News 2002年7月25日 06:38 PM 更新

「科学技術に興味を」――ロボット教育コンソーシアムが設立

今月10日に設立された「ロボット教育コンソーシアム」の目的は、「ロボット製作を通じて、子どもたちが科学技術を体系的に学べるようにする」こと。学校の授業でも使えるロボット教育のカリキュラムを開発する

 若年層の理数系離れを防ぐのはロボットだ――。イーケイジャパン、ZMP、ラーニングシステム、ならびに栄光の4社は7月25日、「ロボット教育コンソーシアム」を設立したと発表した。同コンソーシアムは、ロボット製作を柱とする科学教育カリキュラムを開発し、科学技術について子どもたちが体験的に学べるようにする。なお、教材開発にあたっては、北野宏明工学博士(ロボカップ国際委員会名誉会長)、ならびに早稲田大学理工学部の高西淳夫教授がアドバイザーとして参加する。

 教材用ロボットには、ラーニングシステムの「教育用レゴマインドストーム」、イーケイジャパンの「サッカーロボ」、ZMPの2足歩行ロボット「PINO」を使用する。カリキュラムは小学校3年生以上が対象。ローエンドのマインドストームからハイエンドのヒューマノイドロボットまで用意することで、「小学生はもちろん、大学生や社会人でもロボット製作を学べるようにする」(イーケイジャパンの河野孝治氏)。

 「ロボット製作を学ぶと言うことは、PCやプログラミングの知識を学ぶことはもちろん、メカについても習熟することになる。そのため、科学教育のプログラムとしては、非常に体系的なものになる。先日のロボカップ福岡大会には、大勢の子どもたちが訪れたように、科学技術への関心が低いわけではない」(同氏)。

 教育カリキュラムはレベルに応じて5段階がある。小学校を対象にした初級コースでは、構造学やギアの知識、てこの役割といったシンプルメカニズムや、タイマー制御プログラミング、遠隔操作プログラミングといったロボットプログラミングの基礎を学ぶ。

 中学・高校生が対象の中級コースでは、自己設計によるロボットの改造やアセンブラなどによるプログラミングの習得や自律型サッカー競技用のロボットの製作など、本格的な内容となる。

 大学(院)生や技術者が対象の上級コースでは、実際に「PINO」を使ってヒューマノイド型自律ロボットの製作技術を学ぶほか、電子回路や各種センサー、モーターなどのメカトロニクス技術の知識を習得する。さらに、初級、中級コースのカリキュラム受講者には、成果発表の場としてロボカップジュニアリーグ国内・世界大会への出場機会を提供するという。

 ロボット科学教育コンソーシアムでは、今年11月より首都圏でモデル教室(生徒数は約100人)を3教室開設する予定。また2003年4月からは本格的に生徒の募集を行い(募集枠は300人を予定)、2004年7月には教室数を10教室に拡大、2005年には教室を全国に展開する計画だ。なお、教室運営は栄光のIT事業部である栄光DC-Laboが担当する。授業料は週1回(月4回)の授業で1万5000円程度(材料費は別)を予定している。

 「開発した教育カリキュラムは、コンソーシアムが運営する教室だけでなく、高校や大学の授業、ならびに小学校の自由教育の時間で使ってもらいたい」(栄光の北山雅史社長)。なお、教室の講師は、当初はコンソーシアム側で用意するが、教室拡大にともない、理数系の大学(院)生から募集する予定。「講師育成のためのカリキュラムも開発し、徹底的に鍛える」(ラーニングシステムの石原正雄社長)。

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[中村琢磨, ITmedia]

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