News | 2002年10月24日 09:54 PM 更新 |
ワイヤレス技術を搭載したコンピューティングデバイスは、ビジネスやデジタルホームの世界でどのように使用されていくのか。IDF Japan最終日となる10月24日の基調講演では、いつでもどこでも使えるデバイスを実現するための同社のビジョンや戦略、先端技術などが紹介された。
スピーチに立ったIntel Mobile Platforms Group副社長のAnand Chandrasekher氏は「今がコンピューティングと通信が融合する絶好のタイミング」と語る。
「オフィスでは生産性を高めるため、家庭ではリッチな環境を構築するために、あらゆる機器がシームレスにいつでもどこでもつながって欲しいというニーズが、この2、3年出てきた。外出先でのモバイル機器は、オフィスと家庭の間を取り持つ役割。オフィス、家庭、モバイルの3つの分野が、すべてシームレスな関係になって相互接続可能にすることが当社のビジョン」(Chandrasekher氏)。
さらにChandrasekher氏は「あらゆる機器が、いつでも、どこでも接続できるシームレスな環境作りは、Intel1社ではできない。業界のコラボレーションがあって、初めて可能になる」とし、業界での標準化の必要性を強調した。
シームレスな環境が実現することによって、どんな世界が広がるのだろうか。Chandrasekher氏はまず、家庭内における同社のデジタルホーム構想をデモを交えて紹介。PCを家庭内のメディアのハブにする「デジタルメディアアダプタ」を披露した。
デジタルメディアアダプタをAV家電に接続することで、PCに保存された画像やオーディオファイルを、家庭用TVやオーディオ機器で楽しめるという。AV家電との接続は、同社が推し進めるUPnP(Universal Plug and Play)を採用。「デジタルメディアアダプタは、静止画/オーディオファイルの再生が可能な第1世代が2003年に登場する予定」(Chandrasekher氏)。
また会場では、XScaleを搭載したVeiwSonic製のスマートディスプレイを紹介し、離れた場所からホームサーバ役のPCをワイヤレスで操作するといったデモも行われた。
「UPnPによって、PCに蓄積したデジタル画像を家庭用TVからアクセスできる。PCをホームサーバとして、リビングと子供部屋とで別のビデオコンテンツを流すことも可能。取り外し可能なディスプレイでリモート操作もできる。さまざなコンピューティングデバイスが家電製品とシームレスにつながって、家族それぞれがやりたいことをできるようになる」(Chandrasekher氏)。
ビジネスシーンを想定したデモはBaniasを搭載したPanasonic製ノートPCの試作機を使って行われたが、そのシチュエーションはオフィスの高性能ノートPCと共同で行っていた構造分析の作業データをサーバにあげてもらい、解析の続きを移動中の空港のホットスポットから行うというものだった。
このデモでは、仕事の合い間に野球の速報をインターネットでチェックするといったシーンも盛り込まれていた。Chandrasekher氏は「空港での作業は、そのまま機内にも持ち込める。軽量で高性能ながら長時間駆動を可能にし、802.11a/bなどワイヤレス機能も備えたBanias搭載機を使えば、このように時間を柔軟に使うことができる」と語る。
モバイルコンピューティング技術のこうした発達がビジネスに寄与する事例として、Chandrasekher氏はIntel社内でのワイヤレス環境の構築によって仕事の効率が向上したデータを挙げる。
「IntelではノートPCの導入によって、生産性が向上して競争力も高まった。平均的な社員ではノートPCによって、仕事に使える時間を1週間に4-12時間ぐらい増やしている。ただし、社員は仕事時間を延長しているわけではなく、ノートPCによって柔軟に時間を活用しているのだ。ワイヤレス環境にすることで、仕事の効率はさらに向上する」(Chandrasekher氏)。
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[西坂真人, ITmedia]
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