News 2002年8月21日 00:20 AM 更新

っぽいかもしれない
ROBO-ONEでホビイストの底力を感じた(予選編)(2/2)


前のページ

 酒井雄さんの「hoi hoi-SAN」。個性派っていうか、いちばん「狙った」っていうやつ。メイドロボである。右手にアイアンクロウである。ドリルにはしなかったんですかと聞いたら、「いやぁそれも考えたんですが」ですって(ほんとにやったら、たぶんレギュレーションに抵触するんだけど)。


 見かけによらず(っていったら失礼だな)、中身は24自由度というれっきとしたロボット。これが戦うところを見たかったのだけど、残念ながらトラブルを起こして予選会で歩くことができなかった。トラブルを起こすと、スカートの下から手を突っ込んで調整することになる。なかなかエッチだ*3


 コスチューム系でもうひとつ。東京工科大学中野研の「TUTNRO1」。こちらは正統派、ブルース・リーだ。かっこいいんだけど、これもトラブル発生。


 コスチュームを着けると、どうしても行動に制約が出る(Morph 3とは違って拘束具になってしまうわけだ)。しかも、トラブルが発生したときにとっさに対応するのがむずかしい。そして、ROBO-ONEの採点基準では、デザインは全体の10%程度しか考慮しない。それにもかかわらず、ここまで外見に凝るという心意気はうれしい。大きなメカメカしいロボットとメイドロボの戦いはやっぱり見てみたいぞ。

 佐伯和人さんの「LEGO Trooper」。見てわかるように、LEGO Mindstormsで作られたロボットだ(モータは違う)。長く伸びた触角は、アンテナ。尻尾でバランスを取りながら進むのが基本だけど、急ぐときにはバタバタ歩きもできる(かわいい)。


動画はこちら(1Mバイト)

 これは、きっちり歩いて屈伸もこなした。結果270点で15位通過。LEGOで作られているということがプラスアルファになったわけだ。でも、戦ったらバラバラになりそう。

 尻尾系でもうひとつ。移動ロボット制作委員会の「Type II」。やはり尻尾でバランスを取りながら進むのだけど、その尻尾で攻撃も行うのだ。恐竜っぽいイメージ。


動画はこちら(1Mバイト)

 ただ、今回は床面と相性が悪かったようで、足がすべってしまって自分が動いてしまっている*4。同じ理由で歩行もうまくできなかった。残念。

 加藤史樹さんの「ERC-H1」は、操縦していて楽しいということを考えたロボットだ。



 ロボットにはカメラがついていて、その画像をヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)で見ながら操縦するのだ。もはやテレイグジスタンスの世界だ。これの威力が端的に表われたのは、ロボット本体が転んだときだ。操縦者も「うわぁ」って感じでのけぞってしまうのである。これで実際にどつきあったら、かなり面白いことになるだろう*5。でも179点(28位)で、予選敗退。残念。

 謙滋さんの「RV-02」は変型ロボだ。普段はキャタピラ付きのパワーショベルの形をしているのだが、いざとなると、2足歩行ロボに変型するのだ。ROBO-ONE大会においては、常に「いざ」である。


動画はこちら(1.7Mバイト)

 2つの足は前後に並ぶかたちを採る。人間で言えば常に横歩きというスタイルだ。これも残念ながら142点(31位)で予選敗退。

感動の「ROBO-ONE-Stairs」

 今回の大会では、メインの格闘大会とは別に、「ROBO-ONE-Stairs」という競技が開催された。

 金属でできた階段*6を昇って、向こう側から降りてこられれば成功。途中で転んだり足裏以外が階段にふれたら失敗。最初からやり直し。何回やり直してもかまわないが、制限時間は5分。ロボットの規格はROBO-ONEのものに準拠だが、さらに吸引、吸着も禁止。

 これは、かなり厳しい条件である。付け加えると、この階段の水平は保証されていない。競技リングの上に無造作に置かれただけなので、床面の状態をうけて、おそらく水準器で計ったら水平ではないだろう。

 というわけで、成功者には10万円の賞金授与ということになっている。

 エントリーしたのは18台だったのだけど、ほとんどが棄権。実際にチャレンジしたのは、6台にすぎなかった。競技は10日、11日の2日にわたって行われたが、どちらも併せて紹介しよう。

 成功はしなかったけど、惜しいところまで行ったのがByoung Sooさんの「ROBOTIS-GW1」。さっきも紹介した足だけロボットだ。


 長くてごめん。彼は技術的には完全に成功したのだ。でも、5分の時間制限に引っかかった。前半慎重になりすぎてしまったのだろう。本当に惜しい。

 もうひとつ、デビラー総統の「Blade」。


動画はこちら(5.4Mバイト)

 昇るときには、後ろ向きになって膝が前の段に当たるのを防ぐという頭のいいテクニックを使った。動作も順調で1分程度で階段を昇り切ってしまう。そして、踊り場で回れ右(踏みかえで向きを変えるので時間がかかる)。こんどは前向きで階段を降りようとした。その第1歩の位置がずれたのだ。最初からやり直すも、時間切れ。残念。

 そして、ついに成功したロボットが、SHR研究会の「STEP1」である。


動画はこちら(4.5Mバイト)

 途中を飛ばす編集はしたけど、それでも長くてごめん。サイズもでかい。でも、この雰囲気を味わってほしいのだ。後半の階段を降りるときには、会場のすべての人の呼吸がSTEP1の歩みと同期するという一体感があったのだ。そして成功したときの拍手。ROBO-ONEっていうのはこういうイベントなんだってことを再認識した瞬間だった。


*3この日いらっしゃったのは、酒井雄さん含め3人。「もっとたくさん人がいるのだけど、みんな有明にいっちゃったんです」だそうだ。この日有明の東京ビッグサイトでは「コミックマーケット」(コミケ)が開催されていたのだ。
*4床面との相性という問題はほかにも多く見られた。そこでなのか、この床と同じものがツクモロボコン館で発売されるそうである。
*5このロボットについてはすでに記事があがっている。
*6昇って踊り場があって降りるだけの階段。“トマソン”でいう「純粋階段」である。

関連記事
▼ 予選からハイレベル! 「ROBO-ONE」第2回大会
▼ 「転んでも起き上がれます」――ハイレベルなROBO-ONE決勝

[こばやしゆたか, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/2 | 最初のページ