News 2001年9月25日 11:25 PM 更新

シャープ,1ビットオーディオのホームシアター発表(2)

 シャープのピュアオーディオといえば,オールドファンなら「OPTONICA」ブランドを思い出すかもしれない。「1ビットで“OPTONICA”復活ですか?」と尋ねてみると,「ああ,そんな時代もありましたね」と,誰かの歌の文句のような返事。どうやらピュアオーディオ復活というシナリオではなさそうだ。


国内オーディオ市場の推移。1988年をピークに減少傾向となっている

 今年のシャープのイチオシ商品は“液晶TV”だ。「AQUOS」シリーズを武器に,2005年までには国内で生産・販売する全てのTVを液晶に置き換えていく方針を打ち出している。

 この液晶TVと,1ビットオーディオとを組み合わせることで,急激な市場拡大が見込まれるホームシアター市場向けの製品として売り込んでいこうというのが,シャープの狙いだ。同社は現在,ホームシアターシステムを持っていない。つまり,AQUOS+Auviのシステムは,同社ホームシアター製品の第一号機となる。


AQUOS+Auviのホームシアターシステム

 それでは,ホームシアターシステムにおける1ビットのメリットとは,いったいなんだろうか。

 「1ビットの特徴は,“小型,省エネ,高音質”の3点。これは,DVDの5.1chのように,多チャンネルを1つのきょう体にコンパクトにまとめるといった時に有効な技術となる」(同社)。

 また,1ビット信号は,USBやIEEE1394,Bluetoothなどで通信する際にも信号のロスが少なくて済む。今後,AV機器とPCの融合が進んだときに必要となってくる要素技術だ。

 同社は今回の新製品とともに,1ビットデジタルアンプのサンプリング速度を従来の2倍に高めた次世代アンプも発表した。世界初という5.6MHz(1秒間に564万4800回)の超高速サンプリングで,さらに高音質を追求している。

 この次世代アンプを,新開発の「DVD/SACDマルチディスクプレーヤー」や「1ビット・マルチチャンネルコントロールセンター」と組み合わせることによって,「1ビット・フルデジタルマルチチャンネル再生システム」が出来上がる。


5.6MHz超高速サンプリングの1ビット・フルデジタルマルチチャンネル再生システム

 このシステム,価格はまだ未定だが,アンプのみで「前モデル(SM-SX100,100万円)よりも少し高くなる」(同社)ということなので,アンプ4台を使う8chの最大拡張システムでは,アンプだけで500万円前後となる。

 まだまだ,庶民には“高嶺の花”の商品だが「近い将来には,一般向けのゼネラルオーディオ分野にも,この次世代オーディオの技術が生かされた商品が登場してくる」(同社)。

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[西坂真人, ITmedia]