News 2002年11月21日 09:46 AM 更新

オフィスの新しい一員になる「OneNote」(2/2)


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 OneNoteでバラバラに書いた項目は、ドラッグして別のメモとマージすると番号が振り直しになり、段付された位置にドロップすれば自動的に異なる系列の個条書きとなり、元の個条書きと入れ子になる。

 つまり、自由レイアウトのノートの一部分で、あちこちに書き散らかしたメモをマウスでまとめ、ひとつのノートへとまとめていくアイディアプロセッサ的な機能を持つ。


個条書きモードで入力すると自動的に番号が振られる。複数の個条書きはごらんの通り


複数の個条書きはマウスのドラッグ&ドロップで1つにまとめることも

  • メモ取りと同時に音声録音

 メモを取りながら同時に音声を録音する機能がある。音声は好みの場所にリンクさせておくことが可能で、さらに記録した音声データの位置とそのときに取っていたメモの相関関係を記録しておける。例えば、音声である話題が話し合われているとき、どのような内容をメモしていたのか、ノート上で反転表示してくれる。

 逆に特定のメモを指定して、その部分を書き込んでいた位置に再生位置をシークさせる機能もある。

  • Webブラウザとの連携が可能

 OneNoteにはミニウィンドウと呼ばれる、画面上でコンパクトにノートを表示するモードがある。これはドラッグ&ドロップでWebブラウザ上のデータを取り込む際、作業性を向上させるための仕様。Webブラウザで表示されている要素を領域選択し、ミニウィンドウにドロップすると、画像や表、テキストなどをノートの中に取り込める。その際、Webページ上のリンクや書式情報はそのまま保持される。


ミニウィンドウに切り替えれば、ドラッグ&ドロップでWebブラウザの情報を簡単に取り込める

  • 必要なメモを探すための手段

 ノート全体からキーワード検索を行える。その際、どのタブ、どのページに検索ヒットしたメモが存在するかを色分け表示してくれる。また検索機能の作業ウィンドウには、ノートをページごとに分類し、要約と共にリスト表示する機能もある。

 またノートの任意の位置にフラグを立てることで、メモに分類属性を付けておくことが可能。この場合も作業ウィンドウを用い、効率的にメモを探し出すことができる。作業ウィンドウ内にはフラグが立てられたメモの要約が表示され、クリックすると該当するメモが記録されたノートを表示、メモ部分が強調表示される。


検索でヒットしたタブが色分け表示され、作業ウィンドウに該当のメモがリストアップされる


フラグ機能で探したノートを作業ウィンドウでクリックすると、該当する場所が強調表示される

  • デジタルインクをワープロライクに編集

 TabletPCで書き込んだ手書きメモは、ジャーナルと同じようにテキスト変換が可能な他、ワープロと同様の「後編集」ができる。たとえば複数行を選択して個条書きにしたり、部分的に色変更、アンダーライン付加などの属性編集をしたりといったことだ。もちろん、マウスを使った移動などの手順は、テキストデータと全く同様に行える。


手書き情報もテキストと同じように後編集が可能

 もっとも、初めてのジャンルだけに、仕様的にはまだこなれていない部分も数多く見受けられる。OneNoteはまだβ版にもなっておらず(来年早々にβ版をリリース予定)、今後、機能的にも変化する可能性はある。

 例えば、ノート上の特定のメモから、別の場所に書かれたメモにハイパーリンクを張ることはできない。またExcelやWordなど他のOfficeファミリー製品から一部分をコピーしても、書式付きテキストとしてしか貼り付けられない。つまりOLEのインプレースアクティベートオブジェクトやリンクオブジェクトとしては扱えず、埋め込みさえも行えない。

 また画面の一部を切り抜いてノート上に配置するなどの機能もなく、カメラなどとの連携を行う予定もないという。もちろん、動画を扱うことは不可能だ。

 OneNoteの目的が、その場、その場でのメモ取りであることを考えれば、いずれも特に大きな欠点とは言えないが、さまざまなデジタルデータをスクラップして管理できる、ユニバーサルな情報管理ツールを想像していると、期待を裏切られることになるだろう。

 しかし、(こうして記事を書いているわれわれ自身もそうだが)PCで多くのメモを取り、それを管理、再利用しながら作業するユーザーにとっては、効率化を期待できる新しい分野のツールが登場したことは歓迎できる。

 β版が登場次第、いずれまた詳細なレポートを行いたい。



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[本田雅一, ITmedia]

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