News 2000年12月22日 11:59 PM 更新

スクリーンショットでみる次期Officeの新機能

次期Officeには,作業効率を上げるモードレスの作業ウインドウが採用された。しかし,アプリケーションによっては,有効に利用されていないようだ。

 重要な2つの機能を落としてしまったMicrosoftの次期Office(Office 10)だが,その注目度には変わりはない。Office 10β2ユーザー専用のWebサイトを見ると,どうやらβ2から削除される機能は,この2つだけのようだ。そこで,英語版Office 10のスクリーンショットを紹介しながら,簡単にその機能を紹介することにしよう。

 なお,いずれの画面も11月に配布されたOffice 10β2に日本語ランゲージキットを組み込んだものである。日本語版β2の広範な配布はまだ行われていない。日本語版は独自のフィーチャーを組み込み,2月ごろに最初の製品候補版を完成させ,比較的広範な配布が行われるようだ。

属性設定が楽になる作業ウインドウ

 Office全体の改良として,作業ウインドウというモードレスのダイアログが追加された。このウインドウは,ツールバーのように左右に張り付いたり,取り外してフローティングにしたりできる。最大の特徴はモードレスであること。つまり,何かの設定を行ってもウインドウが消えず,継続して選択と設定を繰り返せることにある(なお,ファイル操作など一部は機能を使い終わると自動的に閉じられる)。これまでのモーダルダイアログ,すなわり,選択してからいちいちダイアログを呼び出す方式よりも断然効率がいい。

 また,作業ウインドウはマウスでリストから機能を選択することで,同じウインドウをさまざまな機能に切り替えて利用できる。以前からOfficeにモードレスダイアログを,という声はあったが,やっと実装したという印象だ。

 ただし,「PowerPoint」では非常に有効に使われているこの機能も,「Word」では便利さが今ひとつ。段落スタイルは設定できても細かなフォント設定は別ダイアログを出す必要があるなど,イマイチ作業ウインドウの特徴を生かし切れていない。

 この傾向は「Excel」や「FrontPage」になるとさらに顕著で,各Officeアプリケーション共通の新規作成や検索といった作業ウインドウ以外,たとえばセルの書式設定なども用意されていないのだ。FrontPageでの各種属性設定も従来どおりで作業ウインドウのかけらも見えない。

 Office全体を見回したとき,操作の統一感は失われてしまったのは残念。せっかく良い機能を追加するのであれば,全部一度にお願いしたいものだ。


画面右にツールバーのように現れる作業ウインドウ


ドロップダウンリストから機能を選択できる


モードレスなので属性などの設定を素早く行える


クリップボード履歴がサムネイルを見ながら利用できるのはとても便利

使いやすさの充実が目立つPowerPoint

 Officeの中でもとりわけ完成度の高かったPowerPointだが,新バージョンではさらに作業が楽になっている。Office 10に含まれるアプリケーションの中で,もっとも変化が大きく感じたのはPowerPointだった


3ペインビューでサムネイル表示とアウトライン表示を切り替え可能に。タブのクリックひとつで切り替えられる


配色機能で,各文字や背景などの色の組み合わせをバランスよく設定できる。プリセットの色をクリックすれば,すべての色が変化する


従来からあった単純モノクロ印刷のシミュレーション表示に加え,グレースケールでの表示をサポート

「.NET」につながる? Wordのインターネット経由の翻訳機能

 Wordの改良点はあまり目立ったものではない。作業ウインドウに対応したのは便利だが,まだ使い切っていないと思う。Word 2000のデキが良かっただけに,大幅な変化は望めないのだろうか?

 目新しいところでは翻訳機能がある。単語だけなら内蔵辞書で検索が可能。さらに文章の翻訳もWebを通じてバックグラウンドで依頼を行い,結果を受け取って文書に反映させることができるようになる。


簡単な単語翻訳は作業ウインドウの中で行える。英語から日本語のほか,日本語から英語,あるいはフランス語,スペイン語などに対応する辞書もある。右下の「Web経由で翻訳する」を使えば,任意のWebサービスに翻訳を依頼することも可能。この場合は,単語ではなく文章の翻訳が可能になる

エリートのプライドはどこへ? 変化に乏しいExcel

 完成度が高いという自信なのか?今回のExcelは変化に乏しい。グラフ種別の増加もなく,分析機能も変わっていない。あるのはXMLデータの読み書きサポート(従来はXHTMLの読み書き)など,ちょっとしたことだけ。作業ウインドウへの対応もほとんどない。Officeの中でもエリートチームといわれるExcel開発陣だけに,次のバージョンに向けて大きな改良を施しているようにも見えるが,果たして?

入力モードの切り替え不要なナチュラルインプット

 マイクロソフトはOffice 10にあわせて新しいIMEのAPIを実装するようだ。それを採用したIMEがナチュラルインプット。IMEの変換エンジンは「MS-IME 2000」のバージョンアップ版になるが,新APIに対応することで,従来できなかった自然な入力が行えるようになる。

 IME起動中は,カーソルを入力中文字列の中だけでしか移動できないのが普通だった。われわれはそれが“あたりまえ”だが,IMEの特性を理解しなければ使い勝手の基本が分からないようじゃだめだ。

 そこでナチュラルインプットでは,入力途中でもカーソルを自由な位置に移動させることができる。つまり,入力モードが何であるかを意識せず,カーソルはカーソルとして機能してくれるということ。入力途中で移動して修正を行っても,再変換機能を使っていつでも変換し直すことができる。


画面にあるように変換候補を探しやすくする工夫もされている。ただしβ版では本来削除されるべき候補も並んでしまい,数が多すぎてかえって迷うという印象を持った。製品版での改良に期待しよう

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[本田雅一, ITmedia]

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