News 2000年12月8日 07:52 PM 更新

経営再建に専念するPriceline.com,日本進出を断念

ソフトバンク・イーコマースとPriceline.comの交渉が打ち切られた。プライスライン・ドット・コム ジャパンは来年3月をメドに解散する。

 ソフトバンクの100%持株会社であるソフトバンク・イーコマースは12月8日,米Priceline.comとの交渉を打ち切ったと発表した。両社は今年7月,合弁でプライスライン・ドット・コム ジャパンを立ち上げ,2001年春をメドにサービスを開始するとしていた(7月31日の記事参照)。

 Priceline.comは現地時間12月7日,11%の従業員をレイオフするとともに,事業内容を見直してコアビジネスに注力すると発表(別記事参照)。その一環として,日本市場進出についても断念した。「計画していた保険や携帯電話サービスなどの新規事業を凍結し,航空券やホテル予約などの旅行関連サービスにリソースを注ぐ」(Priceline.com)

 両社は7月に法的拘束力のない趣意書を締結し,9月に新会社設立に関して基本合意していたが,Priceline.comが事業計画を見直したため,最終的な合意には至らなかった。「逆オークションという注目のビジネスモデルだっただけに,国内でサービスを提供できなくて非常に残念だ」(ソフトバンク・イーコマース)。なお,9月に設立したプライスライン・ドット・コム ジャパンは来年3月をメドに解散する予定。

 Priceline.comは,ユーザーが商品の希望価格を提示し,企業が自社で提供できる価格を示して競り落とすという,逆オークションのシステムで一躍有名になった。最近では,ガソリンや生鮮食品などその守備範囲を広げていたが,2000年第3四半期決算では,3億4100万ドルの売上げに対して1株あたり1セントの損失を計上。さらに,第4四半期の売上げについても前年同期比を下回ることが予想されるなど,一時のような勢いは影を潜めている。

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[中村琢磨, ITmedia]

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