News 2002年4月25日 11:09 PM 更新

メーカー側敗訴確定 中古ゲーム訴訟,最高裁が上告棄却

中古ゲームソフトの販売は合法――最高裁は25日,販売店側の主張を認める判決を言い渡した。これにより,販売店は中古ゲームソフトを自由に取り扱えるようになった。

 「裁判中も中古サービスを利用してくれたユーザーの皆様に感謝したい。また,約1800店のARTS加盟店の物心両面にわたる献身的支援なくしてこの裁判を闘い続けることはできなかった。深い感謝を込めてこの勝利を報告したい」。

 テレビゲームソフトウェア流通協会(ARTS)代表理事で,中古ゲームソフト訴訟の当事者であるゲームソフト販売店チェーン運営「アクト」の新谷雄二社長は最高裁判決にに関する記者会見で,まず,消費者ならびに全国の中古ソフト取り扱い店に感謝の意を表わした。


最高裁の判決を受け,記者会見に臨む上昇の金岡勇均社長(左)とアクトの新谷雄二社長

 中古ゲームソフト販売の是非を,ゲームソフトメーカーと中古ソフト販売店が争っていた2件の訴訟の上告審で4月25日,最高裁はメーカー側の上告を棄却。中古販売店側の勝訴が確定し,中古ソフト販売は合法と認められることになった。

 訴えていたのはエニックスやコナミ,カプコンなど大手メーカー。中古ゲームソフト販売チェーンを展開するアクトや上昇などに対し販売差し止めを求めていた。2001年3月,東京高裁と大阪高裁はメーカー側に著作権法上の頒布権を認めず,メーカー側に中古ソフト販売の差し止め権はないとする判決を下し,メーカー側が上告していた。

 中古ゲームソフト訴訟の争点は,ゲームソフトに頒布権(著作権者が譲渡などをコントロールできる権利。映画に類似した視覚的効果で表現され,連続影像が一定の内容および順序で表示される「映画の著作物」(同法2条3項)に該当するものに認められる)が存在するかどうかということだった。

 最高裁第一小法廷の井嶋一友裁判長は,判決文の中で,ゲームソフトは「映画の著作物」だと認めたものの,ゲームソフトがその性質上,「公衆に提示することを目的としない」ことから,映画の配給制度とは異なり,「頒布権はいったん適法に譲渡されたことにより,その目的を達成したものとして消尽する。譲渡するたびに著作権者の許諾が必要になれば,円滑な流通が疎外される」と結論付けた。

 これは,「頒布権はあるが消尽する」とした大阪高裁の判決理由とほぼ同じ論理だ。「われわれが主張していたことが、全て認められた。頒布権は1次頒布の段階で消尽するというのは国際的な法解釈の流れに沿ったもので、極めて妥当な判決と考えている」(販売店側弁護団の藤田康幸弁護士)。

 また藤田弁護士は,今回の判決文について「“公衆に提示することを目的としない”という点がポイントになっているが,これは,家庭用ゲーム機のソフトだけでなく,パッケージで販売されたDVD-ROMにも適用される」との解釈を示した。

「新たな法制度を早急に整備」(ACCS)

 勝訴した販売店側は,「中古ソフト撲滅キャンペーン」(後に「撲滅」から「許諾」に衣替えしている)を展開していたメーカー団体のコンピュータエンターテインメントソフトウェア協会(CESA)に対して,次のようなコメントを出している。

 「このキャンペーンも,この訴訟も,メーカーが広い視野に立つことなくユーザーの正当な利益を無視しようとしたことに原因があったと言える。最近では,権利者団体だけが集まって,ユーザーの正当な利益を無視する方向で立法化運動を始めていると聞く。これは,本件判決に示された司法の意志を無視しするものである」。

 一方,敗訴したメーカー側の会見には,コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の久保田裕専務理事,ならびに弁護団から2名の弁護士が出席しただけで,CESAやゲームメーカーの関係者は姿を見せなかった。


ACCSの久保田裕理事とメーカー側弁護団。時折,ため息まじりに声明文を読み上がる久保田氏は,敗訴のショックを隠しきれない様子だが,判決内容には「いかがなものかと」と噛み付いた

 久保田氏は,最高裁の判決について,「ゲームソフト制作者の主張が退けられる結果となって大変残念。現行法ではゲームソフトの著作権保護について対応できないことがわかった」と述べ,「デジタルネットワーク時代に合った新たなルール作りをゲームソフト産業界が率先して行い,法制度を早急に整える必要がある」と早くも“第2ラウンド”への意欲を見せた。

 「今回の判決は,中長期的にみてゲーム産業の足腰を弱らせてくるだろう。エイベックスがコピー防止機能付きのCDを発売して問題になっているが,このままなら,(ゲームソフトでも)固有のハードじゃないと動作しないようなアクセスコントロール技術を搭載したゲームソフトが登場する可能性だってあるかもしれない」(久保田氏)。

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[中村琢磨,ITmedia]

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