News 2002年1月2日 04:58 AM 更新

2002年,記録型DVDは勝負の年になる

話題を集めたほどには普及しなかった2001年の記録型DVD。“次”を狙う青色レーザーを使った新規格の開発も急で,2002年はこの規格が普及できるかどうか,正念場の年になりそうだ。

 記録型DVDに対応した製品が,各社から発売され脚光を浴びた2001年。しかし,話題にこそなれ,記録型DVDはそれほど普及したというわけではない。PC用の周辺機器という点に関して言えば,やはりCD-R/RWドライブが主役の1年だったといえるだろう。2002年は,果たして記録型DVD大ブレークの年になるのであろうか?

話題をさらった記録型DVDの動向

 2001年の光磁気業界は,記録型DVDの登場,CD-R/RWドライブの更なる低下価格化と機能向上の限界,ランドグルーブ記録で大容量化を実現した2.3GB MOの発売,そして次世代光記録デバイスの試作機の発表など,様々な話題があった。中でも,もっとも注目を集めたのは,やはり記録型DVDに対応した製品が各社から発売されたことであろう。

 特に松下電器産業が夏に発売したDVD-RAM/Rレコーダ「DMR-E20(通称Dream)」やPC用のDVD-RAM/Rドライブ「LF-D321JD」は,低価格であったことから人気製品となり,品薄が続いたということは記憶に新しいところだ。

 最近では,松下電器産業や東芝からDVD-RAM/Rレコーダ機能に加え,HDDレコーダ機能を搭載したハイブリッドレコーダの発売が開始され,やはり注目を集めている。ハイブリッドレコーダは,映像の長時間録画とディスクへの映像の保存というメリットの2つを併せ持ち,ビデオカセットレコーダの代替として,2002年も注目を集めることは間違いない。

 また,DVDレコーダ単体でも,10万円を切る製品が,来年は投入されることになるはずだ。DVDレコーダの低価格化が進めば,記録型DVDそのものがより身近になる,2002年は,DVDレコーダそのものが,注目の製品となるだろう。

 一方,PC用の記録型DVDドライブは,リテールパッケージの販売ではなく,PC搭載から始まったという点が興味深い。記録型DVDドライブは,パイオニアやリコーの製品を見てもわかるように,CD-R/RWドライブとしての機能を併せ持つスーパーコンボとして設計することもできる。

 そういった製品が増加することにより,2002年は,2001年以上にPC搭載が進むことが容易に想像できる。記録型DVDドライブは,現在のところ各社のフラッグシップモデルを中心にしか採用されていないが,2002年夏モデルぐらいからは,1つ下のクラスの製品まで搭載が進む可能性が高い。

 また,PC用の記録型DVDドライブは,2002年は,PC搭載をターゲットにした低価格な製品とハイエンド向けの高機能製品の2種類の方向性が予想される。

 まず,機能的な面からは,CD-R/RWドライブ機能は,標準的に搭載されることになるはずだ。バッファーアンダーランエラー対策機能を搭載し,書き込み12倍速から16倍速,書き換え10倍速の製品が主力で,低価格な製品では,両方が8倍速となる可能性が高い。読み出しについては,32倍速または40倍速辺りの製品が主力になるだろう。

 書き込みスピードについては,DVDフォーラムのDVD-RおよびDVD-RWで高速化が予想される。DVD-Rは4倍速,DVD-RWは2倍速まで高速化されることになるだろう。DVD-RAMについても,高速化が行われる可能性があり,もしかしたら,記録容量も変化するかもしれない。さらに,すべてのDVDフォーラムの規格をサポートしたDVD-Multi対応の製品が登場し,それが主流となる。

 一方,DVD+RWアライアンスでは,2002年にはDVD+R規格に対応した製品が発売される。時期は,遅くとも夏,早ければ春ぐらいには,発売になると見ている。書き込みスピードは,現状のDVD+RWと同じ2倍速ぐらいで登場する可能性が高い。

 価格については,低価格な製品では,3万円を割り,2002年末には,2万円前後という価格を実現するだろう。ただし,低価格な製品では,それほど高速化は進まず,記録型DVDメディアへの書き込み/書き換えスピードは1倍速で,それに8倍速のCD-R/RW機能を搭載した製品となるはずだ。

 さらに,DVD-R/RW,DVD+Rなどへの追記,つまり,「MultiBorder(DVD+RWでは,MultiSession)」への対応にも注目が集まる。どういった形で追記するのか,また,追記を行って既存のDVD-ROMドライブがきちんと読めるのかなど問題点も多く,先はみえない。だが,何らかの対応が行われる可能性が高く,たとえば,独自の方法でソフト的に実現するといったことも十分ある。

限界点が見えてきたCD-R/RWドライブ

 CD-R/RWドライブは,2001年4月に各社から20倍速を超える製品が発売されて以降,急激な低価格化が進み,年末には,24倍速書き込みに対応した製品が,1万5千円前後で購入することができるところまできた。今では,1世代前の製品になると1万円を割って購入できることも珍しくない。

 また,スペック的にみた場合,現在の主力は20倍速以上の書き込みスピードを持つ製品だが,2001年末には32倍速書き込みを実現した製品の出荷が開始されている。CD-R/RWドライブは,2002年なると書き込みスピードをさらに40倍速まで向上させ,CD-RWへの書き換えスピードも,16倍速まで向上させることになる。

 だが,CD-R/RWドライブの書き込み/書き換えスピードの向上は,メディアの回転数などの限界から,これで終焉を迎えることになる。今後は,DVD読み出し機能の強化やTDKなどか発売を予定しているMultiLevel RecordingなどのCD関係以外の付加機能の向上に力を注ぐことになるだろう。

 さらに,CD-R/RWドライブ関連では,80分(700MB)を超えるメディアへの書き込みもアナウンスされている。現在でも80分以上の規格外メディアが販売されているが,2002年では,それが正式サポートされることになるというわけだ。ただし,新たに規格化される80分以上のメディアは,従来79分59秒74フレームまでしか扱えなかったMSFを拡張している。現在発売されている99分メディアなどとは,互換性がない可能性があるので注意してほしい。

記録型DVDは勝負の年に

 2001年は,記録型DVDドライブが話題にこそなったものの爆発的に普及を遂げたわけではない。しかし,記録型DVDは,2002年には,更なる低価格化とCD-R/RWドライブとしての機能を搭載することによって,より一層の普及が進むことは間違いない。

 同時にこれは,記録型DVDのデファクトスタンダードを決めるべく,DVDフォーラムとDVD+RWアライアンスの両者が真っ向から戦うことを意味している。おそらく,両者にとって勝負の1年となるはずだ。

 ただし,勝負がつかないというシナリオもある。現在のところ,日本国内の市場では,DVDフォーラム優勢が伝えられているが,海外では,DVD+RWアライアンスが頑張っている。世界シェアを考えた場合,日本国内のシェアは,1割ほどしかない。

 仮に,DVDフォーラムが日本国内のデファクトスタンダードを築きあげたとしても,残り国々でDVD+RWアライアンスが5分以上の戦いをすれば,世界的に見て5分5分のダブルスタンダードの可能性も残っている。記録型DVDのスタンダードは,海外市場の成果にかかっているといっても過言ではないだろう。

 また,青紫色レーザーを使用した次世代光記録デバイスの規格にも,大きな動きが見られることになるだろう。ポストDVDを狙うこの規格は,2003年の製品化を目指しているといわれている。

 これを実現するためには,2002年中に規格策定の動きが始まらなければ間に合わない。2002年は,光磁気業界にとって,目の離せない激動の年となる予感すら秘めている。

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[北川達也, ITmedia]

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