News 2001年11月20日 08:53 PM 更新

静かに,静かに姿を消したプレステ・エミュレーション「bleem!」

プレイステーションのエミュレーションソフト「bleem!」で知られるbleem社が,「bleem!」の開発・販売を終了したことが20日,明らかになった。詳細な事情は明らかにされていないが,業界筋では,SCEからの圧力で販売断念に追い込まれたのではと見ている。なお国内では孤軍奮闘で販売していた若松通商では,在庫がある限り販売は続けるという。

 プレイステーションのエミュレーションソフト「bleem!」を開発・販売していた米bleem社が,業務を停止していたことが20日,明らかになった。同社サイトが実質的に閉鎖されていることも,11月19日までに判明している(詳細は11月19日の記事を参照)。

 日本国内の販売代理店契約を独占的に結んでいる若松通商のサイトでも,bleem社がbleem!の開発・販売業務を終了したことを伝えている。


bleem!のお墓にお花を供えている画像が寂しさを誘う若松通商のサイト

 米国カリフォルニア州を拠点に1998年に設立されたbleem社は,1999年5月にPC用(Windows 98/95)プレイステーションエミュレータ「bleem!」を発売。「Electronic Entertainment Expo」(E3)でも大きな話題となった。業界筋によると,bleem!シリーズの日本での販売は累計10万本近くにまで達しているという。

 若松通商では,1999年の10月頃からPC用(Windows 98/95)プレイステーションエミュレータ「bleem!」の販売を開始した。

 今年5月には,ドリームキャストでプレイステーションのゲームが楽しめるエミュレーションソフト「bleem! for Dreamcast」をリリース。このソフトでは,エミュレータにありがちな動作不安定の問題を解消するために,1つのゲームタイトル用にカスタマイズした専用版という方式を採用した。

 このbleem! for Dreamcast第1弾のタイトルは「グランツーリスモ2」。プレイステーションよりも高いグラフィックス機能を持つドリームキャストのスペックを生かして,本家よりも高解像度な映像でゲームをすることができる。価格も980円とリーズナブルで,かなりの本数が売れたようだ。

 さらに今月初めには,第2弾の「bleem!for Dreamcast 鉄拳3」を発売し,5カ月ぶりのニュータイトルで再びbleem!に注目が集まっていた(11月1日の記事参照)。その矢先だけに,関係者やユーザーの落胆は大きい。

 若松通商でbleem!販売推進を担当するEC推進室室長の柏原俊之氏は「bleem社が事業閉鎖を知らせてきたのが先週の初め。“もうそろそろ閉めたいが,注文はあるか”と打診してきた」と,今回の一件が「寝耳に水」だったことを認める。

 同氏によると,一時期は20人ほどのスタッフを抱えていたbleem社も,最近では創立当初の3人に戻って小ぢんまりと活動を続けていたという。

 「もともと,彼らがプログラマの遊び心で始めた商品。法廷闘争や販売停止の圧力など,つまらないイザコザでやる気が失せてしまったのでは」(柏原氏)。

 これまでのエミュレーションソフトというと,ROMイメージ吸い出しによるコピーソフトの蔓延といった違法性のイメージが表に出がちで,アンダーグランドでの販売がメインだった。しかし,bleem!は,米国でのエミュレータをめぐる訴訟で連邦地裁がSCEの販売差し止め請求を却下。おかげで,この手のソフトでは珍しく一般向け商品として普通のショップで堂々と売られていた。

 しかし情報筋によると,米国ではSCEからそうとう圧力があったようで,ショップ側への販売停止勧告など有形無形の圧力が行われていたという。

 もちろん,SCEの請求却下の判断が連邦地裁で出ている以上,bleem社や小売店サイドでは,こうした要求に耳を貸す必要はないのだが,米国ではPC用ソフトと家庭用ゲーム機ソフトを同じ店内で販売しているケースが多い。となれば,SCEに楯突いてまで販売しようとするショップが少なかったのだろう。

 国内でも同じような状況があったようだ。PC版bleem!が発売された当初は,秋葉原のパーツショップを中心に多くの店が取り扱っていた。だが,最近ではほとんど見かけることはなくなっている。あるショップの話では,内容証明付きの警告文書が弁護士から送られてきたこともあるという。

 警告は,bleem!を紹介するサイトにまで及んでいるようで,あるサイトの掲示板では,警告を受けたことでサイトを閉鎖するとの告知が出ている。あらゆる方面から,この「bleem!」というソフトの存在を消し去ろうという動きがあるようだ。

 ZDNet NEWSでは,bleem!に関する読者の関心は非常に高かった。特に,2000年5月12日の記事「ドリキャスでプレステ? 米bleemがエミュレータを発表」は,2000年の年間アクセス数トップの栄冠に輝いている(2000年12月25日の記事を参照)。

 「bleem!は,いろいろな意味で“20世紀を締めくくる”商品だったのではないだろうか。米国ではbleem for DCのメタルギアソリッド版が発売されており,これの日本語対応版も出そうかという話しもあった。人気商品だっただけに,販売停止は非常に残念」(柏原氏)。

 若松通商では,JR秋葉原駅前ラジオ会館内のL/PLAZAと本店1階,そして同社Webサイトで,在庫がある限りbleem!製品の販売を継続していくという。また,L/PLAZAではbleem for Dreamcast 鉄拳3の実演デモンストレーションも実施。ドリームキャストの実機で実際にゲームを体験することができる。

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関連リンク
▼ 若松通商
▼ 若松通商eマート
▼ 若松通商サイト内bleem社の業務停止のお知らせ
▼ bleem

[西坂真人, ITmedia]

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