News 2001年6月13日 08:41 PM 更新

書籍・音楽・映像──これでAmazon.co.jpの戦力は十分

Amazon.co.jpがCD/DVD/ビデオの販売を開始した。Amazon.com創業者のBezos氏は,「日本は投資に値する市場」と見る。

 アマゾンジャパンは6月13日より,「Amazon.co.jp」において音楽CD,およびビデオ・DVDタイトルの取り扱いを開始した。音楽CDは36万タイトル,DVDソフトは1万タイトル,そしてビデオソフトは6万6000タイトルを備える。米Amazon.comでは,音楽CDやDVDソフトは中核事業の1つとして機能しており,国内でも成長の起爆剤として強力にプッシュしていく構えだ。


記者会見のために来日したAmazon.comのCEO,Jeff Bezos氏

 音楽CD・DVDタイトル販売事業への参入ということで,この日の記者会見場にはDJブースを設置。クラブのような雰囲気に演出されていた。さらに,司会にはクリス・ペプラーを呼び,Amazon.comの創業者でCEO(最高経営責任者)のJeff Bezos氏が壇上に上がる際にはスモークが焚かれるなど,「Amazonはバブルなのか」(大手新聞記者)と思いたくなるほどの仕掛けを用意。実際,会見には国内だけでなくアジア各国の記者が出席しており,Amazon.comの勢いをアピールするという狙いがあったようだ。

「日本はeコマースに最適」

 立ち上げから約7カ月が経過し,書籍以外の取り扱いを始めることになったアマゾン。Bezos氏はこれまでの国内でのビジネスを振り返りながら,「投資する価値のある市場だ」と語り,今後の成長に大きな期待を示した。ただ,米国とは異なり,日本にはいたるところに書店やCDショップが存在する。そのため,「オンライン書店はビジネスとして成功しない」と見る向きがあるように,Amazon.co.jpは決して順風満帆というわけではない。だがBezos氏は,こうした指摘に対し,「日本のように不動産が高く,配送距離が短いことはeコマースのインフラに最適だ。それに,Amazonのブランドも良く浸透している」と回答する。

 また,Amazon.comでインターナショナル副社長兼ジェネラルマネージャを務めるDiego Piacentini氏は,「米国では今年の第4四半期に黒字を計上するつもりだ。一方,国内のビジネスはまだ開始してから7カ月と初期段階にあるため投資が先行しているが,年末までにはもっと良い財務状況になるだろう」と見通しを語った。ただし,米国では芳しくないと言われることもあってか,音楽CDやDVD以外の商品の取り扱いについて,Piacentini氏は「今のところは何も言えない」とコメントを避けた。

 「国内に参入した当初,マスコミは,コネクションのないAmazon.comが出版社や取次ぎとどのように関係を構築するのかと懸念した。確かに,日本の企業は欧米よりも関係を作るのに時間がかかったが,いったんパートナーになれば効率的に仕事が回る。現在の,Amazon.co.jpは非常にうまくいっていると言っていい」(Piacentini氏)

 今年2月には,順調に立ち上げを進めながらもカントリー・マネージャの長谷川純一氏が突然退任するなど,人事面での不安定さを覗かせたアマゾンだが,CD・DVD販売への参入が成長の追い風となることは間違いないだろう。

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[中村琢磨, ITmedia]

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