News 2001年12月29日 11:59 PM 更新

2002年――どんなデジカメが欲しい?

2002年のデジカメ市場は,2001年同様に小型・軽量で高性能なスタイリッシュモデルが売れ筋となりそうだ。一方,10万円前後の廉価な“交換レンズ式一眼レフデジカメ”の登場にも期待したい。

 景気低迷の2001年で,他業界がうらやむような急成長で市場を拡大していったデジタルカメラ。2002年は,一体どのような製品が登場してくるのだろうか。

2002年も「小型・軽量で高性能なスタイリッシュモデル」が売れ筋!?

 2001年のデジカメ市場では,ソニーのDSC-P5が今年10月の発売以来デジカメ売れ筋ランキングのトップの座を独占している。このP5は,2000年後半から2001年上半期にかけて売れ筋トップの常連だった大ヒットモデルDSC-P1の後継機だ。

 同じように発売以来ロングセールスを続けているのが,キヤノンのIXY DIGITAL200。この機種も,昨年品切れが相次ぐほど人気だったIXY DIGITALシリーズの後継機だ。

 ある大手カメラ量販店では,今年夏以降の売れ筋ランキングを1位がP5,2位がIXY DIGITAL200が独占する状態で年末まできているという。10数社のメーカーが入り乱れ,新機種が続々と登場するデジカメ市場で,この2台のロングセラーは異彩を放っている。


ランキング1,2位を独占するDSC-P5(左)とIXY DIGITAL200(右)

 両機種のサイズをみてみると,P5が112.5(幅)×36.2(奥行き)×53.8(高さ)ミリで約185グラム,一方のIXY DIGITAL200も87(幅)×26.9(奥行き)×57(高さ)ミリで約190グラムと,どちらも手のひらサイズの小型・軽量ボディだ。

 この2つの大ヒットモデルに共通するのは,200グラム以下で手のひらサイズながら200万〜300万画素,光学ズーム搭載,原色フィルタ採用など基本性能は押さえて,なおかつ実売が5万〜6万円台に収まっているところだろう。そして,両モデルともデザイン性に優れている点も見逃せない。

 デジカメ各社は,2002年も「小型・軽量」で「高性能」「スタイリッシュ」な新製品の開発にしのぎを削ってくるだろう。

画期的な光学ズームシステムで超小型のデジカメ出現?

 小型・軽量ボディの設計に邪魔となるのは,光学ズームシステムだ。倍率を上げるためには,レンズ面と撮像素子を離して焦点距離をかせがなければいけない。しかし,そうすると今度はレンズが出っ張るなどボディの厚さに影響する。各社が沈胴式レンズを使うのは,薄型ボディに光学ズームを載せるための苦肉の策なのだ。

 2002年は,いかにして高倍率の光学ズームを小型・軽量なボディに搭載するかがポイントとなってきそうだ。

 マイクロマシン展で,超小型ズームレンズシステムが参考出展されていた。これを使えば,従来モデルよりさらに小型なデジカメも可能となる。さらに,これまでなかったような,まったく新しい光学ズームシステムを搭載して小型化を図るデジカメも登場してきそうだ。

 デジカメ小型化に避けて通れないのが,バッテリーだ。小型デジカメでは本体容積の1/3をバッテリーが占めているケースも少なくない。つまり,バッテリーの小型化が本体のサイズダウンに直結するのだ。そのためデジカメ各社は,乾電池駆動から,小型ながら容量をかせげるリチウムイオン充電池へとバッテリー形式を変更してきている。

 じゃあ,乾電池はダメなのかというと,そうでもない。先日,東芝電池が“デジカメ最強乾電池”ともいうべき「ニッケル乾電池」を2002年3月より発売すると発表した。

 当初は単3形からだが,年内早いうちに単4形も発売するという。アルカリ乾電池と比べて公称5倍,ケースによっては十数倍もの長寿命をもたらすこの“次世代乾電池”は,新しいスタイルのデジカメを生み出すかもしれない。

求む!廉価な一眼レフデジカメ

 2001年はペンタックスやミノルタといった銀塩カメラメーカーが,デジカメ市場に本格参入してきた。ニコン,キヤノン,オリンパス,コンタックス(京セラ)などとあわせて,一眼レフカメラ用の優秀な交換レンズを持ったメーカーが揃ったわけだ。

 こうなってくると期待したいのが,交換レンズ式一眼レフのデジカメだ。それも,10万円台,できればボディのみで10万円以内の製品が欲しい。このような廉価な一眼レフデジカメは,出そうでなかなか出てこない。

 最近の一眼レフデジカメでは,今年2月に発表されたニコンD1X/同Hが45万円前後,来年2月に発売予定の「CONTAX N DIGITAL」に至っては80万円もする。


交換レンズ式一眼レフデジカメはどれも高価

 現在市場でコンシューマユーザーが手が届きそうな価格の一眼レフデジカメでは,キヤノンのEOS D30が実売で30万円前後,ニコンのレンズが使える富士写真フイルムのFinePix SI Proが25万円前後といったところだ。どちらも発売してから1年以上経過している。このクラスでは,2001年には新製品が出ていないのだ。

 記録メディアの容量が許す限り何百枚でも何千枚でも撮影でき,さらに何度も撮り直しができるのがデジカメの魅力。交換するレンズによってさまざまな描写が生まれ,被写界深度を極めるためにいろいろな絞りを試してみるといった写真の醍醐味が,一眼レフデジカメなら気軽に楽しめる。「こんなに撮影したら,現像代が……」などとコストの心配もいらない。

 (筆者を含め,多くの人が)2002年に登場を期待しているのは,この10万円前後の廉価な一眼レフデジカメに違いない。実際,数社がその準備を進めており,そう遠くない時期に登場するとの噂も聞く。気になるのは,どこまでその価格が引き下げられるかだが……。

[西坂真人, ITmedia]

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