News 2002年11月13日 08:00 PM 更新

プリンタの「写真画質」を使いこなす 第5回
PM-970CとPIXUS 950iのカラーマッチングを評価する(2/4)


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サンプル1

  • PM-970Cの場合

     PM-970Cのデフォルトである [ドライバによる色補正] モードは、全体に明るめのガンマカーブで出力され、またコントラストが強く、彩度も高い派手な印刷になる。特に青い服などで顕著だ。この傾向そのものはいつものエプソンカラーだが、男性の肌は少しギトギトとしすぎている。また、顔の陰影も元画像をトレースしていない。


    [ドライバによる色補正] モードでの出力

     一方、ICMモードに関しては、元絵に忠実なトーンカーブとなった。明暗の調子に関しては、ほぼ文句なし。コントラストの高さは相変わらずで、青もわずかに彩度が上がっているように見えるが、元絵のイメージに非常に近い。両人の顔の赤さだけが多少気になるが、カラーマッチングという観点から言えば、かなり良い結果である。しかし、顔のシャドウにかけてのグラデーションでトーンジャンプが(特に女性の頬や額)発生してしまっているのが残念。


    ICMモードによる出力

     一方のICCプロファイルを用いた出力では、シャドウの階調がつぶれてしまい、また色温度も低い印刷結果となった。色温度の低さはD65光源を用いた観察環境で色を合わせているためだろう。


    ICCプロファイルを用いた出力

     通常、昼白色蛍光灯や直射日光の色温度が5000度程度、電球は2000度程度で、D65の約6500度で写真を見る機会はあまりない(色温度だけでなく、スペクトラム構成が異なることも色が変わる原因の1つ)。印刷業界で色校正を行うために使うのではなく、コンシューマーユーザーが写真出力のために使うのであれば、もう少し一般的な観察環境を想定した設定でも良いのでは? と思えるほど、黄色っぽく見える。なお、シャドウ部のつぶれに関してはエプソン側でも把握し、修正することを検討しているという。

     結論から言えば、ICMを用いるのが最もCRTとのマッチングが良いようだが、この例に限るとトーンジャンプが気になった。このトーンジャンプはドライバによる色補正でも若干ながら現れることを考えると、エプソン製ドライバの癖と言えるのかもしれない。ただし、このような独特の癖はPM-950C時代よりも減っているようだ。

  • PIXUS 950i

     キヤノン製のドライバはICMで印刷しても色相は全く変化せず、トーンカーブだけが変わるという印象があったが、PIXUS 950iの出力結果を見るとカラー設定を自動にした場合とICMを用いた場合では、ICMの方が多少黄色が強目に出るなど色調にも手が加えられているようだ。


    カラー設定を自動にした場合


    ICMを用いた場合

     自動のあっさりとした色味はICMで多少濃くなり、画面に近い雰囲気となるものの、それでも肌の軽い部分はオリジナルよりも明るく印刷されてしまう。しかし、シャドウ部にかけてのトーンカーブは正確で、しかもトーンジャンプを一切しない完成度の高さは特筆に値する。若干マゼンタが弱い印象を受けるものの、かなりイメージに近い印刷ができる。

     実は前モデルのBJ F900/F930では、ここまで色は合わなかった。今年の年末向け新製品も、PIXUS 950i以外はここまで色は合わない。前モデルまではICMが使い物にならないと感じていたが、これぐらい近似した絵になるならば利用する価値はありそうだ。4万円前後のコンシューマー向けプリンタで、ここまでトーンジャンプが少ないドライバは珍しい。

    [本田雅一, ITmedia]

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