News | 2002年8月1日 07:48 PM 更新 |
ATI Technologiesは8月1日、業界最速のハイエンド向け「RADEON 9700」を含む最新グラフィックスチップ4製品を国内発表した。この新RADEONシリーズは、先月米国で発表されたもの。なお、同社では同チップを、従来製品との差別化を図るため、GPUではなくVPU(ビジュアル プロセッシング ユニット)と称している。
「業界が待ち望んでいた新製品を紹介したい。RADEON 9700は現行の競合製品と比べ、2倍の性能を実現した」――。
ATIが満を持して市場に投入する次世代グラフィックチップは、ライバルのNVIDIA GeForce4を大きく上回る性能が特徴だ。開発を手掛けたのは、任天堂のGAME CUBE用グラフィックス開発を担当した同社西海岸地区チーム。「開発に当たって、制限や制約は決めず、イノベーションの自由のみをデザインチームに与えた。その結果、“業界初”尽くしのアーキテクチャが生まれた」(プロダクトマーケティングマネージャーのトシ オクムラ氏)。
数あるRADEON 9700の“業界初”技術の中で、注目したいのが、「8本のパラレル・レンダリング・パイプラインの搭載」で、これによって、毎秒25億個以上のピクセルが処理できるようになった。また、4基のパラレル・ジオメトリ・エンジン搭載で、変形・照明処理されたポリゴンを毎秒3億個以上のスピードで処理できる。そのほか、20Gバイト/秒のグラフィックスメモリ帯域幅を実現した新型256ビットDDRメモリをはじめ、高いパフォーマンスとメモリ効率を提供する「HYPERZ III」、先進のアンチエイリアス処理「SMOOTHVISION 2.0」などの技術が盛り込まれている。
会場では、実世界の光をCGに合成したオブジェクトを紹介。この映像をワイヤーフレームでも表示し、リアルタイムでレンダリングしていることをアピールした。「オリジナルの画像は、数年前にWSで1コマ20分かけ、オフラインレンダリングで作っていたもの。これが、RADEON 9700では毎秒30コマのレンダリング処理をリアルタイムでできる」(オクムラ氏)。
また、DirectX 9サポートを追加したPixel Shader技術「SMARTSHADER 2.0」を搭載。リアルなスキンテクスチャや波打つ水面、シャドウ、そしてピクセル単位に変化するライティングといった効果が作成できる。会場ではSMARTSHADER 2.0を使った毛皮のレンダリングを紹介。短い毛から、長い毛まで毛の長さを変化させる効果もリアルタイムで処理できることをデモしていた。
「RADEON 9700は、シネマクオリティのレンダリングを可能にした。ハリウッドの特撮効果をデスクトップPCで行えるのだ。それもオフラインレンダリングではなく、リアルタイムでだ。グラフィックスと画像、ビデオの処理を一体化がRADEON 9700で可能になった」(オクムラ氏)。
RADEON 9700搭載グラフィックスボードは、同社およびパートナーベンダー各社から8月中に発売される予定。同社製は、128MバイトDDRメモリ搭載モデルが399ドルで提供される。日本での発売時期は9月で、価格はオープン。また発表会では、9700からいくつかの機能を省いたRDEON 9500も同時期に発売されることが明らかにされた。スペックの詳細は、改めて発表するとのこと。
新RADEONシリーズには、メインストリーム市場をターゲットにした普及タイプのRADEON 9000および9000 PROもある。DirectX 8.1を完全サポートし、4本のパラレル レンダリング パイプラインを装備。価格は、コアクロック周波数250MHzのRADEON 9000(128Mバイト)が109ドル、同275MHzのRADEON 9000 PRO(128Mバイト)が129ドルだ。すでに出荷済みで、パートナーベンダーから同チップ搭載グラフィックボードが発売されている(別記事参照)。また、CAD/CAMやCG分野をターゲットにしたミッドレンジワークステーション向けグラフィックボード「FIRE GL X1」も発表された。
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[西坂真人, ITmedia]
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