News | 2002年9月20日 06:29 PM 更新 |
細野晴臣+高橋幸宏の新ユニット「SKETCH SHOW」のデビューアルバム「audio sponge」*1(CTCR-14224)が発売された。このディスクは、エイベックスからの発売なのだけれど、コピーコントロールCD(CCCD)ではなく正しく「Compact Disc」なのだ。
あの時代を知っている人たちにとって、細野晴臣と高橋幸宏のユニットっていうのは、期待しないわけにはいかない。しかも、坂本龍一が「友情出演」しているというのである。これはアルバムが出たら買わないわけにはいかないな、と思っていた。
ところが、このユニットのアルバムはエイベックスから出るというのである*2。ちょっと不安になった。エイベックスは自社発売のディスクをすべてCCCDにする予定(記事参照)ではなかったか。
エイベックスというところは、派手なセールスのタレントのディスクを発売する一方で、マニア好みのアーティストもきちっとおさえている。SKETCH SHOWもその仲間だろう。それは悪くないんだけど、CCCDは困る。残念だけど見送りかなぁ……と思っていたら*3、どうもCCCDでは出ないらしいという噂が流れてきた。公式サイトにもCCCDだとは書かれていない。これはもしかすると大丈夫かな、と発売日を待った。
発売日前日の9月18日、インターネット上の情報で、前日入手した人が「CCCDではない」って書いているのを読む。しまった。BoAの時には前日買いしたのに、今回はぐずぐずしちゃった(18日は忙しかったんだけど)。というわけで、正式発売日の9月19日、ショップでCCCDロゴがないことを確認して購入。
帰りの電車の中で、商品を袋から出して眺めてたのだけど、裏側にとってもいろんなロゴマークが並んでいる。こんな感じ。
帰宅後、いきなりパソコン(PowerMac G4)のCDドライブに入れてみた。最初はちゃんとしたプレーヤーで聴けよ! という声が心の中から聞こえたのだけど、今回は仕方ない。iTunes(アップル純正MP3アプリケーション)で全トラックをエンコード。何にも問題がないことを確認。それが当たり前なんだけど、なんかうれしい。そのままiPodにデータを転送。これで、いつでも聴ける。
続いて、Windows環境下でも確認。こっちだとCD ExtraのデータトラックのAuto Runが働いて(設定を切っていないのだ)、Macromedia Director製のメニューが立ち上がる*4。
このディスクは、ConnecteD(コネクテッド)という仕組みを使っている。Shockwaveの応用なのだけど、CDのディスクをキーにして、サイトにアクセス制限をかける仕組みだ。つまり、パソコンのドライブに「audio sponge」のディスクが入っている状態じゃないと、見に行けないサイトがあるわけだ。
Shockwaveのバージョン7以上と、ConnecteDのプラグ(ShockwaveのXtra)が必要。これは、「audio sponge」から誘導されるサイトで入手できる(無料)*5。
こうやって飛んでいった先では、ビデオクリップやインタビューなどの「特典映像」が見られるというわけ。細野晴臣+高橋幸宏のおじさん色豊かな壁紙もゲットだ。
CCCDは不正コピーを防ぐために「コピーできない」ことを目的として導入された仕組みだ。一方、こっちは「オリジナルを持っていたい」と思わせることを目的とした仕組みである。
SKETCH SHOWのアルバムの購買層が比較的年齢層が高い(つまり、携帯電話の通信費でおこずかいがなくなっちゃって、CDを買うお金なんてなくなっちゃってる層ではない)と見込まれるからこそ、できる技ではあるだろう。
そういえば、1998年に「YMO SELFSERVICE」というCD-ROMが発売されていた。この1枚目には、YMOのすべてのアルバムの全曲がMP3で圧縮されて収められていたのだ。そして、そのMP3データは不可視にはなっていなくて、デスクトップから普通に見ることができたのである。もちろん、不正配付することは許されないけど、自分の好きなMP3プレーヤーで、それを試聴することは全く問題なかった(使用許諾契約でも、それを禁止する項目はなかった)。1998年というのは、MP3の暗黒面利用者が出現し始めていた時期である。その時期に、これだけ堂々とデータファイルを見せるっていうのは、さすがYMOだと思ったものである。
みんなおじさんになって、中性脂肪の心配もしなければいけない歳なんだろうけど、心意気は健在。やっぱり、そういうのってうれしい。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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