News 2001年12月13日 08:20 PM 更新

本格オーディオとモバイルPCのコラボモデル――オーディオPC「AVENUE」

Crusoe搭載のノートPCと,PCの外部ドライブとしても使える本格オーディオデッキをセットにした「AVENUE」。新コンセプトマシンのために協業したケンウッドとイーヤマが,商品説明会を行った。

 ケンウッドとイーヤマは12月13日,先月末に発表した“オーディオPC”「AVENUE」(MPX-710)の商品説明会を行った(スペックなど詳細は11月28日の記事を参照)。


ケンウッドとイーヤマのコラボモデル「AVENUE」

 AVENUEは,Crusoe搭載のノートPC「アベニュー・ノート」と,PCの外部ドライブとしても使える3スピンドルの本格的なオーディオデッキ「アベニュー・オーディオ」をセットにした新コンセプトマシンだ。

 オーディオデッキ部は,ケンウッドが今年11月に発売したばかりのハイスペックなマイクロコンポ「Digital Avino SJ-9CDR」をベースにしている。外見は足の部分が木目調から本体上部と同じシルバーに変更された以外,SJ-9CDRとほぼ同じだ。ただ,PCとの連動機能のために中身は大幅に変更されている。


ハイスペックオーディオをベースにPC連動機能を追加したオーディオデッキ部

 フラットなフォルム上部にDVD-ROMドライブ(SJ-9CDではCD-ROMドライブ)とCD-R/RWドライブを横に並べて配置。両ドライブは,アベニュー・ノートの外部ドライブとして利用できる。DVD-ROMドライブはPCを介してのみ利用でき,DVDのビデオ出力もPC側のみに装備されている。オーディオ単体としてはCD-ROMとして機能するため,DVDオーディオにも対応していない。ただし,CD-Rに焼いたMP3/WMAファイルは,単体オーディオでも再生可能だ。

 オーディオデッキ下部に装備されたMDドライブはNetMDに対応するが,このMD転送新規格もPCを介さなければ使えない。オーディオ単体ではMDLP対応MDレコーダーとなる。


下部にNetMD対応のMDドライブ。オーディオ単体ではMDLP対応MDレコーダーとなる

 欧州のオーディオ製品を思わせるガラス調の電動オープンドアを採用したドライブ部は,高級感たっぷりでユーザーの所有欲をかきたてる。オーディオ機器としての音質を追求するため,アンプ部とオーディオデッキ部を別体構造とした「セパレートアンプ」を採用。このアンプ部側にFM/AMチューナーを内蔵している。

 NetMDやDVD機能がPCを介してのみという制約はあるものの,音質へのこだわりや各部の作り込みなど,単体オーディオとして十分魅力的な商品に仕上がっている。さすがオーディオ専業メーカーといったところだ。


欧州オーディオ製品のようなガラス調の電動オープンドア

 ノートPC部は,CPUにCrusoe TM5800/800MHzを採用している。「オーディオPCとして,サウンドを妨げるファンの音は排除したかった。いつも持ち歩くB5サブノートとして長時間駆動のための省電力性も考えて,Crusoeを採用した」(イーヤマ)。

 12.1型TFT液晶ディスプレイ(1024×768ピクセル)を搭載し,273(幅)×26.5(高さ)×220(奥行き)ミリ,重さ約1.6キロというボディは,スペック的には特に目新しいものではない。しかし,新開発「ヘアライン仕上げ」の質感あるアルミボディは,オーディオデッキ同様に“所有する喜び”をユーザーに与える作りとなっている。OSはWindows XP Home Editionを採用した。


質感あるアルミボディ。CPUは省電力とファンレスの静粛性からCrusoeを採用

 PCには高速な転送速度を持つUSB2.0を標準で搭載し,オーディオデッキとの接続はこのUSB2.0ケーブル1本で完了するため,背面の配線もスッキリしている。オーディオデッキ制御ソフトとして,ケンウッド・ジオビット製「StageMaster」がアベニューノートにプリインストールされている。このStageMasterを通じてNet MDやDVD再生ソフト(WinDVD)の制御,音楽CDからのリッピング,MP3/WMAエンコーディング,音楽用CD-R/RWの作成などが行える。


USB2.0ケーブル1本で接続できるため,配線もスッキリ

 オーディオ専業メーカーというだけあって,オーディオデッキ部分の仕上がりは見事なものだ。実売20万円台半ば〜後半という価格がやや気になるが,ベースとなっているマイクロコンポ(ケンウッドSJ-9CDR)が実売9万円前後で,DVD再生やNetMD,USB接続などマイクロコンポにはないPC連携機能を考えると「オーディオデッキ側だけでも15万円以上はする」(ケンウッド)お買い得商品なのだ。これに,魅力的なアルミボディのB5サブノートが“もれなく付いてくる”のである。

 ただ,ノートPCにインストールされているオリジナルソフトはStageMasterのみで,接続もUSB2.0という汎用規格を使っている。つまり,StageMasterさえ手に入れば,PCは他社製のものでもかまわないのだ。PCユーザーとしては,手持ちのPCを生かすことができる単体販売に期待が高まる。

 オーディオデッキ部とStageMasterの単体販売について,ケンウッドでは「将来的には検討していきたいが,まずはPCとセットにした第一弾が売れないと後に続かない。オーディオメーカーの我々は,PCメーカーが持つ販路も魅力なので,今後もPCメーカーとの協業が中心となっていくだろう」と話していた。

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[西坂真人, ITmedia]

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