News 2001年10月9日 11:55 PM 更新

コンピュータウイルスは“ウイルス”である

コンピュータウイルスは決してなくならないだろう。だからこそ,自分の身は自分で守るしかないのである。例えばMacを使うとか……?

 ここ最近,ウイルス関連のニュースが多い。コンピュータウイルスが,“本物の”ウイルスと違わないことを知らない人が増えたのだろうかと考えたくなる。

 冬になると流行するインフルエンザウイルスには,非常に多くの種類があり,完全に感染を防ぐためには毎年予防接種をしなければならない。予防接種を受けていない乳幼児が感染すると命にかかわることもある。

 コンピュータウイルスも同じだ。「I Love You」「Hybris」「SirCam」「Haptime」「Magistr」「Code Red」「Nimda」……次から次へと新しいウイルスが登場する。それにしては,予防接種の必要性はあまり認知されていないのではないだろうか。

 セキュリティホールを放置し,添付ファイル付きのメールを不用意に開封してしまう。お粗末としか言いようがない。情報処理振興事業協会(IPA)が未だに,「備えあれば憂いなし〜セキュリティパッチを当てれば恐くない〜」などとお題目を繰り返すのも無理はないだろう。

 IPAによれば,9月のウイルス届出件数は2238件。2カ月連続で2000件を突破した(10月5日の記事参照)。2000件を初めて超えたのが,「MTX」が猛威を振るった2000年11月のこと。それ以来,月間の届出件数が1000件を下回らないという高水準が続いている。

 もちろん,全ての責任がユーザーにあるというわけでもない。ウイルス作成者が一番悪いのはもちろんだが,マイクロソフトがセキュリティホールだらけの製品を出荷しなければ,ウイルスの被害は減少するに違いない。ただ,こればっかりはどうしようもない。どうせ「仕様です」と片づけられてしまうのがオチだからだ。

 いいニュースもある。以前,米Network AssociatesのプロダクトマネジャーであるCarl Mannering氏に話を聞いたとき(8月9日の記事参照),今後登場しそうなウイルスのパターンを予測して,事前にウイルスのアップデートファイルを配布する準備を進めていると聞いた。インフルエンザの予防接種と同じ仕組みを構築しようというわけだ。

 ウイルスは日常化している。編集部には現在も,多いときで数十件のSirCamメールが届く。ここまでくると,メールをチェックしたときにウイルスがないとちょっと拍子抜してしまうから不思議だ。ただ,こんな楽天的なことを言えるのも,メインのマシンにMacintoshを使っているからだろうか(Windowsマシンではメールを受信しないようにしている)。最近に限っていえば,MacはウイルスフリーなOSである。IPAの報告では,9月に届出のあったMacウイルスはたったの1件だ。

 インフルエンザとは異なり,コンピュータウイルスに感染しても命をとられることはない。でも,死にたいほどウンザリさせられることは確かだ。ウイルスをばらまいたりしたら,社会人生命が危うくなることだってあるかもしれない。

 残念なことに,風邪のウイルスがなくならないように,コンピュータウイルスがなくなることは当面なさそうだ。だとすれば,微生物のウイルス同様,可能な限りそのせいで“病気”にならないための工夫――予防接種はもちろん,手洗いやうがいに類することも含めてだ――を,面倒がらずにやるしかないだろう。

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▼ 情報処理振興事業協会セキュリティセンター

[中村琢磨, ITmedia]

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