News 2002年9月25日 08:12 PM 更新

DVD-Rメディアはこうやって作られる――日立マクセルの工場を見てきました(1/2)

何気なく使っている記録型メディアはどんなプロセスを経て作られているのだろうか。一般にはあまり公開されることのない記録メディアの製造工程を写真で紹介しよう

 何気なく使っているCD-R/RWや記録型DVD用のメディアだが、その製造工程について語られることはあまりない。記録メディアは、それを製造する上で独自のノウハウなどの企業秘密が数多く存在しているからだ。しかし、今回、記録メディアのトップメーカーの1社、日立マクセルのDVD-R/DVD-RAMメディア製造工場を見学することができた。早速その様子をレポートしよう。

 日立マクセルは、CD-R/RWや記録型DVDメディア、MO、スーパーディスク、FDD、ICメモリカードなどのデジタル用記録メディアの製造と販売を行っている。中でも、CD-R/RWや記録型DVDメディアなどの光ディスク関係は、同社の中心事業の1つ。このうち、今最も注目を集めている記録型DVD用メディアの製造を受け持っているのが、今回見学した「アドバンスドディスク事業部」(茨城県水海道市)である。


茨城県水海道市にある日立マクセル アドバンスドディスク事業部。ここで、DVD-RやDVD-RAMメディアが製造されている

 同事業部の管理する工場では、DVD-RやDVD-RAMなどの記録メディアを中心に製造が行われている。現在のところ「DVD-Rメディアは、日本国内のみで製造を行っている」(記録メディア事業グループ事業企画部・石塚康弘氏)という。ちなみに同社は、DVD-Rメディア市場において現時点でトップレベルのシェアがあるということだ。

CD/DVD用のメディアの製造工程はほぼ同じ

 DVD-Rメディアの製造工程は、大きく分けて、スタンパーの作成と実際のメディア製造の2つに分類される。これはDVD-Rメディアで特に異なるものではなく、CD-R/RWやDVD-RAM、市販のCDやDVDなども基本的に同じだ。

 同社によると、上記の各メディアを製造する場合の違いは、大きくいって3点あるという。まず1点めは「張り合わせ」工程の有無。これはCDとDVDの物理的な構造の違いからくるもので、DVDでは0.6mmの基板を2枚使用することから「張り合わせ」という工程が必要になるが、CDにはない。

 残る2点は市販のCDやDVDを作成する場合と、CD-RやDVD-Rなどの記録可能なメディアを作成する場合の違いで、1つは記録層の有無。もう1つは、CD-ROMやDVD-ROMでは、スタンパーに実際の信号(データ)を刻むが、記録用メディアでは、ランドプリピットとウォブルグルーブの両方(CDでは、ウォブルグルーブのみ)を刻んでいるという点である。

 今回見学したのはDVD-Rメディアの製造工程だったが、他のメディアの製造工程も上記の点を除けばほぼ同じなので、適宜読み替えてもらえばいい。では、実際の工程の紹介をしていこう。

スタンパー作成――原版になる「金型」の製造

 スタンパーの作成では、「メタルマスター」と呼ばれている金属の「金型」を作成する。このスタンパーは、後で紹介するメディアの製造工程の原版として使われる。市販のCDやDVDに記録されている信号(データ)はここで刻まれている。一方、DVD-Rメディアの場合は、ウォブルグルーブとランドプリピットが刻まれる。

 作成作業では、まず、「ガラスマスター」と呼ばれるガラスに信号を刻んだものを作ることから始まる。まずガラス板を用意し、それをきれいな平面に研磨する。その後、フォトレジストと呼ばれる光に感光する材料が塗布され、そこに対してレーザーを使用して信号を刻む。これでガラスマスターの出来上がりだ。それに電解メッキが施すとメタルマスターが作成される。


メディアの原版となる「メタルマスター」

[北川達也, ITmedia]

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