News | 2002年11月14日 08:33 PM 更新 |
インテルは11月14日、Pentium 4/3.06GHzを発表した。都内で行われた発表会では、Intel副社長兼デスクトップ製品事業本部長のWilliam Siu氏が、デモを交えながらPentium 4/3.06GHzの技術説明を行った。
デスクトップPC向けプロセッサが、とうとう3GHzを超えた。
1981年にIBM PCが発売された時の搭載プロセッサ「8088」のクロックスピードはわずか4.77MHzだったが、それから約20年で3GHzに到達した。特にここ数年のクロックスピード向上はめざましいものがある。
「3年前、家庭やビジネス環境で使われているPCのCPUスペックは500MHzほどだった。その時と比較すると、ビデオエンコードやデジタルミュージック/イメージの処理などは大幅に高速化され、PCの性能はこの3年間で5-9倍も向上した」(Siu氏)。
昨年8月の2GHz版発表から14カ月半かけて到達した3GHzだが、Siu氏がクロックスピードに言及したのはここまでで、時間にしてわずか3分ほど。お決まりの“ムーアの法則”も今回は出てこなかった。
それもそのはず、新プロセッサは既存のプロセスルール(0.13μメートル)で製造され、トランジスタ数もこれまでのPentium 4と変わないからだ。また、FSBも533MHzで2次キャッシュ容量512Kバイトなど、クロックスピード以外の数字上のスペックは従来版のPentium 4と同じだ。
最大のウリは、クロックよりもマルチスレッド/マルチタスク処理の新技術
かわりにSiu氏が、説明に多くの時間を費やしたのが、今回の新Pentium 4の最大のセールスポイントである「ハイパースレッディング(Hyper-Threading)」技術だ。
同社は今年2月に、サーバ/ワークステーション向けプロセッサ「Xeon」で初めてハイパースレッディングを導入した(別記事を参照)。ハイパースレッディングは、1つのプロセッサをあたかも2つあるように動作させて、パフォーマンスを高める技術(詳細は別記事を参照)。デュアルプロセッサシステムに近い環境が、安価に手に入るのが特徴だ。
「われわれが提供するこの新しい技術を使うと、OSにはあたかも2つのプロセッサがあるように見える。1つのプログラムをマルチスレッドで効率よく処理したり、2つのプログラムをマルチタスクモードで実行できる」(Siu氏)。
発表会場では、効率のよいマルチスレッド処理の例として、Pentium 4/3.06GHzを搭載した2台のPCのうち、1台をBIOS上でハイパースレッディング機能をオフにして、3Dレンダリングの処理スピードを比較するデモンストレーションが行われた。ハイパースレッディング機能が働いているPCでは、3D画像の2カ所からレンダリングが行われ、効率よくマルチスレッド処理されているのが分かる。
この3Dレンダリングソフトは、ハイパースレッディングのマルチスレッド処理に対応しているが、現時点ではハイパースレッディングをサポートしたソフトはまだ少ない。
実際に、ハイパースレッディング対応のXeonを搭載した各社のワークステーションでは、この新機能をオフにした状態でシステムを出荷している。また、トランザクション処理が中心のサーバなどでは効果が発揮できるマルチスレッド処理も、エンドユーザー向けアプリケーションではどこまで効果があるか、という懸念もある。
その点を考慮してか、Siu氏は「ユーザーがすぐに享受できるハイパースレッディングのメリット」として、2つのプログラムを効率よくリアルタイムに実行できるマルチタスクモードを強くアピール。デモンストレーションでも、フォアグランドでゲームを行いつつ、バックグランドでは音楽データをエンコードしてCDにライティングするといったホームユースでの例や、ウイルススキャンを実行しながらメールに添付されたパワーポイントの圧縮ファイルを解凍して閲覧するというビジネス向けの実例を紹介した。
「マルチタスク利用によってユーザーはすぐに生産性を高めることができるが、今後、マルチスレッドに対応したソフトが増えることで、真の意味でハイパースレッディングをフル活用できるようになる」(Siu氏)。
発表会場に設けられたショーケースでは、新しいPentium 4/3.06GHzを搭載した各社のデスクトップPCが展示された。出展メーカーは以下の通り(参考出展も含む。50音順)。
アプライド/アロシステム(パソコン工房)/NEC(参考出展)/エプソンダイレクト/エムシージェイ(マウスコンピュータ)/神代(フロンティア神代)/ソーテック/ソフトバンク・コマース(VALUMORE!)/ソフマップ/九十九電機/ツートップ/デルコンピュータ/Dos/Vパラダイス/パルテック/富士通/ヤマダ電機。
[西坂真人, ITmedia]
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