News 2002年1月30日 09:53 PM 更新

2001年国内電子工業生産は過去最悪のマイナス成長 新規AV機器は好調

JEITAの森下会長もなすすべなしといった印象の2001年 国内電子工業生産。しかしながら,デジタルテレビやフラットパネルテレビといった新しいAV製品が好調という明るいニュースもある。

 JEITAが1月30日に発表した2001年の国内電子工業生産は,前年比15.3%減という過去最悪のマイナス成長(速報参照)だった。JEITAの森下洋一会長も,「世界経済の緩やかな減速局面の中,米国同時多発テロが発生,不透明感が加速され,業界をとりまく状況は非常に厳しくなった」となすすべなしといったところ。中でも,世界的なIT不況により,半導体市況は例を見ないほど悪化した。

 2002年は,電子部品・デバイスが回復基調となり,前年比0.7%と微増の見通しだが,産業用電子機器ではPCが2年連続マイナス成長(同2%減)と予測されている。

 しかしながら,すべてが悪かったわけでもない。デジタルテレビやフラットパネルテレビ,ならびにDVDなどの新規製品は好調に需要を拡大。DVDの国内出荷台数は170万台を突破し,成長率は対前年比216.5%を記録した。また,デジタルテレビ・チューナ(BSデジタル,10型以上の液晶カラーテレビ,PDPテレビ)は,前年比72.7%増という好調な結果だった。

 この日,電子情報技術産業協会(JEITA)主催の「電子機器の需要予測・内外動向調査」講演会で,「AV主要品目世界需要予測〜2006年までの需要展望〜」と題してプレゼンテーションを行った電子機器AV予測WG主査でソニー渉外部1課プロジェクトマネジャーの稲垣宏氏は,「こうした新規製品に加え,既存のAV機器においても,デジタル化・ネットワーク化・小型化・低価格化というトレンドに乗った製品は,着実に注目を集めている」と分析した。

 稲垣氏が,特に注目しているのが,デジタル放送受信機ならびにフラットパネルテレビの動向である。

 「2001年の需要は予測を大幅に下回る結果となったが,秋以降は値頃感を追求した製品が登場し,確実に伸張してきた」(稲垣氏)。また,2002年春から110度CSデジタル放送,2003年には地上波デジタル放送が開始される予定で,稲垣氏は「これらのサービスが本格的に始まると,新市場の拡大と買い換え需要が期待される」と話す。

 稲垣氏の予測では,冬季オリンピックや日韓ワールドカップが開かれる“スポーツイヤー”である2002年は,対前年比230%,地上波デジタル放送が開始される2003年には245.5%の成長を見込んでいる。その後,市場は120〜130%成長で推移し,2006年には740万台のデジタル放送受信機が出荷されると見る。

 また,液晶カラーテレビ(10型以上)については,「昨年,1インチ0.6〜0.7万円という戦略的な価格の商品が導入され,13〜15型を中心に需要が拡大した」(稲垣氏)。2001年の液晶カラーテレビの出荷台数は国内35万台だった。稲垣氏は,液晶カラーテレビの需要は2003年に100万台を突破,2006年には250万台に成長し,「カラーテレビ総需要の2割以上を占めるようになる」と見込む。ただ,そのための条件として同氏は「1インチ0.5万円を切る」ことを挙げた。

 またPDPテレビに関しては,「デジタルコンテンツ配信や,DVDの普及などと相まって需要は増加していく。家庭用のテレビとして本格的に立ち上がり始めるのは,1インチ1万円以下になる頃。おそらく,2003〜2004年になるだろう」と予測した。

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[中村琢磨, ITmedia]

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