News 2001年12月5日 11:16 PM 更新

デジカメ向け“最強乾電池”――東芝電池がGigaEnergyを発表(2)

 発表会では,代表的なデジカメメーカー3社(社名・機種名は隠されていた)のマシンを使って撮影枚数を競うかたちでアルカリ乾電池との性能比較を実施。デジカメは,電源に単3形乾電池を2本使うコンパクトタイプが用意された。

 テストは,LCDを常時点灯させストロボは毎回発光,ズームは固定という条件で撮影を行い,フラッシュが発光しなかった時点で撮影終了と判断する方式で比較された。


代表的なデジカメでアルカリ乾電池との性能比較を実施

 アルカリ乾電池の方は,S社デジカメが9枚の撮影で力尽き,O社とF社も16枚で撮影終了となった。一方,GigaEnergyを使ったデジカメでは,F社が270枚(アルカリ乾電池比で約17倍),S社が143枚(同約16倍)と,いずれもアルカリ乾電池より大幅に撮影枚数が増加した(バッテリのフル充電時間が30秒に設定されていたO社デジカメでは,発表会時間内に撮影が終了しなかった)。


性能比較では,いずれもアルカリ乾電池より大幅に撮影枚数が増加した

 エレクトロニクス機器の低消費電力化や必要とする特性の変化によって,アルカリ乾電池の市場は縮小傾向にある。国内で年間11億個という生産量のうち約7割が単3形乾電池が占めるが,その生産量は2000年度,対前年比で97%と前年を割っている。代わりに伸びているのが,ニッケル水素を中心とする二次電池だ。


アルカリ乾電池の市場は縮小傾向

 その理由を東芝電池では,“デジタルカメラ需要の増大によるニーズの変化”だと分析する。「短時間に大容量の電流を流す,極めて高いレベルの高出力特性はアルカリ乾電池では満たされない」(同社技術担当取締役の山本正夫氏)

 アルカリ乾電池による一次電池不信感の払拭に期待が高まるGigaEnergyだが,発売は2002年3月より開始される。当初はニーズの高い単3形から発売し,徐々にラインアップを充実させていく予定。価格は単3形(ZR6G)が1本240円となっている。

 複数本のパックで売られることが多い乾電池の値段は,1本の標準価格を見てもピンとこないが「アルカリ乾電池と比べて,1.5倍程度のストリートプライスになる」(同社)という。デジカメ使用時に公称で5倍,ケースによっては十数倍もの長寿命を示すコストパフォーマンスを考えたら,まさにアルカリにとって変わる「次世代タイプの乾電池」というわけだ。

 ただ,気をつけなくてはならないのは,容量自体はアルカリ乾電池と同じという点だ。瞬間的な高出力を必要とするデジタルカメラやカメラ用フラッシュなど特定の機器には効果を発揮する高出力特性も「携帯MDプレーヤーやMP3プレーヤー,携帯ゲーム機などでは,駆動時間の劇的な向上は期待できない」(同社)という。

 当分は“デジカメのみ”の最強乾電池ということになるが,今後はGigaEnergyの高出力特性を生かしたエレクトロニクス製品の登場も期待できる。「GigaEnergyのような長寿命の乾電池出現によって,それを生かすような製品の開発も促進される。ニッケル乾電池は単なる新製品ではなく,エネルギー革命だ」(鈴鹿社長)。

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[西坂真人, ITmedia]