体感速度“384Kbps相当”は本当か?──「b-384」を試す定額つなぎ放題サービス「bモバイル」向け新アクセラレータ「b-384」の公開トライアルが開始された。b-384ではサーバ/クライアント形式を採用。画像圧縮と通信の最適化で実スループットの向上を図っている。
日本通信が、定額つなぎ放題サービス「bモバイル・プリペイドサービス」ユーザー向けに、新アクセラレータ「b-384」の公開トライアルを開始した(12月24日の記事参照)。期日限定だが、同社Webからダウンロードするだけで、別途手続きをすることなく利用できる。
同社はこれまでもWebアクセス時の体感通信速度を向上させる「Webアクセラレータ」を各種提供してきた(3月22日の記事参照)。これらはProxyサーバで画像を圧縮して受信データ量を減らし、体感通信速度を向上させるという仕組み。画像品質は低下するが、画像表示自体を無効にするよりは実用的なWebアクセスが行える。またProxyサーバを利用するだけでいいので、ブラウザでProxy利用の設定さえ可能であれば、PDAなどでも利用できる。汎用性の高さも特徴であったといえるだろう。 対する「b-384」では、サーバ/クライアント形式の採用に伴い敢えて汎用性を捨て、専用クライアントを準備した。「b-384」はWindowsでのみの利用が可能になっている。
b-384では実スループットの改善が図られている。詳細は公表されていないが、「Wireless TCPと似たような仕組みを取り込むことでTCP/IPレイヤー部分での高速化を実現した」としている。 WebアクセラレータらしいのはWebを構成するオブジェクトの受信順の最適化だ。これは専用クライアントと同社が準備したサーバの連携で実現できた機能。b-384ではWebを構成するオブジェクトをサーバが解析し、文字情報を優先して送り出す。このため文字と画像が複雑に入り組んだWebでも、文字情報を真っ先に読むことが可能になっている。
もちろん好評だった画像圧縮機能も引き続き採用されている。従来と大きく異なるのは特定、またはWeb全体の画像のオリジナルを必要に応じてすぐにリロードできるようになったことだ。 このリロード機能は扱いも簡単。表示されている画像の上にマウスカーソルを移動するとガイダンスがポップアップするようになっており、[SHIFT+R]でマウスカーソル下の画像のオリジナルを、[CTRL+F5]でWeb全体の画像のオリジナルをリロードできる。必要な時に必要な画像のオリジナルを閲覧できるなど利便性が向上した。
このリロード機能は、「b-384」のベースとなった前回のトライアル(8月18日の記事参照)の場合、IEコンポーネントを利用したタブブラウザでは利用できなかったが、これも利用可能になっている。「b-384」はタブブラウザユーザーにも有効なので、大きな改善といえるだろう。 画像圧縮率の変更もJPEG/GIFの圧縮率が個別に設定可能で、圧縮率の設定もより詳細に行える。これらの設定はタスクバーに常駐したアイコンをクリックし、設定画面を呼び出すだけで変えられる。またWebアクセスのパフォーマンスに影響を与える各種設定も容易に変更できる。
b-384でアクセラレータの効果はどう変わったのだろうか。 ここでは従来のWebアクセラレータも利用し、おおむね同一時間帯に本サイトのトップページ、Mobile、リビング+の3つのWebサイトをタブブラウザ「Donut P」のお気に入りグループに登録し、3つのWebサイトに同時にアクセスした場合のパフォーマンスをチェックしてみた。3つのWebサイトに同時アクセスさせているのは、違いを分かりやすくするためだ。 以下に示すのは、Windows XPのタスクマネージャにある「ネットワークパフォーマンス」グラフだ。3つのWebに同時にアクセス開始し、完全に表示されるまでのデータトラフィックを参照し、これを参考とした。
注目すべきはb-384で最高画質を設定した場合だろう。オリジナルに対して画像の表示品質劣化がほとんどないにも関わらず、従来のWebアクセラレータ「マリオン」「ミッシェル」利用時よりも短時間でWebの読み出しを完了している。また「イアン」利用時とほとんど変わらない。グラフを見れば分かる通り、データも連続して高速に流れている部分が多く、TCP/IPレイヤーでの高速化が効いているようだ。 b-384の「低速」と「高速」では、なぜか「高速」のほうがWebの読出しに時間がかかっている。この傾向は、複数回検証を行っても同様だった。画像圧縮率を上げすぎるとサーバ側の負荷など何かしら弊害があるのかもしれない。もっとも「低速」は6種類の組み合わせの中で最短を記録しており、従来のWebアクセラレータ「イアン」よりも確実に高速だ。全体でも見れば「b-384」は従来のWebアクセラレータより確実に高速といえるだろう。
b-384は登場のタイミングを考えると、AirH"でより多くのISPで利用可能になったWebアクセラレータ「トルネードWeb」への対抗策に見えなくもない。「トルネードWeb」も画像を圧縮して体感通信速度の図っており、これまで独特だったbモバイルの魅力がかすんで見えかねないからだ。 しかし今回の検証で分かった通りb-384は、より根本の部分で改善が図られており、ほとんど画像の劣化なしに実スループットの向上を実現している。もっとも画像圧縮機能と組み合わせて“体感384Kbps相当か”といわれると判断が難しい。そもそも384Kbpsがどの程度の体感速度なのか、それが分からないということもある。 文字情報がしっかり先に表示されるなど、Webアクセスならタブブラウザで複数のサイトを同時にでも開かない限りストレスは感じさせない。モバイル利用という面から見れば、b-384の併用でbモバイルが魅力を増すのは間違いない。 注意点は、b-384はTCP/IPをフックしている関係上、一部のファイアウォールソフトなどと相性が悪い。筆者のPC環境ではシマンテックの「Norton Internet Secrity」がインストールされているとb-384のインストール自体を拒否された(ウイルスバスター2004のインストールされたPCでは問題なく利用できた)。 またb-384は現在、トライアルのため無償で利用できるが、本サービス開始に当たっては有償化が予定されているという。「可能なかぎりリーズナブルなサービスとして提供したい」(日本通信)。課金体系は同社の無線LANアクセスサービスで行っている「等価交換」方式になる見込みだ。 関連記事 目標体感速度384Kbps〜日本通信、増速アクセラレータ「b-384」の公開トライアル 384kbps並の速度を目指す──。日本通信は、同社の定額つなぎ放題サービスパッケージ「bモバイル」ユーザーを対象に、増速アクセラレータ「b-384」の公開トライアルを実施する。 bモバイルの「U100」シリーズ、無線LANも使い放題に PHSのパケット通信を使った日本通信の定額つなぎ放題パッケージ「bモバイル U100シリーズ」が、無線LANも使い放題になる。12月10日から。 画質を落とさず体感速度が向上〜日本通信のSpeed Web「Serena」 定額つなぎ放題サービスで、体感速度を向上させるWebアクセラレータを提供している日本通信は、画質を落とさず体感速度を上げるSpeed Webを公開した 日本通信、Webアクセラレータートライアルにさらに高速なメニューを追加 日本通信は、一般ユーザー向けに一時提供しているWebアクセラレータサービスに、3〜5倍の体感速度でWeb閲覧を可能にする「アイザック」を追加した 日本通信、Webアクセラレータ「イアン」5倍速・体感トライアルを実施 日本通信、「次世代アクセラレーター」の公開トライアルを実施 [坪山博貴, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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