Mobile:NEWS 2003年10月24日 07:14 PM 更新

音声実質値上げ?〜au「1x WIN」の死角(2/2)


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ひっそりと実質値上げ傾向の料金プラン

 「CDMA 1x WIN」では料金プランも変更された。プランL/M/S/SSの四つとなり、旧IDO地域(関東中部)の6種類、旧セルラー地域の7種類から整理統合され、ようやく全国均一の料金体系となる。

 しかし音声通話中心のユーザーにとっては実質値上げの側面もある。旧IDO地域と旧セルラー地域で異なる見方ができるので、関東と関西地区を代表として取り上げてみよう。まずはエコノミーなプランから見ていく。

3900円クラス

 関東地域では月額3980円の「コミコミOneエコノミー」は「プランSS」に対応するが、これは完全な値上げ。「プランSS」は月額3900円とわずかに安いが、無料通話料は1000円と半分になり、さらに課金単位も10円/15秒が20円/30秒と短時間通話では実質の値上げ。15秒以内の通話がコミコミOneエコノミーなら200回行えるが、プランSSではわずか50回となる。

 関西地域では月額3900円の「コミコミコールS」が同額の「プランSS」になる。こちらは無料通話料は1400円が1000円となるが、課金単位は40円/60秒が20円/30秒となるため、短時間通話の多い人には必ずしも値上げとはならない。

エコノミープラン料金比較
基本料金無料通話料課金単位通話料/分最大通話分数最大発信回数
CDMA 1x WINプランSS3900円1000円20円/30秒40円25分50回
旧IDO地域コミコミOneエコノミー3980円2000円10円/15秒40円50分200回
旧セルラー地域コミコミコールS3900円1400円40円/60秒40円35分35回

7500円クラス

 次はいわゆるスタンダードプランだ。関東地域では月額7500円の「コミコミOneスタンダード」が「プランM」に対応する。無料通話料は4200円と300円分減っているが、最大通話分数は150分と変わらない。従って効率よく使えば値下げになるが、こちらも課金単位は10円/20秒が14円/30秒となる。20秒以内の通話が450回行えたものが、300回と減る。

 関西地域ではかなり微妙だ。「コミコミコールL」の人が「プランS」に移行した場合、基本料金も無料通話料も900円減るが、この差額900円で約28分通話できる。つまり「コミコミコールL」の基本料金で「プランS」なら93分通話できることになり、7分だけ通話可能な時間が減る計算だ。課金単価は30円/60秒が16円/30秒になるので、多少短時間通話が重なれば、「プランS」のほうがお得になる可能性は高い。

※初出で「プランS」が「プランM」と誤って記載されておりました。お詫びして訂正させていただきます

 月額8800円の「コミコミコールジャンボ」は無料通話料との点で「プランM」に近く、「プランM」は月額6900円と1900円安い。しかし通話料は20円/60秒が14円/30秒なので、長時間通話では大幅な値上げだ。現在コミコミコールジャンボの無料通話料をちょうど使い切るような場合には「プランM」がまだお得だが、無料通話料を大幅に超えるような場合は「プランM」は割高になる。

スタンダードプラン料金比較
基本料金無料通話料通話料通話料/分最大通話分数最大発信回数
CDMA 1x WINプランM6900円4200円14円/30秒28円150分300回
プランS4900円2100円16円/30秒32円65分131回
旧IDO地域コミコミOneスタンダード7500円4500円10円/20秒30円150分450回
旧セルラー地域コミコミコールジャンボ8800円4000円20円/60秒20円200分200回
コミコミコールL5800円3000円30円/60秒30円100分100回

10円課金と60秒課金の料金統合

 10円単位課金だった旧IDO地域と、60秒単位課金だった旧セルラー地域の料金統合のために、間を取る形で30秒単位の課金体系に変更したと思われる。FOMAやボーダフォンの3Gに合わせるという意味もあるだろう。

 結果として旧IDO地域では短時間通話の多いユーザーは完全な値上げとなり、旧セルラー地域では長時間の通話の多い場合は実質値上げという傾向が強くなった。

 3900円台のエコノミープランは無料通話料が大幅に削減され、両地域でほぼ完全な値上げとなった。この価格帯のプランはそもそも短時間通話の多い人が多いだろうから、特に旧IDO地域のユーザーでは半分になった無料通話料以上の影響を受ける可能性が高い。

 もちろんエコノミープランの大幅な実質値上げは、「1X WINはデータ通信指向が強いユーザーが利用する」と言う見込みがあってだろうし、これは間違いではない。現状は、CDMA 1x端末を選ぶという選択肢も与えられているのだから、これで構わないのだろう。

 しかし将来的に「1x WIN」しか選択肢がなくなった場合、エコノミープランを利用するユーザーは確実に損をすることになる。もっともその頃には料金体系もまた変化しているとは思うが。

FOMAに対する見せかけの割安感

 筆者が腑に落ちないのは、明らかにFOMAの料金体系にぶつけてきたことだ。そして無料通話料をFOMAよりもわずかに多めにすることで、割安感を見せている。しかし通話料金はFOMAのほうが微妙に安く、無料通話料での通話可能分数もおおむねFOMAのほうが多い。FOMAに対する見せ掛けの割安感を狙ったのだとすれば、既存ユーザー無視の方向性と取れなくもない。

FOMAとの料金比較
基本料金無料通話料通話料通話料/分最大通話分数最大発信回数
CDMA 1x WINプランSS3900円1000円20円/30秒40円25分50回
FOMAプラン393900円750円15.5円/30秒31円24分48回
CDMA 1x WINプランS4900円2100円16円/30秒32円65分131回
FOMAプラン494900円2050円14円/30秒28円78分146回
CDMA 1x WINプランM6900円4200円14円/30秒28円150分300回
FOMAプラン676700円4050円13円/30秒26円156分311回
「1x WIN」の通話料金体系は通話先・時間帯・距離にかかわらず一律だが、FOMAは通話先、時間帯、距離に応じて通話料金が変わる。FOMAの場合、土日・深夜は大幅に通話料金が下がり、遠隔地や携帯相手の通話では通話料金が上がる。ここでは一般的な例として、平日昼間営業区域内の一般電話への料金を取り上げて比較した

 auの全国料金統一はどこかでやらなければならないことだ。今回は「1x WIN」利用者のみと部分的な統一だが、筆者は旧IDO地域の短時間通話の割安感、旧セルラー地域の長時間通話での割安感をうまくミックスしてくれると期待していた。しかし対FOMA色の強い新規加入者獲得向けの料金体系になってしまった印象が強い。

 筆者が依然「携帯電話の通話料は高い」と認識する音声通話重視の旧人類であることは認めよう。しかし「1x WIN」の料金プランは、ある種の便乗値上げと見られても仕方ない。「1x WIN」や「EZフラット」自体は将来性も含めて非常に魅力的であるがゆえに、音声通話軽視とも取られかねない基本料金体系は残念に思う。



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[坪山博貴, ITmedia]

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