News 2000年11月15日 09:16 PM 更新

Transmetaのパーティに集まったPCベンダーたち

TM5800は「結構はやい」らしい。FIVAは「最長10時間」だそうだ。パーティ会場で拾ったネタをまとめてお届けする。

 低消費電力プロセッサ「Crusoe」で一躍話題になった米Transmetaは,「COMDEX/Fall 2000」へのブース出展こそ見合わせたものの,OEM各社と報道関係者を招いてパーティを催したほか,ベネチアンホテルにスイートルームを借りて個別の説明会を行っている。今回は,パーティ会場で仕入れた話題をいくつか紹介しよう。

CASSIOPEIA FIVAは最長10時間

 別レポートにもあった「CASSIOPEIA FIVA」だが,さすがにTransmetaのパーティでは実際に触れることができた。

 重さは明記されていなかったので体感でしか言えないが,標準バッテリー搭載で1キロを切るぐらいだろうか? サイズ的には懐かしの「チャンドラ」を薄型にした感じだ。全体の印象から「台湾ベンダーからのOEMでアキアの企画か?」と思い,説明を行っていた北米の社員に話を聞いてみたが,「よく分からない」とのこと。

 バッテリー駆動時間は,大容量バッテリー搭載時で最長10時間ということだが,標準バッテリーでの成績は教えてくれなかった。なぜだろう? 大容量バッテリーの展示も行われていなかったので推測することも不可能だ。

 なお,パッケージにはPDC携帯電話との接続ケーブルが添付されるそうだ。説明してくれたアメリカ人の彼が指し示していた「PDCポート」が,明らかに電源プラグの差込口だったのでそう指摘すると,今度はUSBポートを指さした。「USBインタフェースケーブルなの?」と聞いてみたが,明確な答えはない。たぶんUSBケーブル,とここでは報告しておこう。

Gateway/AOLのアプライアンスが登場

 GatewayとAOLが共同開発しているというアプライアンス(11月10日の記事を参照)も,ここでは実際に触ってみることができた。機能を直接呼び出せるファンクションキーとタッチパネル,それにAOL独自のユーザーインタフェースで,ネットを簡単に楽しめるのが特徴。ポインティングデバイスはキーボード右のジョイスティックでも操作できる。写真では分かりにくいかもしれないが,キーボードは赤外線によるワイヤレスだ。

 奥行きはあまりなく,冷却ファンもなし。Gatewayによると,家族が集まる場所にさりげなく置ける大きさと,邪魔にならない静かさを重視したそうだ。ブラウザ部分は「Netscape Navigator 6」にも使われるGeckoエンジンを採用。Transmeta特製のMobile Linux上で動作しており,Windowsは搭載していない。AOLアクセスが前提のビジネスモデルのため「きわめて低価格」(Gatewayの担当者)に提供される予定だ。

低消費電力を活かした超小型サーバアプライアンス

 アメリカは大きさを許容する風土があると思うのだが,中には変わり者もいるらしい。Rebel.comが展示した「Rebel Netwinder 3100」は,TM5400を搭載したSOHO向けのサーバアプライアンスだ。ファイアウォール,Web,FTP,SMTP,POP3,IMAP4,LDAP,DHCP,DNSなどのサーバ機能を持ち,Sambaを用いたファイルサーバとしても機能させることができるそうだ。

 話を聞いてみると「ルータのように目立たないサイズで高性能なサーバアプライアンスを実現したかった」という。「価格は安いよ」ということだが,具体的には決まっていないらしい。ハードディスク容量などのコンフィギュレーション,サポートプログラムによっても価格が異なるため,同社のサイトから問い合わせて欲しいとのこと。

TM5800は結構はやい?

 現行のTransmetaプロセッサでは最も高速なTM5600の後継となる「TM5800」が,はやくもパーティ会場での話題になっていた。TM5800は,内蔵2次キャッシュが1Mバイトに増量されるとともに,IBMエレクトロニクスの0.13ミクロンプロセスで製造される予定。クロック周波数は,既報の通り800MHzから登場し,最終的には1GHzまでクロックアップするらしい。

 ただし,プロセッサそのもののアーキテクチャは変更されない見込みで,速度面でも2次キャッシュメモリ増量とクロック周波数向上の分だけ高速化されるのみ。アーキテクチャ変更はTM5800の後に控える「TM6x00」系で行われるそうだ。VLIWの命令長を2倍の256ビットにすることで,命令スループットをピーク値で2倍にする。CMSの進化が256ビット化のメリットを活かす上で鍵になるだろうが,まぁこれは2002年の話である。まだまだ先のことだ。

 じゃぁ何が「はやい」のかって? 速いじゃなくて,早いだ。来年後半に登場すると言われるTM5800だが,話を聞くとサンプルは来年の前半,それも結構早い時期に出てきそうとのこと。

 これが本当なら,来年の秋モデルにはTM5800が採用されていることになる。

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[本田雅一, ITmedia]

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