Mobile:NEWS 2003年12月24日 11:10 PM 更新

KDDIの新動画フォーマット「3GPP2」とは何か?


 KDDIは、CDMA 1X WIN端末向けの動画配信フォーマットとして3GPP2を採用した(10月22日の記事参照)。最大1.5Mバイトの容量に達する動画配信サービス「EZムービー」などが、このフォーマットで提供される。

 3GPP2は、ドコモやボーダフォンでいう3GPPフォーマットのCDMA2000版。いずれも、一般的にはMPEG-4ファイルと呼ばれているものだ。

ファイルフォーマット3GPP3GPP2
ネットワークGSMCDMA2000
ビデオMPEG-4/H.263
オーディオAAC/AMRAAC/AMR/QCELP
テキスト3Gテキスト
ベースファイルフォーマットMP4
拡張子.3gp.3g2
3GPPも3GPP2もベースとなったフォーマットはISOのMP4。MP4はQuickTimeをベースにしている

 両者は「基本的には変わらない。(異なるのは)オーディオコーデック程度」(KDDIコンテンツ開発部の上月勝博氏)という程度。

 ただし、3GPP2の定義は「フォーマット以外に伝送系も含まれる。巻き戻しや早送りの仕様や、例えばPSS(Packet-swiched Streaming Service)など」(上月氏)。ファイルフォーマットの部分は固まったが、伝送系の仕様はまた標準化の途中。その中で、KDDIが採用した仕組みが、「TCPストリーミング」と「ムービーフラグメント」だ。両者とも、EZムービー向けに活用されている。

 まずTCPストリーミングを使ったことで、サーバの運用が容易になった。「通常ストリーミングにはRTPなどに対応したサーバが必要だが、(TCPストリーミングなら)サーバに3GPP2に対応したMIMEタイプを加えるだけでOK。個人の方でも簡単にムービーサービスが行える」(上月氏)

項目TCPUDP
パケットロスの影響の少なさ×
ビットレート変動の影響の少なさ×
ネットワーク遅延の影響の少なさ
サーバ負荷の小ささ×
ネットワーク負荷の小ささ
ビデオオーバーヘッドの小ささ×
ビデオ表示時間までの待ち時間の短さ

 ムービーフラグメントは、長時間のムービーファイルを複数のブロックに分割して送信することで「途切れなく長時間再生を可能にする」(上月氏)ためのものだ。ファイルの頭に、MP4ベースのブロックがあり、その後ろはヘッダとデータが繰り返される。


「あまり細切れにしてもヘッダばかりが増える」(上月氏)ということから、KDDI研究所と共同で研究した結果、10秒から15秒単位で分割するのが適当と判断した。デフォルトではフラグメント(断片)単位は15秒となっている

 いずれの機能も、3GPP2をサポートするQuickTime6.5で作成・再生できるようになっている(12月22日の記事参照)。

 なお、KDDIは動画フォーマットを3GPP2に共通化したわけではなく、従来利用していたAMCも引き続きサポートしていく予定。QuickTime6.5もAMCに対応している。

 さらにドコモやボーダフォンとの互換性を重視して、3GPPフォーマットも1X WIN端末ではサポートした。「社内でも3GPP2にこだわる話もあった。しかし、3GPPと3GPP2の違いはあまりない。互換性を重視すべきだということで対応した」(上月氏)



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[斎藤健二, ITmedia]

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