News 2001年8月28日 08:27 PM 更新

Intel副社長,高速CPU不要論に反論

CPU高速化のあまりの急激さに,そんな速いCPUは要らないという声も出ている。IDF会場でPentium 4/2GHzを発表したIntelのLouis Burns氏はそうした声に反論,将来を見据えた投資の必要性を訴えた。

 昨今,ソフトウェアの進化の遅れから,デスクトップPC向けプロセッサにハイエンドのパフォーマンスが必要か否かという議論が展開されている。こうした声はIntelも十分に承知しているようだ。

 既報の通り,Intelは2GHzの動作クロック周波数を実現したマイクロプロセッサ,「Pentium 4/2GHz」を発表した(別記事参照)。米国で明日から正式に開幕するIntel Developer Forum(IDF)Fall 2001の会場では,デスクトッププラットフォーム担当副社長兼マネジャーのLouis Burns氏が,同製品の発表プレゼンテーションを行ったが,そこでこうした声に反論を加えていた。


高速CPU不要論に反論するLouis Burns副社長

 その際,Burns氏が引き合いに出したのは,2年前のPentium III発表時のことだ。当時,それからさらに2年遡った4年前と当時の“パフォーマンスギャップ”が,従来型ベンチマークでみると5〜10%しかなかった。そこで多くのプレスが「Pentium IIに対するPentium IIIのアドバンテージは(クロック差の)50MHzしかない。(1999年はじめ時点での)オススメ機種はPentium II/450MHz搭載機だ」と評価したという。

 しかし,あれから2年経過した今はどうか? 当時,Intelが想定していた利用形態,たとえばCD-RWの活用,3Dゲーム,動画処理,デジタルカメラ,ブロードバンド接続,ネット上の3Dグラフィックスといった技術は,今では一般化した。こうした利用を前提にした現代的なベンチマークでは,両者の間に41〜73%の差が出ている,と同氏は指摘する。

 つまり,Intelとしては,プロセッサは,それを搭載するPCが有効に活用できる年数を長くするため,その時に十分なパフォーマンスを持つプロセッサではなく,将来の利用形態や新しいアプリケーションを見据えたプロセッサを導入する必要がある,といいたいわけだ。

 現在はオーバースペックに見えるPentium 4も,その実は将来を見据えた設計になっている。だから,利用形態の研究や新しいアプリケーション分野の開拓,将来を見据えたアーキテクチャの3点を押さえていれば,その良さがわかるだろう,そして,2年後にはPentium IIIではなくPentium 4の方が良かった(両者のパフォーマンス差がその分広がる)と誰しもが感じることができるハズ,というわけである。

 こうした判断の下に,IntelはPentium 4をメインストリームセグメントに向けて強力にプロモートしていく。その際,カギとなるのは,システム価格を抑えることが可能なi845だろう。Burns氏は,同社が描くExtended PCという利用形態の中核を,Pentium 4が担うことになるという点を改めて強調。「Pentium 4/2GHzは,2年前の同一価格帯の製品と比較して,3〜4倍も高速」(Burns氏)と述べていた。

 もっとも,いかに高性能が必要と唱えてみても,そして将来のためにハイエンドPCへの投資は無駄にならないと説いてみても,なかなか納得できないほど,現在のローエンドPCはハイパフォーマンスだ。限られた予算の中で,できる限り高機能なPCを入手したいと考えているユーザーに対して,2年後のPCの姿を想像させようと思っても,かなり難しい。

 Pentium 4/2GHzが技術的に優れたものであっても,それが即ちエンドユーザーの心を揺さぶるものになる,というわけではない。手を変え,品を変え,あらゆる手法でエンドユーザーにアピールしようとするIntelだが,消費者の財布の紐を弛ませるためには,結局のところ,低価格化を進めるしかないのかもしれない。

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関連リンク
▼ IntelのIDF 2001公式サイト

[本田雅一, ITmedia]

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