News 2001年6月28日 07:48 PM 更新

鬼才・水口氏の新作ゲームはサイバードラッグ?(1)

セガから今秋,PS2用に投入する本格的な新タイトルが,27日夜,公表された。タイトル名は「Rez」。しかし,そんな瑣末なことより,衝撃的だったのは,そのゲームの中身の方だった。

 それはサイバードラッグへの第一歩になるのかもしれない。

 6月27日,東京・渋谷で開かれた「PlayStation2 Party in Summer」の席上,ユナイテッド・ゲーム・アーティスツ(旧・セガ第9ソフト研究開発部)の社長でゲームプロデューサーの水口哲也氏が,今秋,PlayStation 2用にリリースするタイトルを発表した(Dreamcast用にも発売)。タイトル名は「Rez(レズ)」。これまで「K-Project」の名で知られていたものだ。

 この日の催しでは,発売を間近に控えた「Final Fantasy X」(スクウェア)から,「ACE COMBAT04 shattered skies」(ナムコ),「Devil May Cry」(カプコン)など,各社が今下半期にPS2で投入する期待のソフトが顔を揃えた。アーケード版として開発中の「鉄拳4」(ナムコ)や「Virtua Fighter4」(セガ,これはNAOMI基板ベースのものだ)のデモも行われている。どのゲームもグラフィックが凄い。サウンドも迫力がある。「鉄拳4」のバトルシーンで,雪上で戦うシーンの雪を踏む感触の表現の仕方なんか,本当にゾクッときた。

 それに比べると,「Rez」にはそんなに凄い3D画像も,ハイレベルなゲームシステムもないように見える。基本はシューティングゲーム。迫ってくるオブジェクト(エネミー)を,中央にある物体(人のように見える)から撃つだけだ。「ゼビウス」に始まる,むしろ古典的なゲームシステムとすらいえる。だが,「Rez」は過去のどんなゲームにも似ていない。


「Rez」のデモ。しかし,画像を見ただけでは,このゲームの“違い”はわからない

 日本テレビの「スーパーテレビ・情報最前線」で,このゲームの開発のことが紹介されたことがあるので,ご存じの方も多いだろう。このゲームでは,オブジェクトを「撃つ」ことで,リズムや光が発生するのだが,その発生の仕方が様々な条件によって変わってくる。

デザインされた快楽曲線?

 そして,この映像,光,音は,プレーヤーの脳髄に直接働きかけてくる。それが不思議な感覚を発生させ,眩暈や陶酔を呼び起こす。あえて言えば,それは“トリップ”に近いものだった。同社の用意したプレスリリースでは,これを「ゲームと音で引き起こされるトランス感覚」と表現している。

 その効果はこの日,水口氏自らが行ったデモでも明らかだった。迫力あるシーンをこれでもかと見せた他のソフトと違い,「Rez」では黙って登場した水口氏が淡々とゲームをやっていくだけ。

 しかし,ゲームがクリアされ,ステージが進んでいくにしたがって,その独特のリズムと光に,来場者の感覚がシンクロしてくるのがわかる(映像で水口氏の手の動きをラップさせていたことも,独特の効果を生んでいた)。すると,それまで撮影するのに忙しかった来場者たちの動きが,停まってくる。まるで集団催眠にかけられたようだった。


大きなスクリーンに表示された水口氏。ある種の宗教的興奮も感じさせるデモだった

前のページ1 2次のページ