News 2001年9月28日 10:36 PM 更新

FAXは,もういらない?

 レックスマークインターナショナル,キヤノン,そしてHPが,相次いでプリンタ複合機を発表した。

 いずれの製品も,プリンタにスキャナとコピー機の機能を統合したものだ。両社ともに,どのようなマーケティングをしているのかは分からないが,FAXの機能を,さほど重視していないことに時代の流れを感じる。FAX機能を持っているのはキヤノンの最上位機種だけなのだ。


各社から相次いでプリンタ複合機が発表された

 インターネットが一般的なものになり,おじいちゃんが孫に電子メールを出す時代だ。もはや,こうした機器に,FAXの機能はさほど求められていないということなのだろうか。モデムを内蔵していないパソコンは,探すのも難しいような状況だし,それどころか,家庭で使われるパソコンにも,NICが今のモデムなみに標準装備されるのは時間の問題だ。

 我が家の場合,FAXは,古いノートパソコンのモデムで受信し,そのパソコンにつないだシートフィードタイプのスキャナで原稿を読み取って送信している。

 受信に関しては,放置しておくだけなので,特に手間もかからず,用紙切れといった心配もなく重宝しているが,送信に関しては,けっこうな手間がかかる。

 こういう業界でも,記者会見の案内などはFAXで届き,その出欠の返事をFAXで返送しなければならないケースが少なくない。その場合,受信した返送用紙をプリンタで印刷し,そこに用件を手書きで記入し,さらにスキャナで読み取って送信するという原始的な手順を踏まなければならない。

 もちろん,受信したFAXデータに,文字データを重ねて記入するという手もあるのだが,そんなことをやっているよりも,ペンを手に取って書き込んだ方がずっと手っ取り早い。

 このシステム,さすがに,もうちょっとましなものにしなければならないと思っているが,とりあえず,不便ながらも,動いているので,なかなか止める勇気が起こらない。手元のスキャナはシリアルポートにしか接続できないのだが,新しいスキャナを物色しようにも,あれほどたくさんの種類があったシートフィード式のスキャナが,いつのまにか,ほとんど市場から姿を消してしまった。

 こういったことも,システムの入れ替えに消極的になってしまうひとつの原因になっている。なんだかんだいっても,ディスプレイの上などにちょこんと載せておける,スペース効率のよいシートフィード式のスキャナは便利なのだ。

 あまり話題にならないけれど,Windows XPにもFAX機能は残された。ただし,標準ではインストールされず,「プログラムの追加と削除」で手動追加しなければならない。受信したFAXは,指定したフォルダにファイルとして保存され,標準添付された「画像とFAXビューワ」を使って内容を見る仕組みになっている。もちろん,送信もできる。だから,普通の使い方をする限り,特に不便はない。

 こういう時代なのだから,FAXを着信したら電子メールで知らせてくれるとか,添付ファイルとして送ってくれるくらいの機能がついていてもよさそうなものだが,それは,サードパーティ製品に期待しよう。いずれにしても,冒頭で紹介した複合機がFAX機能を持たなかったとしても,PCの側でなんとかなってしまうというわけだ。

 HPの製品に関しては,ちょっと操作させてもらったが,特に,コピーに関して,実に分かりやすい。変な言い方だが,コピー機のフィーリングそのままなのだ。スキャンして,それをプリントするというプロセスをまったく感じさせない。それでいて,縮小機能などがうまく組み合わされ,プリンタの印刷領域外を適切に処理し,きちんと原稿の版面全てがコピーされるようになっているなど,ちょっとした工夫に気配りを感じた。

 米国では,この分野の先駆者として,数々の製品を出荷し,かなりのシェアを持っているHPだが,日本でも市場を作ることができるかどうか。まるで打ち合わせをしたかのように,複数のメーカーから一気に出てきた点が興味深い。

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[山田祥平, ITmedia]

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