News 2002年2月28日 00:14 PM 更新

「2003年には,すべてに妥協しないPCを」とIntel。4GHz動作のデモも披露

Intel副社長のLouis Burns氏はIDF2002で講演を行い,要素技術の進化により,2003年には小型で拡張性があり,高性能,低騒音・低消費電力という“すべてに妥協しない”PCを提供できると語った。

 Intel Developer Forum Spring 2002の3日目,デスクトッププラットフォーム担当上席副社長のLouis Burns氏は基調講演で「来年にはサイズやデザイン,性能など,すべての面で妥協しない製品を提供する」と話した。そして基調講演時間の大半を割いて,妥協しないPCを構築するための要素技術について説明した。


デスクトッププラットフォーム担当上席副社長のLouis Burns氏

 まず次世代のシリアルI/O技術3GIOについて,現在ドラフト案1.0がワーキンググループから提出され,それを検討中の段階であることを明らかにした。

 5月にはドラフト案がPCI-SIGに提出され,6月にはPCI-SIG主催で3GIOの開発者向けカンファレンスを開催。今年後半,デベロッパー向けのガイドやバリデーションツールを整備し,開発を進めていく。そしてIntelは2003年後半にも,3GIOに対応した最初のチップをリリースする。

 また,Intelは2003年,0.09ミクロンプロセスで製造されるPrescottを投入する。PrescottはPentium 4のマイクロアーキテクチャをベースに,いくつかのフィーチャーを追加したものになるようだ。

 さらに,現在はサーバ,ワークステーションの分野でのみ利用可能なハイパースレッディング(Hyper-Threading)技術を,デスクトップPCでも利用可能にする。IntelはPrescottがリリースされる頃までに,エンドユーザー向けアプリケーションのハイパースレッディング技術への最適化を進める計画だ。

 基調講演ではデモンストレーションとして,Intelのラボで動作しているPrescott搭載PCを紹介。クロック周波数は4GHzで動作していた。


デモに使われたPrescottの試作機


Prescott搭載の試作機で動くクロック表示ツールは,4GHzを示した

 さらに2003年の発売を目指したデスクトップPCのコンセプトプラットフォームを紹介。このコンセプトモデルは,2003年後半に各ベンダーが出荷するデスクトップPCのリファレンスとなるもので,今年秋のIDFで実際のプラットフォームを作成。その成果はOEMベンダーに提供される。

 「Lecta」と名付けられたコンセプトプラットフォームは,Pentium 4を使い,802.11a/bとギガビットイーサ搭載,USB 2.0,Serial ATAを実装する。ここではPentium 4となっているが,おそらく来年後半に製品化される際は,Prescottで登場することになるだろう。

 Lectaは9.7リッターの小振りなタワー型きょう体で,騒音レベルは35デシベル以下に抑えられ,プロセッサやチップセット,メモリなどを含む消費電力は80ワットまでハンドリングできる。

 Intelのラボでは,効率の良いヒートシンクや小型高効率の電源ユニット,同じ騒音で2倍の風量を確保できるファン,きょう体内の熱をうまく逃がすためのエアフロー設計などを研究しており,それらの成果はすべてOEMベンダーに供与される。

 また,5月に出荷されるという東芝製のスモールフォームファクタ(SFF)デスクトップPCを紹介。この製品は1.8GHzのPentium 4を搭載しながら,2.6リッターというデスクトップPCとしては異例なほどの小型化を実現している。Burns氏によると,最大2GHzまでのPentium 4を搭載可能だそうだ。


東芝が開発した2.6リッターPentium4マシン。中央左のPCカードスロットを見れば,そのコンパクトさが想像できるだろう

 こうした小型きょう体のデスクトップPCを推進する背景には,USB 2.0によって,外部に内部インターフェイスと同等の速度で簡単に周辺機器を接続できるようになり,シールドケースに収められたPCが本格的に普及する土台ができたことがあると考えられる。SFFデスクトップPCは拡張性の低さとパフォーマンスの低さが問題だったが,拡張性の問題は必要機能のオンボード化とUSB 2.0によって解決できるというわけだ。

 そこでIntelは,PCベンダーがSFFデスクトップPCを容易かつ素早く開発できるように,2つのSFFデスクトップPC向けリファレンスプラットフォームを開発するとアナウンスした。

 Tide Waterは9リッターきょう体のリファレンスデザインで,MicroATXをベースに小型化を図った“進化型”。4月にもデザイン要素の提供が始まり,今年後半に登場するPCのひな形となる。

 そして今年秋のIDFでは,6リッターきょう体で3GIOを実装するさらに小型なBig Waterをアナウンスする予定だ。Big Waterは2003年に詳細なスペックが出され,2004年に実際の製品がPCベンダーから出荷される。


3GIOを実装した“BigWater”は2004年登場予定

 Burns氏は「SFFデスクトップPCを設計するために妥協しなければならないことは,何もなくなる。小型化のため,静音化のためにパフォーマンスに妥協する必要はない」と胸を張った。

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[本田雅一, ITmedia]

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