News 2001年11月28日 10:55 PM 更新

「WinMX」にメス──ファイル交換ソフトで逮捕者

ファイル交換ソフト「WinMX」でビジネスソフトを交換していた疑いで2人の学生が逮捕された。捜査に協力したコンピュータソフトウェア著作権協会は,「日本の著作権保護法では,ファイル交換ソフトの著作権侵害行為を摘発することが可能だ」と強調した。

 既報の通り,コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によれば,ファイル交換ソフト「WinMX」でビジネスソフトを交換していた(または交換可能な状態にしていた)として,著作権法違反(公衆送信権の侵害)の疑いで,2人の学生が逮捕された。

 ACCS事業部事業調整課の葛山博志課長は,「京都府警ハイテク犯罪対策室などと,WinMXで著作物をやり取りしていた10人をマークしていた。今回逮捕されたのは,その中でも特に悪質だと判断されたユーザーだ」と説明する。

 「悪質」の判断基準は,1)交換可能な状態になっていたアプリケーションの数,2)そのアプリケーションを交換可能な状態にしていた期間――などである。容疑者の1人である東京都杉並区の大学生(19)は,約100タイトル(総額700万円相当),ファイル数にして2400ファイルを送信可能な状態にした疑いで,もう1人の専門学校生(20)は,「Adobe Photo Shop 6.0日本語版」など500以上のファイルを送信可能な状態にしていた疑いが持たれている。

 なお,WinMXで共有できるファイルは最大で1001個。そのため,「この大学生は常に2400個のファイルを交換していたわけではなく,常に1001個のファイルを共有可能な状態にしていた」(葛山氏)のだという。


WinMXで「Photoshop」を検索してみたところ。「Adobe Photoshop 6 尻有.zip」などのファイルが大量に見つかった

 今回,ACCSは警察からの要請に答え,長期間にわたり容疑者の男性に関して,WinMXの利用状況調査を実施。対象となったソフトが正規のものと同一か確認するなど,警察の捜査に全面的に協力してきたという。

 「大学生のほうは,頻繁にユーザーネームを変更していたことが分かっている。容疑者を特定した方法についてはコメントできないが,匿名性を保っているとはいえ,一般に考えられているほど,個人を特定するのは難しいことではない」(葛山氏)。

 なお,葛山氏は,京都府警ハイテク犯罪対策室などとマークしていた残りの8人に対し,「今回の件で,著作権法に違反する行為を止めれば,お咎めもないだろう」と説明する。ただ,「確信犯的なユーザーについては,今後も調査を続けていく方針」(同氏)だ。

 「ファイル共有ソフト自体が,違法だというわけではない。ただ,著作権侵害行為を助長するものだというイメージが付いてしまったのは確かだ。最近,国内で新しいファイル交換サービスが始まったが,ユーザーベースではWinMXの比ではないため,あまり調査は行っていない。だからといって,WinMXだけをターゲットにしているわけでもない」(同氏)。

 ファイル交換ソフトによる著作権侵害については,米国などの事例からいうとまだまだ論争的な部分がありそうだが,この点についてACCS専務理事・事務局長の久保田裕氏は,「ファイル交換ソフトを利用した著作権侵害行為について,(日本国内では)法律的に議論する余地はない」と言う。

 というのも,日本では1997年(平成9年)の著作権法改正で,実際に送信が行われなくても,著作物を無断で送信可能な状態にする(「送信可能化」という)だけで著作権の侵害になることが規定されているからだ。今回はこれをファイル交換ソフトでの著作権侵害に適用したことになる。「先進国の中でもファイル交換ソフトに対応可能な著作権保護制度を実現しているのは日本とオーストラリアだけ」(久保田氏)だという。

 久保田氏は,WinMXを利用した著作権侵害行為について,「著作権侵害行為は,人の目につかないところで行われることが多いが,WinMXを手に入れれば,誰でもソフトをダウンロードすることができる。公に違法行為をやっているのだ。路上で海賊版を販売するのと,流通する規模も較べものにならない。同じファイル名のソフトが何十本も共有されている。極めて悪質だ」と斬り捨てる。

 「2ちゃんねるでは,“摘発してみろ”という挑発的な書き込みもあったが,これで本当に摘発されることが分かったはずだ」(同氏)。

 さらに,今回,逮捕された2名の学生のうち,専門学校生には,多数のMP3形式の音楽ファイルを交換可能な状態にしていた容疑も持たれている。葛山氏は,「今後は,ビジネスソフトに限らず,ゲームや音楽ファイル,動画データなども取締りの対象になっていくだろう」と警告した。

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▼ コンピュータソフトウェア著作権協会

[中村琢磨, ITmedia]

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