News 2000年11月30日 11:47 PM 更新

ワイヤレス端末をウイルスが襲う日──ウイルスの世界的権威来日

「あなたの冷蔵庫やアイスボックスまで攻撃するウイルスも登場する」。ワイヤレス化とネットワーク化が進む昨今では,そんなことも不思議ではない。

 11月30日,全世界のネットワークアソシエイツグループの研究部門であるAVERTの責任者が来日し,今後のウイルス動向を語った。AVERTは“Anti-Virus Emergency Response Team”の略称。ネットワークアソシエイツのコンピュータセキュリティ全般の研究部門だ。


AVERTの責任者,Vincent Gullotto氏

 AVERTの責任者であるVincent Gullotto氏は,今後のウイルスの傾向を次のように語った。まずウイルスの手口としては,「リモートアクセストロイ型」が増えてきているという。リモートアクセストロイ型とは,米Microsoftを襲った「W32/QAZ」に代表される,外部からの侵入を手引きするウイルスのことだ。

 現在,200種類を超えるリモートアクセストロイ型ウイルスが発見されており,特に「Downloader」と「Backdoor-G2」には注意が必要だという。

 もう1つの手口は「DDoS攻撃」だ。これは今年2月米Yahoo!,eBay,Amazon.comなどを襲った分散サービス拒否攻撃のこと。Gullotto氏はDDoS攻撃がより一般化していくのではないかと懸念している。「eBayやYahoo!に起きたこと(DDoS攻撃)が,将来ワイヤレス機器にも起こるのではないかと心配している」(Gullotto氏)。

 Gullotto氏は「ワイヤレスワンダー」という言葉を使い,「いつでもインターネットに接続できるということは,いつでも脅威があるということ」と話した。「世界との接続は弱点ともなる。もし弱い立場にあれば攻撃を受ける」(Gullotto氏)。

 「あなたの冷蔵庫やアイスボックスまで攻撃するウイルスも登場するかもしれない」とまでGullotto氏は言うが,現在のところ,そこまでの心配はない。ただし政府のIT基本戦略にも出てくるIPv6が普及した際には,1つひとつの家電製品にまでIPアドレスが振られるだろう。現にインターネットに接続できるオーブンレンジや冷蔵庫などは既に販売されている。

 インターネットを利用するウイルスが登場して,感染速度も感染による被害もこれまでとはケタ違いのものになった。機器のワイヤレス化とインターネットへの接続が進むことで,被害はさらに早く深刻になる可能性がある。

 Gullotto氏は日本での滞在中,携帯電話,とくにiモードに関して情報を収集するという。世界に先駆けてJavaが搭載されるiモードは,世界的なセキュリティ研究家の目にとまったようだ。

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[斎藤健二, ITmedia]

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