通話料金は他社に比べて半額、またはそれを下回る」と、マーケティング統括部長の土居健人氏。海外利用のみなら月額540円で使えるプランも用意した。


国際ローミングは多彩な手段が用意される

EメールもWebも、写メールもなし

 しかし、Green社長が約束していた“3Gならではのキラーサービス”の登場は、結局先送りになってしまった。国内で利用できるサービスは、音声通話とテレビ電話、ショートメッセージサービス(SMS)に、PCと接続してのデータ通信がメイン。

 J-フォンの顔である「写メール」や「ムービー写メール」は、2003年の夏以降にならないと3Gでは実現しない。SMSも、既存のJ-フォン端末およびVodafone UKの契約ユーザーとのやり取りは可能だが、Eメールサービスは提供されない。「Nokia 6650」のMMSを使った動画の送受信もデモされたが、サービス開始当初はMMSのサーバをJ-フォン側で立てる予定もないという。またテレビ電話についても、NTTドコモのFOMAとは互換性がない。

 もちろんGreen氏も、この状況でのスタートに満足はしていない。「今月始まるサービスは、まだ不満足なところがある。まずカバーエリアが60%しかない。また豊かなコンテンツの準備が整っていない」。

 「本当は、J-スカイに取り組みたいが、(今回は3GPPの)6月のアップデートも取り入れている。最新のソフトウェアが安定しないとJ-スカイのソフトが出せない」(Green氏)というのが実情だ。

 サービスの代わりに強化を図るのがサービスエリア。「一気に広げていく。2003年8月にはPDCと同等のカバーエリア」とGreen氏が話すように、現在3500局ある基地局に、マイクロ基地局を中心とした1万局を追加し、2003年度中に人口カバー率95.4%を目指す。

 今後の3Gならではのサービスについては、Green氏が「ムービー写メールのいいものを出そうとすると、3Gネットワークが必要だ」と述べるに留めた。ただし、サービス開発本部長の桑折恭一郎氏は「WAP2.0やMIDP2.0も開発スケジュールに載っている。(例えばMMSで扱う動画フォーマットとムービー写メールの動画フォーマットは異なるが)3Gでも2Gのサービスを包含する形で連続性を保っていく。MMSとデュアルで機能を搭載することもあり得る。100万台以上も普及したNancy(11月20日の記事参照)を捨てたりはしない」と見解を話している。

 ちなみに、既にグローバル企業であるJ-フォンにとっては、PDCよりも3Gに力を入れたいのが本音だ。「PDCは高価な上、容量が少ない」とJ-フォン技術本部長のJohn M. Thompson氏。PDCとW-CDMAのデュアルについては「慎重に検討した結果、全国の3Gカバーを先にしたほうがいいという結論になった。そもそもPDCは3GPPスタンダードでもない」と話す。

「2003年の契約者数目標は100万程度」

 サービス内容には乏しいJ-フォンの3Gだが、契約者の獲得には強気だ。「2003年の(契約者数)目標は100万程度」とJ-フォン。「Vodafoneのブランドを使って、法人に向けたサービスとして、国内および外資系企業もターゲットにしていく」。法人需要は、100万のうち2割程度を見込む。

 NTTドコモのFOMAが初年度138万契約の目標を立て、結局32万に下方修正したのは記憶に新しいところ(11月7日の記事参照)。海外ローミングサービスは、価格面でもサポート面でも期待できそうだが、いかんせん、キラーとなるサービスがないまま、見切り発車となった感は否めない。

 試験サービスの期限がこの12月で切れるのを受けて「とりあえずのスタートではないか」と話す関係者も多い。海外渡航が多いビジネスマンなど、特殊な需要を除けば、しばらくの間は普及は見込めないだろう。夏以降とされる新端末で、どんな新しいサービスを投入できるかに注目が集まる。



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▼ J-フォン

[斎藤健二, ITmedia]

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