News 2001年1月19日 11:59 PM 更新

ADSLの端末売り切り制,店舗販売はいつ?

2月1日にスタートするADSL端末の売り切り制。電気店の店頭で好みのADSLモデムを購入し,サービスを申し込む──そんな光景を見られるようになるはずだ。しかし,事業者,メーカーともに店舗販売には慎重な構えを見せている。

 2月1日から,ADSL宅内機器の売り切り制が開始される。近い将来,電気店の店頭にDSLモデムが並び,ユーザーは好みの製品をチョイスすることも可能になるだろう。しかし,各サービスでモデムの仕様が異なることから,その動きはゆっくりとしたものになりそうだ。

 売り切り制がスタートすると,ユーザーは,ADSLモデムやスプリッタをレンタルするか,買い取るかを選択できるようになる。端末を買い取れば,現在月額利用料金に含まれている機器のレンタル料金を支払う必要がなくなり,サービスを利用した期間が長くなればなるほど,負担が減ることになる。例えば,フレッツ・ADSLでモデム・スプリッタを買い上げた場合,月額料金は,現行の4600円(電話重畳の場合)から屋内配線利用料(60円)と機器利用料(490円)を差し引いた4050円。モデムを2万円(実際の価格は未定)で購入したとすると,3年以上使えば元がとれるわけだ。

 また,サービス開始時にユーザー本人が設備を設置することで,DSL事業者の工事担当者が出張工事にくる必要もなくなり,初期費用の減額も期待できる。一方,事業者側にとっては,1日あたりの開通件数を増やすことが可能になり,DSLの普及促進にも役立つといわれている。

「宅内設備をユーザー宅に送付し,設定は“スターターキット”などの工夫でサポートする。米国でベルアトランティックなどが実際にやっている方法だ」(NTT東日本の成宮憲一技術部門長)。

多彩な端末から選択可能に

 端末の売り切りが一般的になれば,現在のモデムやISDN TAのように,店頭に並べられた各社のDSLモデムから,ユーザーが好みにあった製品を選ぶことができるようになるだろう。中には,パーソナルルータのようにNATや簡易ファイアウォール機能,あるいはIEEE 802.11bやBluetoothといった無線LANを盛り込んだ高付加価値モデルも出てくるかもしれない。

 DSL事業者のイー・アクセスでは「DSLは数百万回線規模に普及するインフラ。モデムメーカーも積極的に取り組むのではないか。特に,ユーザーの中には,無線LANに対するニーズが高い」と話している。

 東京めたりっく通信も「DSLが普及し,モデムの量産効果が現れてくれば,価格も安くなるだろう」と指摘する。「USB接続なら,1万円を切る低価格モデルもあり得る」(同社)。

店舗販売は半年以上先?

 ただし,DSLモデムの店舗販売には,事業者とモデムメーカー,そして販売店の連携が不可欠だ。現在のDSLサービスでは,Annex A,あるいはAnnex Cというように,事業者や地区ごとに異なる仕様のモデムが使われている。このため,ユーザーが利用するサービスに目的のモデムが対応していないといったトラブルが発生する危険性がある。販売に際しては,ユーザーに対して適合モデムなどの情報を公開したり,あるいは製品自体に対応する事業者を明記するといった必要が出てくるだろう。

 こうした理由から,事業者,メーカーともに,当初はDSLモデムの店舗販売に慎重な姿勢で臨むようだ。

「われわれは,適合するモデムを開発してもらうために,技術条件をメーカーに示している。しかし,店頭に並ぶ製品に対しては,当初は積極的に“対応”とは言わないだろう。店舗購入が一般的になるのは,半年から2年程度先になるとみている」(イー・アクセス広報)。また,イー・アクセスにDSLモデムを供給しているクリエイティブメディアも,「(DSLモデムを)小売りルートに流すのは未定」(同社広報)という。

 東京めたりっく通信でも意見は同様だ。同社の平野剛副社長は,「売り切り制の準備はしている。しかし,家電店で販売するのは2段階くらい先になるはずだ」と話している。

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関連リンク
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[芹澤隆徳, ITmedia]

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