News 2001年10月3日 11:55 PM 更新

第4世代携帯電話で“スカウター”が現実のものに!?(2)

4G携帯電話が狙い?

 このVizWearのシステムは,ウェアラブルPC単体で実現されているわけではない。CCDカメラの動画像はIEEE 802.11b準拠の無線LAN経由でサーバに伝送され,サーバ側で複数のビジュアルアプリケーションがリアルタイム処理を実行し,その結果を液晶ディスプレイに表示する仕組みになっている。また,特定の場所で特定の情報を表示するための実環境に関する映像データも,サーバに格納される。

 蔵田氏は,VizWearのシステム構成は「より高速な移動体通信システムとなる第4世代携帯電話に適したシステム構成だ」と強調する。

 「例えば,現在のシステムは眼鏡にCCDカメラと液晶ディスプレイを付けたものだが,腕時計タイプのものも研究されている。CCDカメラはイヤリングやヘアバンドなど,普段身に付けているどこかに埋め込み,腕時計のディスプレイを画像表示用に使う。送信用のシステムは必要だが,各種デバイスを全てBluetoothなどでワイヤレス化すれば非常にスマートになるだろう」(同氏)

 腕時計型のVizWearの延長線上に,携帯電話を利用したシステムのイメージは描かれている。「現在のシステムで無線LANが担当している部分を,携帯電話に置き換える。GPSや基地局からの位置情報を利用すれば効果的だ」(蔵田氏)。

記憶補助用の“ウェアラブルペットロボット”

 また,蔵田氏によれば,「顔画認識機能」に特化した“記憶補助システム”の開発にも取り組んでいるという。これは,「VizWear-Active」と呼ばれるウェアラブルペットロボット。「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する目玉親父のように,利用者の肩に装着し,常に周囲の情報を能動的に収集できる。


RWCプロジェクトの展示会場では,顔画像認識関連の出展もあった。これは,人間の感情を解釈できるというプログラムのデモンストレーション

 「初めて会った人だったら,まず顔の画像を記録する。次に,撮影時刻や撮影場所の画像・位置情報を自動でデータベースに登録する。再度会ったときは,顔の情報をキーにしてデータベースに検索をかければ,利用者の記憶再生を促すことができるだろう」(蔵田氏)。

 こうした機能を,蔵田氏が“相性が良い”と話す第4世代携帯電話のビジュアルコミュニケーションとして採用したらどうだろうか。もしかしたら,こんな世界が実現するかもしれない。

 ──ある日,待ちを歩いていると,突然,VizWear-Activeが何かに反応する。データベースに登録されている人物を発見したのだ。ズーム機能が付いていればその人物を拡大して,実際に自分の目で確認してみた。もちろん,ハンドマウスで倍率を決定する。また,液晶ディスプレイにはその人物に関連する“エピソード”も表示されている──

 まるで,ドラゴンボールに出てくるアレのようだ。蔵田氏も,「よく,“スカウターみたいですね”って言われるんですよ(笑)」。

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▼ VizWear

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[中村琢磨, ITmedia]