News | 2000年12月13日 08:46 PM 更新 |
iモードの次のターゲットはビジネスマンだ。榎氏は「次は企業の懐を狙う」と語る。現在の携帯電話市場は若者が中心。iモードが提供するサービスも,その多くが若者に向けられている。40歳以上のシェアはたったの30%にすぎない。
しかし,若者の需要が頭を打つのもそう遠い話ではない。現在,iモードによって加入者1人当たり月2000円の収益が出るまでにきているという。裏を返せば,若者がこれ以上──この3倍,4倍のお金をiモードに払いはしないだろう。パケット通信代で収益をあげるNTTドコモとすれば,新たなターゲットを探さなければならない。
新型iモードに搭載される機能の位置付けも,微妙に変化してきた。当初は「簡単なゲームなどができる」という触れ込みで携帯電話にJava搭載のニュースが流れたが,最近のNTTドコモは「JavaとSSLで企業ユーザーが安心して使える」というふうにトーンが変わってきている。
榎氏によると,現在iモードの契約者は1590万人あまり。iモードは,去年の2月にサービスを開始してから,今年8月に1000万人に達したばかりだ。契約者数はさらに加速する。「明日には1600万人を超える」(榎氏)。
現状の数字として挙げられたものは以下の通りだ。
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1999年2月にiモードを開始してからこれまでの対応サイトの伸び。現在では,赤いボランティアサイトが,公式コンテンツの数を超えてしまった |
iモードの成功の理由は,これまで榎氏が数々の講演で語ってきたとおり。「一番の理由はHTMLの採用」(榎氏)。ワイヤレスの送信の部分ばかりを考え,WAPはインターネットの標準を採用しなかったと,榎氏は言う。着信メロディの流行も,カラオケで使われているMIDIのサブセット「Compact MIDI」を利用したからだという。「(Compact MIDIの採用は)HTMLなどのインターネット標準にしたのと同じことだ」(榎氏)。
次世代のiモードについては,2001年の早々にJavaとSSLが携帯電話に搭載されることを語った。「金融機関などと(iモードを)直接SSLで結べるので,セキュリティが上がる」(榎氏)。
また,2001年5月に始まるFOMA(ドコモのIMT-2000サービス名称)では,オーディオとビジュアルを重視していく構えだ。「JPEGとMPEG-4を入れる」(榎氏)。
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この図のタイトルは「iモード開発戦略」。これまであまり語られてこなかったが,IMT-2000端末でもiモード+Javaは健在のようだ(拡大画像) |
会場のほとんどを無線関係の技術者が占めた講演だったが,実は榎氏自身も早稲田大学大学院(電気工学)卒のエンジニア。iモードの生みの親が語る技術をどう市場に応用していくかという講演に,聴衆の興味は非常に高かったようだ。
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