News 2001年9月25日 11:25 PM 更新

シャープ,1ビットオーディオのホームシアター発表(1)

シャープは1ビットアンプとDVDを搭載した「Auvi SD-AT100」を発表した。同社が注力する液晶TVと組み合わせることで,急激な市場拡大が見込まれるホームシアター市場を狙う。

 シャープは9月25日,1ビット5.1chデジタルアンプとDVDビデオプレーヤーを搭載したホームシアターシステム「Auvi(アウビィ)SD-AT100」を発表した。11月19日より発売し,価格は12万円となる。


ホームシアターシステム「Auvi(アウビィ)SD-AT100」

 SD-AT100は,独自開発の「1ビットデジタルアンプ」を搭載している。同社の1ビットデジタルアンプ技術は,アナログ信号を内部で1ビットのデジタル信号に変換し,そのまま伝達/増幅を行う。1秒間に約280万回(2.8MHz)というCDの64倍に相当する超高速サンプリングによって,音の分解能を向上させている。従来のマルチビット信号処理のように,情報の間引きや補完といった音質処理がないため,より原音に近い音になるのが特徴だ。「音の立ち上がりの速さや滑らかさを高品位に再現できる」(同社)。

 ボディサイズは450(幅)×152(高さ)×115(奥行き)ミリと薄型/省スペースながら,総合150ワット(25ワット×6ch)の出力で,さらにDVDビデオプレーヤーを登載している。また,DTS/AAC/ドルビープロロジック IIといった各種デコーダーを内蔵している。


SD-AT100の正面(左)と奥行き(右)。コンパクトボディに,1ビットアンプとDVDビデオプレーヤーを登載している

 同社が1999年6月に初めて発表した1ビットオーディオ技術は,当初の製品としては100万円という価格の「SM-SX100」からスタートした。しかしすぐに,同年11月にオーディオファンにもなんとか手が届く価格となった35万円の「SM-SX1-S」をリリース。続いて2000年11月には,5万5000〜11万円という低価格の1ビットオーディオ「Auvi(アウヴィ)」シリーズ3機種を発表している。

 さらに今年6月には,海外製スピーカー(JBL,ELAC)と組み合わせた限定モデル「Auvi excellence(アウビィ エクセレンス)」シリーズを発売。9月には新「Auvi(アウヴィ)」シリーズを投入するなど,ピュアオーディオからゼネラルオーディオまで製品ラインアップを用意して,1ビットオーディオ市場のすそ野を広げている。


JBLやELACといった海外スピーカーメーカーとのコラボモデル「Auvi excellence」

 しかし一方で,オーディオ市場自体がパッとしないという現実がある。同社の調べによると,国内のオーディオ市場は,1988年度の8774億7600万円がピークで,以後衰退の一途をたどり,2001年度では1988年の半分近い4893億円にまで落ち込むという予測がなされている。

 さて同社は,このように単価ダウンとオーディオ離れで縮小傾向にある“5000億円にも満たない市場”に,1ビットオーディオで何を目指そうとしているのか。

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