News 2001年6月29日 08:01 PM 更新

超高密度サーバのRLXが「Crusoe」を選んだ理由

Transmetaのニュースが少ないTECHXNYだが,Crusoe搭載の超高密度サーバを展示する RLX Technologiesは注目だ。

 「TECHXNY」では,米Transmetaの話題が少ないと思っている読者もいることだろう。同社は巨大なブースを広げてプレゼンテーションに励んでいるのだが,東京で行われたセミナーで新製品をアナウンスしてしまったため,今回は大きなニュースはなしということだ。副社長のJim Chapman氏に,「TM5800を採用するOEMは?」と聞きいてみると,「OEM全部」だとか。

 とはいえ,全くニュースがないわけではない。高密度実装サーバの分野で,Crusoeを採用した製品が実動するものとして大々的に展示された。米Compaqからスピンアウトしたメンバーが作った高密度実装サーバ専業ベンダーのRLX Technologiesの「REX System 324」は,TECHXNYの中でも注目が集まった製品の1つだ。

 REX System 324は19インチラック3Uサイズのきょう体に,最大で24枚までのホットプラグ可能なサーバブレードを実装できる高密度サーバ。19インチラックに複数のきょう体を積み上げることで,1ラックあたり336枚のサーバブレードを実装できる。


RLX Technologiesの「REX System 324」

 プロセッサは「TM5600/633MHz」で,メモリはDIMM1枚(最大512Mバイト),最大2台の2.5インチHDD,100BASE-TXを1枚のサーバブレードに実装している。ブレードの間隔はわずか1.2センチしかない。

TDPのプランではTransmeta

 Transmeta ブースの一角でデモを行っているRLXは,なぜTransmetaをパートナーとして選んだのか。創立メンバーでCTO(最高技術責任者)のChris Hipp氏に,その理由(つまり,なぜIntelではないのかということ)を聞いてみた。

 Hipp氏は最初の質問に対し,「第1に,我々がこの製品を計画した時,他に使える製品が存在しなかった。第2に,現在の超低電圧版モバイルPentium IIIを使ったとしても,TDP(熱設計電力)が高すぎて我々の製品には使えない。ブレード間がわずか1.2センチしかないのに,Intel のプロセッサを搭載すれば熱の問題が出るのは明白だ」と答えた。

 しかし,Intelは0.13ミクロンプロセスで製造されるTualatinでも,超低電圧版を計画している。パフォーマンスも考慮すれば,そちらにも魅力があるのではないだろうか?

 Hipp氏は,「Crusoeのいいところは,将来にわたってTDPの上限が決められ,消費電力を維持しながらパフォーマンスアップしていく計画を持っていることだ。対するIntelは,低消費電力プロセッサはラインナップし,ロードマップを持っているものの,パフォーマンス優先でTDPに関する明確なプランを示していない。もちろん,Intel が良い製品とソリューション,それにプランを用意するなら,我々はその製品を採用するかもしれない。しかし,Crusoeを採用する製品をラインナップからはずすことはない。なぜなら,消費電力を軸に考えた時のスケーラビリティがCrusoeにあるからだ」とコメントした。

 つまり,TDPを軸に消費電力あたりのパワーを考えると,Intel 系プロセッサよりも有利になるとRLXは考えているのだ。

 またパフォーマンスに関しては,「われわれが作っているサーバは,Webサーバのように水平方向のスケーラビリティ,つまりスケールアウトを行う必要のある業務で使われる。ここではCrusoeが不得手とする浮動小数点演算性能は必要なく,とにかく同じ容積に多くのサーバを詰めることが重要。その点でCrusoeはもっとも良い選択肢」と説明する。

 例えば42Uラックあたりのパワーで比較した場合,REX System 324はCompaqのDL 320の4倍のWebサーバ性能をたたき出すという。低消費電力による高密度化が,Webサーバに有効なことを示すひとつの例だ。

 Transmeta のJim Chapman副社長も,今後のビジネスについて高密度サーバ向けの売り上げ比率が大きく伸びるだろうことを示唆している。Chapman氏によると高密度サーバだけでなく,今後需要が伸びるであろうパーソナル向けのインターネットサーバなどでも需要が伸びると見込んでいる。

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[本田雅一, ITmedia]

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