News 2000年11月14日 09:51 PM 更新

NTTがDSLサービスの回線利用料を値下げへ,従来の半額に

NTTがDSLサービスでユーザーから徴収する回線利用料を見直し。一般的な電話重畳&DSL事業者側のスプリッタを利用する場合で410円になる。

 NTT東西地域会社は11月14日,DSLサービスにおける加入者回線利用料の新しい料金案を郵政大臣に認可申請したことを明らかにした。この料金は,ユーザーがDSL事業者に支払う接続料とは別に,NTTに対して毎月支払うもの。認可されれば,回線利用料金が現在のおよそ半分に引き下げられる。

 現在の試験サービスでは,最も一般的な“電話重畳&DSL事業者側のスプリッタを利用する場合”で800円の回線使用料が請求されている。これは,「想定されるコストから割り出された金額」であり,NTTは「本サービス開始後も,値下げするのはかなり難しい」と話していた(8月22日の記事を参照)。

 しかし,今回はこれが一転。「試験サービス期間の実績では,作業の不慣れによる稼働時間の増加も考えられる。今回の申請にあたっては,費用の安定している同様の業務にかかるものを準用することにした」(NTT)と言う。行政が「IT推進」に傾き,監督省庁である郵政省がNTTへの圧力を強めるなかでの判断だ。

 料金の内訳は,回線管理運営費339円,故障受付費41円,そして追加MDF費用30円の計410円。また,NTTのスプリッタを利用するケースではこれに局内スプリッタ費用として217円が加算され,月額627円(従来は1000円)となる。さらに,電話と重畳しない場合は,加入者回線に関する原価償却費や保守費用などが含まれ,月額2244円(従来は2600円)。

 NTTの発表した“実質値下げ”に対し,DSL事業者側は歓迎の意志を表している。現在開通しているADSL回線のおよそ3分の2を占める東京めたりっく通信は,「これで総額6000円以下でADSLサービスを提供できるようになった」と話す。同社の接続料金は5500円(シングル640)であり,これに回線利用料の410円を加えても,月額5910円でADSLサービスを利用できるようになる。

 ただし,この値下げがいつから実施されるかは郵政大臣次第。NTTは,「郵政大臣の認可を得た後,速やかに接続約款の変更を実施し,DSL事業者との協定を締結する」としており,明確な実施時期は示していない。

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関連リンク
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[芹澤隆徳, ITmedia]

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