News:速攻レビュー | 2001年10月23日 01:11 PM 更新 |
シングルタッチパッドに関しては評価が難しい。すでに5ボタンマウスを使っている人は,[戻る],[進む]ボタンはあまり利用しないように思う。また,Office XPの中でこのキーが有効なのはOutlookだけだ。
ただし,スクロールホイールはマウスに手を伸ばさず,左手小指を伸ばすことで操作できるため,慣れればWordやテキストエディタの操作に役立つはずだ。コントロールキーと組み合わせて拡大縮小を行う際にも有用かもしれない。
クリップボード操作とアプリケーションの切り替えは,すでにショートカットキーをマスターしているユーザーは利用することがないと思われる。上級ユーザーにとって,これらの操作を行うたびに左手の位置を変えるのは煩わしいはずだ。ただし,それらの操作に慣れていない初級ユーザーには有効だろう。上級ユーザーは,これらのボタンをホットキーとして利用するといい。
これはワンプッシュアクセスキーに関しても言えることだ。ファンクションキーに割り当てられた機能は,いずれもOfficeの基本的な機能であり,仕事でOffice XPを使っているユーザーの多くはショートカットをマスターしていると思われるものばかりだ。
筆者の場合,作業ウィンドウ表示の切り替えキー以外は,すべてショートカットで作業できた。言い換えれば,そうしたショートカットをマスターしていないユーザーにとっては,憶えやすいとも言える。なお,これらのキーの多くは対応アプリケーションでしか利用できない(一部キーは他アプリケーションで動作する場合もあるが,それが保証されているわけではない)。
ただ,日本語環境特有の問題が,この機能の有用性を多少複雑にしてしまっている。かな漢字変換ツールがファンクションキーを利用するからだ。かな漢字変換で日本語入力を行う際,コントロールキーでそれらをすべて操作できるユーザーならば,[F Lock]による切り替えを行わずに操作できるが,ファンクションキーでしか変換操作を行えないユーザーにとっては,切り替え操作が煩雑に思える場面があると思う。
問題なのはショートカットをマスターしていないユーザーは,たいていの場合,かな漢字変換をファンクションキーで行っていると推測されることだ。
もっとも,Excelユーザーは喜ぶべきだろう。イコールとカッコとバックスペース,タブは,Excelで多用するキーだが,これらがテンキーの上にあることでフルキーに触れることなく数値入力を行えるからだ。
パッと見てカーソルキーとその上にある編集キーが変更されているのに気付くはずだ。全幅を狭めるため,カーソルキーが少しフルキーに食い込んでおり,編集キーは3列2段の構成から2列3段の構成へと変更されている。またこのうちデリートキーは2個分のキーサイズを占有しており,そこに入り切らなくなったインサートキーがテンキー上部へと移動した。
これらのキーを使ってこなかったユーザーにはあまり関係ないかもしれないが,利用頻度の高いユーザーは,多少の慣れが必要だ。特に古くからのユーザーでCUA(Common User Access)のクリップボード操作に慣れている人には,インサートキーの移動は辛いと思う。CUAではクリップボードへの複写に[Ctrl]+[Ins],貼り付けに[Shift]+[Ins]がアサインされているからだ。
Office Keyboardの利用を考えているなら,この際にキッパリとCUAから足を洗って,[Ctrl]+[Z]〜[V]の操作に慣れる方がいいかもしれない。もしくは,シングルタッチパッドに慣れてしまうという手もある。
また,意外に迷うのがファンクションキー操作だ。通常のキーボードはファンクションキーを4個ごとに区切って配置しているが,Office Keyboardではなぜか3個ごとの区切りになっている。このため,区切り位置を基準に操作していると,ついつい間違ったキーを押してしまう。
数日間,仕事でこのキーボードに触れてきたが,正直言ってすべての人に勧めることはできないと思っている。配列に関しては,この4日間ほどで慣れてしまったが,個人的にはOfficeの機能を直接呼び出す機能に有用性が感じられなかったからだ。配列は慣れれば済むことだが,有用な機能が少ないならば,他の選択肢を探す方がいいかもしれない。
すべての機能を有用と思う人は少ないだろうが,部分的に気に入る人はかなりいると思う。筆者はこのキーボードをしばらく使い続けてみようと考えているが,その理由は以下の通りだ。
実売価格は7800円程度。見た目の割に安価なのは,同社のInternet Keyboard Proには装備されていたUSBハブが存在しないためだ。ライバルのロジクールが発売したばかりのInternet Navigator Keyboard,Cordless Freedom Opticalなども含めて検討してみるといい。この2つの製品にはOffice対応の機能は搭載されていないが,ホイール機能も搭載されている。Officeとの連携にこだわらないなら良い選択肢だ。
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