News 2001年6月19日 10:13 PM 更新

RC1でWindows XPの「パフォーマンス」「互換性」「信頼性」を見る(1)

米Microsoftがプレス向けのWindows XP説明会を開催した。中でも,Windows XPの「信頼性」と「互換性」を説明するセッションは興味深い内容。

 既報の通り,米Microsoftはサンフランシスコにおいて米国外のプレスを対象にしたWindows XPの説明会を開催した。ビジュアルデザイン,ネットワーキング,デジタルエンターテイメントなどの各分野について,プログラム マネジャー,プロダクトマネジャーなどの担当者が説明に当たった。中でも興味深かったのは,Windows XPのパフォーマンス,信頼性そして互換性について語ったセッションだ。

 Microsoftによると,「Windows XP Professional Edition」は「同Home Edition」の完全なスーパーセットとして,Windows 98,Windows NT 4.0以降すべてのOSからのアップグレードインストールをサポートする。しかし,Home Editionに関してはWindows 98/Meからのアップグレードは可能だが,Windows NT 4.0やWindows 2000からのアップグレードインストールはサポートされない。Home EditionからProfessional Editionへのアップグレードインストールは可能である。

 そして,Windows XP Professional/Home Editionともに,Windows 98/Me以前のOSからのアップグレードインストールはサポートされず,クリーンインストールしか行うことはできない。もちろん,Windows NT 4.0やWindows 2000のユーザーでも,クリーンインストールならばHome Editionのセットアップも可能だ(機能的にグレードダウンとなる可能性もあるが)。

 なお,ベータ2ユーザーからのフィードバックを元に,RC1(リリース候補第1版)ではHome Editionでもマルチディスプレイ機能とバックアッププログラムをサポートするように機能の変更を行ったとのことだ。

ディスプレイを開いた瞬間にレジューム

 パフォーマンスに関するデモンストレーションで,もっとも感銘深かったのが,ノートPCにおけるサスペンドモードからの復帰速度である。これまでもWindows XPはACPI 2.0対応ノートPCと組み合わせたとき,レジューム速度が非常に速いと言われていたが,それでも4〜5秒,あるいは場合によってはそれ以上の時間がレジュームまでかかっていた。

 しかし,今回,MicrosoftがWindows XP Build2490とDellの「Latitude」の組み合わせで行ったデモでは,サスペンドモードに入ったPCが液晶パネルを開いた瞬間に復帰した。感覚としては,ディスプレイパネルが省電力モードから復帰するのに近い。MicrosoftグループプログラムマネジャーのJohn Gray氏は「ハンドヘルドPCを開いて使うのに等しい」という表現方法を使ったが,まさにその通りだ。

 この高速レジュームは,Windows XPと高速レジュームに対応したドライバ,そして最新のACPI仕様に完全に対応したBIOSが必要になる。なお,Gray氏は,DellとHewlett-Packard(HP)の企業向けノートPCを取り上げ「今月末以降に対応BIOSが公開される」と説明した。

 また,具体的なスコアには言及しなかったものの,「Business WinStone」の値は,Windows Meを超えてWindows 2000と同等。「Content Creation WinStone」と「Webmark 2001」ではWindows 2000以上,また「Sysmark 2001」はWindows 2000未満,Windows Me超の結果をWindows XPの最新ビルドがマークしているという。さらに,起動速度に関しても,Windows Me以上の速度を既に実現しているとのことだった(テストは128Mバイトのメモリを搭載した6システムで計測)。

 実際,最近のビルドはパフォーマンスがベータ2と比べて大幅に向上しており,動作の緩慢さを指摘されていた時の面影はなくなった。メモリへの要求は小さくないが,それさえクリアすればパフォーマンスはかなり良い。

互換モードのユーザーインタフェースを大幅に変更

 Windows 2000だけでなく,Windows 98/Meのユーザーも引き継がねばならないWindows XPでは,互換性も従来以上に重要な部分である。

 Microsoftでは既に,販売数上位1000本のアプリケーションについてテストし,Windows XPでの動作状況を検証済みだという。この中には,DirectX対応ゲームやユーティリティ類も含まれる。いくつかの互換性がないアプリケーションに関しては,製品版完成後にWindows Update経由でWindows XP互換にするためのセルフアップデートパッチが配布される予定だ。また,2000年1月以降のPCにプリインストールされているソフトウェアについては,メジャーなPCベンダー各社がWindows XPでも同じ機能が動作するように作業を進めている段階だという。


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 RC1からのフィーチャーとしては,互換モードのユーザーインタフェースが改良され,システムにインストールされているアプリケーションを検索,リストアップし,その中からプログラムを選択したり,あらかじめアプリケーションをインストールする際に互換モードを指定するウィザードを,ヘルプ&サポート機能から呼び出せるようになった。


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 互換設定はプログラムアイコン,あるいはプログラムへのショートカットアイコンのプロパティを開くことでも行える。互換モードには,Windows 95/98/NT 4.0/2000がある。256色モード,VGA解像度,Windows XPのビジュアルテーマ(ウインドウ やボタンなどのデザインを決めることが可能な機能。デフォルトではWindows XPスタイル,すなわち「Luna」が設定されている)に対応しないアプリケーション向けには,それぞれ起動時に画面モードを再設定する機能が付加されている。

 OSの設定はバージョン報告やディレクトリ構成など,全体的なOSの振る舞いについて,過去のOSを真似するモードで,多くのアプリケーションはこれで互換性を取ることができるという。


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 画面設定の自動変更では,指定したアプリケーションの起動時に色数を256色に自動変更したり(Windows XPでは通常,16ビットカラー以上にしか設定できない),解像度をVGAに設定。またビジュアルテーマを利用すると画面設計が崩れてしまうアプリケーションには,指定したアプリケーションだけを従来と同じウインドウデザインで表示する。

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