News 2002年1月11日 07:13 AM 更新

DVD+Rの存在意義は?

CESが開催されているラスベガスでは,近くのホテルでDVD+RW陣営によるプレスセッションがあった。このDVD+RWについては少なくともその存在意義が理解できるのだが,わからないのはDVD+Rのほうだ。

 DVD+Rの意味とは何なのだろうか?筆者はDVDに対して,特別に強い関心を持ってきたわけではないが,それでも海外取材を通してDVD−RAMの規格でDVD Forumの内紛があり,結果としてDVD+RWが生まれるまでの経緯を取材し,それなりの事情はわかっていたつもりだ。随時書き換え可能なDVDが分裂したのもしかたがない,と,DVD-RAMを批准しつつDVD+RWへと流れた企業の気持ちは察する。

 しかし,その結果があまり芳しいものではないことも,また事実である。いや,これまでは仕方がない。広い心を持って許容しようではないか。だが,DVD+Rに関しては今ひとつ納得がいかない。

 DVD+RWには技術的な優位点と互換性のためという明確な理由が存在したが,DVD+Rは単なるグループ間の対抗規格でしかない。米国ラスベガスで開催中のConsumer Electronics Show2002のプレスルームでは「全部対応できればいいんだけどねぇ。そうすればDVD-R-RW+R+RWで,合計するとDVDで統一される」といった冗談も聞かれた。

 DVD-Rと+Rはいずれも色素変化を用いた記録メディアで,技術的に大きな隔たりがあるわけではない。もし,DVD+RW陣営が互換性を重視するならば,DVD+RWに-Rを付加する努力をすべきだ。しかし,DVD+RW陣営のベンダーは-Rに対応するつもりが全くない。

 DVD+Rを支持するベンダーは,現状のDVD-Rが追記を行えない仕様であることが問題だという。DVD-Rの仕様ではマルチセッションの書き込みを行うと,トラックギャップが発生してしまい,従来のDVDで再生できなくなるからだという。

 これに対してDVD+Rは追記可能な仕様となっており,ギャップなしでデータ追記を行うことが可能だ。従来のDVDとの互換性を取りながら,マルチセッションの書き込みが行える。ただ,それならば現行DVD-Rに対応しながら,その拡張仕様として追記可能な方式を提案すべきだろう。

 筆者はスケジュール上,DVD+RW陣営のプレスセッションに参加することはできなかったため,Philipsのブースなどで質問をして回ったものの,明確な答えを見つけることはできなかった。

 こんな状況で,迷惑をしているのは一般消費者である。先日,DVD+RWのメディアを買いに出かけたら,店員がDVD-RWのメディアを持ってきた。差し引きゼロの「ただのDVD」が使いたいと,すべての消費者が望んでいることを,まさか知らないはずはない。より良い製品開発のための技術競争は存在すべきだが,同じような技術が複数存在しても消費者は混乱するだけだ。

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[本田雅一, ITmedia]

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